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球技はちょっと?苦手。

 私が小学生の頃は習い事をしている子が多かった。

 勉強系で言うと公文やそろばんの人気が高かった。

 その頃は少しだけ勉強が出来たのでそういった塾とは無縁だった。

 小学三年生になってからすぐにスイミングに通うように父から言われた。
 
 放課後に送迎のバスが迎えに来る場所に兄と一緒に出かけて隣町のスイミングスクールに行っていた。

 スクールはレベル別に分かれており顔を水につける初歩の初歩からビート板を使ってのバタ足などの練習に明け暮れた。

 一年も通っていると普通の泳ぎ方はマスターしていた。

 私は平泳ぎが得意でコツさえつかめばあまり疲れないので好きな時間だった。

 一番苦労したのはバタフライで貧弱な筋力だったので途中で限界がきて沈んでしまうのが常だった。
 
 カリキュラムが進むごとに昇級試験があって合格すると水泳パンツに目印のワッペンを着けてもらえた。

 兄は肥満体系だったので私よりも泳ぎは苦手だった。

 私のライバルとして登場したのは三つ年下の弟で運動神経のいい奴はスルスルと上達していった。

 そして私がどうしても破れなかった目標タイムをあっさりと更新して抜き去っていった。

 それをきっかけにやる気を失った私はスイミングを卒業した。

 それから一年くらいは習い事とは無縁だったがある日父がソフトボールに興味は無いかと聞いてきた。
 
 球技は苦手だったので全然ないと答えたら、いいから一度体験してみろと命令されて渋々練習に参加した。

 チームは弱小で練習も和気あいあいとしていたがその頃にはもう五年生も終わりごろだったので今更入団するのもなぁ…と思っていたのだが監督に熱心に勧誘されたので断るタイミングを逃した。

 遅まきの球技デビューだったがキャッチボールもまともにできない始末。

 フリーバッティングでも空振りの連続でまぐれでバットにボールが当たっっても打球が前に飛ばなかった。

 ランニングや素振りならばなんとかついていくことはできたが、基本的に乗り気でやっていないので上達は難しかった。

 そのうちに練習試合に代打で出してもらうこともあったが三振することがほとんどだった。

 六年生になってからはファーストのポジションを割り当てられたがあくまで控えだった。

 その頃はチーム内に友達もできていたのでそっちと遊ぶのが楽しかった。

 何だかんだでシーズンの一年間を控えのファーストで過ごしたが打率は一割台でエラーの数はチームダントツという不名誉な成績を残した。

 あの頃はそれが本当に嫌だったが今となってはいい思い出である。

 小学生の頃は本当によく身体を動かしていたものだ。

 どれもこれも究めたとは言えないのがいかにも私らしい。

 そんな事を考えながら昨日の晩御飯の事をひとくさり。

 スーパーに足を運ぶとタコがあったのでメインは決まり。

 他の食材とお酒を買って帰宅。

 まずはお米二合を洗って浸水させておく。

 タコを一口サイズに切る。

 ニンジンを細切り、ごぼうをささがきにする。

 油揚げを湯通しして細切り。

 浸水が終わったお米に醤油、酒、塩、昆布だしを加えてタコと野菜、油揚げを入れて水を二合ひたひたにして炊飯。

 その間に副菜を作る。

 鶏むね肉を半分に開く。

 それをそぎ切りにする。

 塩を刷り込んで片栗粉をまぶす。 

 梅干を三個の種を出して叩いておく。

 醤油、酒、みりん、砂糖、梅干しを混ぜてタレを作る。

 フライパンに油を敷いて火を点けて温まったら鶏肉を入れる。

 少し跳ねるが気にせずに両面がこんがりするまで炒める。

 中まで火が通ったらお皿に空ける。

 油の残ったフライパンにタレを入れて沸騰させる。

 そこに水溶き片栗粉を入れてとろみがついたら鶏肉にかけて一品完成。

 次に汁物を作る。

 鶏がらスープの素をお湯に溶いてそこにキャベツを加える。

 キャベツに火が通ったらニンニクを入れて塩コショウで味付け。

 その頃には炊飯器がピーと鳴るので少し蒸らしてからふたを開ける。

 海鮮の美味しそうな香りがふわっと漂う。

 底から混ぜるとしめしめ、お焦げができておるわい。

 ご飯をよそっておかずを居間に運ぶ。

 妻にご飯だよーと声をかける。

 昨日のお酒はビール。

 プルタブをシュポッと起こしてグラスにトクントクン。

 ではと乾杯してクーィと飲む。

 オゥフ、美味い。

 やっぱりビール好きだなぁと思いながら鶏肉をつまむ。

 やや甘みが強いが梅の酸味がそれを引き締めており甘酸っぱい。

 鶏肉をカリカリに焼いているので香ばしくて箸が進む。

 いいんじゃないと思って妻を見ると、これ好きと言っている。

 よしよしと思いつつ、つぎは炊き込みご飯を食べる。

 タコの色がご飯に移って桜色で美しい。

 パクッと食べると海の出汁の良い味がする。

 タコは柔らくなっており食べやすい。

 野菜もしんなりと炊けていてなかなかイケル。

 油揚げが全体のボリュームアップに一役買っており憎い仕事をしている。

 合い間にキャベツスープを挟んでモリモリと食べた。

 炊き込みご飯をつまみに二本目のビールを空けた。

 おかずは少なめながら食べ応えは十分だった。

 妻もご飯をお代わりしていた。

 初夏は美味しい地物のタコが出回る季節。

 もう少しすると鱧も食べごろだな。

 美味しいものを見逃さない選球眼を持ちたい。

 狙え、ど真ん中ストライク!

 

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