踏み跡

中東欧やラテンアメリカを中心とした海外文学作品の紹介と感想、文学評論・歴史・哲学・人類…

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中東欧やラテンアメリカを中心とした海外文学作品の紹介と感想、文学評論・歴史・哲学・人類学、等々の様々な本の読書メモなどを中心にする予定です。時には違うものも混ざるかも。

マガジン

  • 架空序詞集

    導入として雑談で書いている架空序詞集をまとめてみました。

  • 五大文芸誌も読んでみよう

    五大文芸誌…文學界(文藝春秋)、新潮(新潮社)、群像(講談社)、すばる(集英社)、文藝(河出書房新社) など文芸誌を、その存在すら知らなかった人間が興味あるところを読み進めていく企画?

  • 本屋巡り

    導入として雑談に書いている本屋巡りのマガジン作ってみました。

  • 図書館巡り

    導入として。こちらは各地の図書館をぶらっと回った記録です。

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読書記録総目次

見出し画像 チェコ プラハ 地域・ジャンル別まとめ 旧カテゴリー 作者・著者・シリーズ等まとめページ(随時追加中) 記事一覧(読了日古い順) 2007年 ジョイス「ユリシーズ」(西欧) スコット「ケニルワースの城」(西欧) ビュトール「時間割」(西欧) スパーク、オブライエン「マンデルバウム・ゲイト、ドーキー文書」(西欧) トーマス・マン「選ばれし人・詐欺師フェリークス・クルルの告白」(中東欧) 「集英社ギャラリー[世界の文学] ドイツⅢ・中欧・東欧・イタリア」(

    • 架空序詞集(その10)

      読んできたなかで、それだけで味わい深い文章を集めたページ。 よく、本の中のタイトルページの裏とか、各章始まる前のちょっと下がった辺りにある、古今の本の引用。自分の本を出す予定も計画もまるでないけど、もしあったら、こんなの使ってみたい…  比類もなく、どこに始まりがあるのか見定めもつかずー末端はまた発端と綯いまぜられているのは、さながら言い知れぬ畏怖と羞恥の念いから、互いに呼びかけあうのを避けようとしているかのようであった。 (ホーフマンスタール「影のない女」)  一方、人

      • 「縛り首の丘」 エッサ・デ・ケイロース

        彌永史郎 訳  白水社Uブックス  白水社 「過去を売る男」ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザを読んだら、その中にケイロース「聖遺物」が出てきて気になったので再読… 「大官を殺せ」 この本、「大官を殺せ」と「縛り首の丘」の2編収録。まずは「大官を殺せ」。(ヨーロッパから見て遠い)中国の富める大官を、もしテーブル上の呼び鈴鳴らして殺すことができて彼の遺産が手に入るのならば、貴方は呼び鈴を鳴らしますか?という思考実験のテーマ。その行き着く先がこのケイロース「大官を殺せ」。こ

        • 「迷宮の将軍」 ガブリエル・ガルシア=マルケス

          木村榮一 訳  ガルシア=マルケス全小説  新潮社 三鷹りんてん舎で購入。1400円。 (2023 07/23) 浴槽の中の将軍 冒頭は浴槽の中でじっと動かない将軍…ラテンアメリカを解放したと言われるシモン・ボリーバルの姿から始まる。今のところ、将軍を巡る様々な人物のうちで気になるのは、最初に浴槽の将軍(といっても日課らしい)を見た召使ホセ・パラシオスと、将軍が一番胸のうちを明かすマヌエラ・サエンス。この人物は女性だが、男とともに戦い一番信用されていたらしい。 作者のあ

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        マガジン

        • 架空序詞集
          10本
        • 五大文芸誌も読んでみよう
          8本
        • 本屋巡り
          49本
        • 図書館巡り
          40本

        記事

          「ラテンアメリカ傑作短編集(続) 中南米スペイン語圏の語り」

          野々山真輝帆 編  彩流社 読みかけの棚から 読みかけポイント:最後の4編を読む。ちなみに「続」ではない方は全く読んでない… リカルド・グィラルデス「ノクターン」 カルメン・リラ「悪魔の姑」 オラシオ・キロガ「ヤグアイー」 フリオ・ガルメンディア「魂」 フェリスベルト・エルナンデス「私に似た女」 リノ・ノバス・カルボ「タマリアの幻影」 フアン・ホセ・アレオラ「すばらしいミリグラム」 ロベルト・アルルト「獣人」 フアン・ルルフォ「アナクレト・モロネス」 ギリェルモ・メネセス

          「ラテンアメリカ傑作短編集(続) 中南米スペイン語圏の語り」

          「エクソダス 移民は世界をどう変えつつあるか」 ポール・コリアー

          松本裕 訳  みすず書房 プロローグと第1章「移民というタブー」 著者ポール・コリアーの祖父の代、ドイツからイギリスへ移民として渡り、第一次世界大戦時に店を襲撃されて妻をそのショックで亡くし、子供(著者の父)は名前を変えてチャールズ・コリアーになった。 この本はおおまかに言って三分構成。移住先の社会、移民、(移民元の社会に)取り残された人々。移民問題は、(自分もそうだが)移民自体と移民先には注目するが、移民元の社会にはあまり目が向かない。せいぜい優秀な人材の流出くらいか。

