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あの時君は若かった。

 今日からいよいよ新年度の始まり。

 お昼にテレビを見ていたら大手企業の入社式のニュースをやっていた。

 代表の挨拶をする人はさすがに頭が良さそうでハツラツと張り切っていつつも緊張している空気も伝わってきて初々しいのぅと思ってしまった。

 私が新社会人だったのは今からおよそ四半世紀前である。

 振り返ってみると何だかあっという間な気もするがそれなりに長い時間が流れていることに愕然とする。

 私が新人で入った会社は小さな清掃会社で現場作業と事務方が分かれている職場だった。
 
 事務方で雇われた私の担当する仕事はいわゆる労務管理でスーパーや病院で働いているパートさんの仕事をフォローする役割だった。
 
 入社して一か月は上司にくっついて仕事を覚えた。

 そしてすぐに担当エリアが決まって任されるようになった。

 とはいえ右も左もわからないド新人である、何から手を付けていいのかさっぱりわからなかったがとりあえず現場のパートさんと仲良くなるところから始めた。 

 清掃の仕事は早朝にすることが多いので私も早起きして現場に行ったものである。

 近場だとそんなに負担ではなかったが遠いところだと隣の県まで行く事もあったのでパートさんと会うにはとにかく早朝に会社を出なければならなかった。

 朝の四時に出社して補充用の掃除道具を準備していざと勢い込んで出かけていた。

 残業も多くて退社時刻は大体日付が変わる頃だったので慢性的に寝不足だった。

 それでも早朝の高速道路を移動するのはドライブ気分で結構楽しかった。
 
 無事に現場についてパートさんとコミュニケーションをとってお客さんの責任者の方に会って要望を聞くまでが一連の流れだった。

 それが終わると次の現場までまっしぐらである。

 一通り担当エリアを回り終えたら帰社して事務仕事と電話での現場フォローをする。

 複数のパートさんが勤めている現場では大抵人間関係がもつれており、私もう辞めます!と言われることも日常茶飯事だった。

 そんな傷ついてるパートさんをなだめるのに長い時間を使っていた。

 定時になったからといって話を遮るわけにもいかず毎日ヘロヘロになるまで電話相談をしていた。
 
 あの頃の一日の通話時間は三時間はくだらないと思う。

 おかげですっかり話を聞くのがうまくなったのであれはあれでいい経験だった。

 その会社には四年くらいお世話になった。

 パリパリの新入社員時代の思い出がよみがえってきてほろ苦い気持ちになった。

 そんな事を考えながら昨日の晩御飯は何食べたっけと振り返ってみる。

 昨日は日曜日だったのでお出かけはしなかった。

 なので家にあるもので何とかしようデーだった。

 冷凍庫に母の手製のクリームコロッケがあったのでこれをメインにすることにした。

 それだけだとおかず力がやや弱いので副菜を作る。

 まずは冷蔵庫を覗いてみる。

 卵があったのでこれを使う。
 
 玉ねぎをみじん切りにする。
 
 ベーコンを細切りに。

 フライパンに油を薄く敷いて温める。

 そこに玉ねぎとベーコンを入れて炒める。

 ベーコンが焦げるくらいまで火を通したらいったん取り出す。

 卵を三個溶いて熱したフライパンに注ぐ。

 さっくりと全体を混ぜて半熟になったら具材を乗せてトントンと手首のスナップを利かせて包んでいく。

 お皿にあけてケチャップでハートを描いて粉チーズをドバドバと振ったらベーコンオムレツの完成。

 メインのクリームコロッケを解凍してトーストでこんがりするまで焼く。

 付け合わせのキャベツを千切りにする。

 クリームコロッケをお皿に乗っけたら出来上がり。
 
 汁物は簡単に玉ねぎのみそ汁。

 ようし出来た出来たと言いながら妻を呼ぶ。

 何はともあれまずは乾杯。

 昨日のお酒はハイボール。

 グラスを合わせてキュイッと飲むと安定の味。

 そんなに高いウイスキーではないが炭酸で割ると飲みやすくてグラスを重ねてしまう。

 ではオムレツから頂く。

 玉ねぎとベーコンをしっかり炒めたので香ばしい。

 卵がそれをふんわりとまとめており優しい味わいになっている。

 粉チーズを大量に振ったのでコクが加わっていて食べ応えが増している。

 簡単な料理だけれどもごちそう感があるなと思いつつモグモグ。

 次はクリームコロッケを食べる。
 
 サクッと衣を割ると中からホワッと湯気が出てきて食欲をそそる。

 アムッと噛むと中がアツアツで火傷しそうになった。
  
 ホワイトソースの中にマカロニと玉ねぎが入っており柔らかな味だった。

 下味がしっかりついているので何もかけないで十分美味しい。

 妻はこういった洋食が好きなのでニコニコしながら食べていた。

 合い間に味噌汁を挟んでハイボールをグビグビ。

 二人で食べるにはちょうどいい量だったので完食した。

 私は洋食を作るのがそんなに得意じゃないので今度母にレシピを習おうと思った。

 料理歴半世紀以上の母にはまだまだ敵わない。

 もっと精進しようと思った春の夜。

 さぁて今日もそろそろ晩御飯を考えよう。
 
 何がいいかな、肉系で攻めようか。

 新入社員のように常にフレッシュな気持ちで台所に立ちたい。

 ようし、一丁やってみっかー。

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