          「エクソダス 移民は世界をどう変えつつあるか」 ポール・コリアー

          文藝2021年春号…ディストピアものの誘惑(五大文芸誌も読んでみよう…その8)

          五大文芸誌…文學界(文藝春秋)、新潮(新潮社)、群像(講談社)、すばる(集英社)、文藝(河出書房新社) これら五大文芸誌(以外の文芸誌も)の過去号を図書館で借りてきて、読んでみる企画(と言えるのか)。 読むのはもとより存在自体も知らなかった…というテイタラクな海外好き日本文学苦手な自分も、少しは今の日本文学シーンの一端の端っこくらいは味わないと… 「ディストピア小説の主人公とは誰か 嫌視点の作り方」 今号はディストピア作品特集。その中からまず、飛浩隆と高山羽根子の対談を

          文藝2021年春号…ディストピアものの誘惑(五大文芸誌も読んでみよう…その8)

          「パサージュ論(1)」 ヴァルター・ベンヤミン

          今村仁司・三島憲一 他 訳  岩波文庫  岩波書店 以前、岩波現代文庫で出ていたのと同内容らしい 電子書籍(kindle)で購入(だから読みがいつも以上に貧弱(笑)) 「パリ-十九世紀の首都」 だって…続き読みたいよね…5巻仕立てだよ。 (2022 12/28) とりあえずハイライトしたところを 「土星の輪」といえばゼーバルト…はたぶんここから。その他ソンタグも。 こちらはギンズブルグの「徴候」時代論。 「ためらっている」ってのが泣かせる。突き抜けて極北に至った

          「パサージュ論(1)」 ヴァルター・ベンヤミン

          「謎とき「人間喜劇」」 柏木隆雄

          ちくま学芸文庫  筑摩書房 たぶん? 今はなき(入りづらい店でお馴染みだった)市ヶ谷の麗文堂で購入 (2009 04/26) どうやら水声社「バルザック詳説ー人間喜劇解読のすすめ」(水声文庫)で復刊されている様子。 (2023 03/01) 序章 序章を読む(取り出してすぐのタイミングでも読んだと思うが)。出版から活字まで様々な事業を展開してことごとく失敗するバルザックだが、柏木氏曰く、リチャードソン始め印刷業界にまみれた後作家デビューする人は多いが、バルザックのよう

          「謎とき「人間喜劇」」 柏木隆雄

          「山をたのしむ」 梅棹忠夫

          ヤマケイ文庫  山と渓谷社 電子書籍(sonyreader)にて購入。 読みかけの棚にあったこの本、読み終わり その時の記録はこちら ↓ 中尾佐助氏の思い出 noteに載せた絡みで久しぶりに続き読んでみた。第3章から。今西錦司との渓流釣りと、中尾佐助(「栽培植物と農耕の起源」)の業績と思い出。豊川の商家の生まれの中尾氏は、日本人で初めてブータンへ渡り照葉樹林文化論を展開、かなりの実証主義者…それはいいのだが、文化的高尚さに反発することもあって、俳句を非難したり、パキスタ

          「山をたのしむ」 梅棹忠夫

          「メルロ=ポンティ コレクション」 メルロ=ポンティ

          中山元 編訳  ちくま学芸文庫  筑摩書房 読みかけの棚から 読みかけポイント:「芸術について」と「言葉について」? 「芸術について」(セザンヌ)他 セザンヌは、ひどく疑い深くまた自分の感じた対象を最初のまだ分化する前の一塊として受け止めて描く。障害を通じて。セザンヌ自身が満足したわけではないと思われるが、やはりそれは一連のしるし。このただ一つのしるしだけではなく一連のしるしというのが、人が生きていく、また死んでも万物流転して繋がっていく… (2008 09/15)

          「メルロ=ポンティ コレクション」 メルロ=ポンティ

          ほんの入り口…何の入り口を見つけた?(本屋巡り49)

          近鉄奈良駅とJR奈良駅の間、油阪船橋商店街登った先。店主本人が他のお客さん(常連さん?)に説明して自分でびっくりしていたそうだが、相当にこのお店のイベントと他のお店のイベントなどでお忙しい方らしい。 店内はそこまで大きくないが(とほんさんと同じくらい)、店主さんの人柄が出ているというか、全て何かの「入り口」になればよい、というようなそんな本の並びに見えた。ここ学校が近いことを受けての棚だと思う。幕張のライトハウスにも似ているか? とほんにもあって最近話題?の一人出版社夏葉社の

          ほんの入り口…何の入り口を見つけた?(本屋巡り49)

          「戦争」 ルイ=フェルディナン・セリーヌ

          森澤友一朗 訳  ルリユール叢書  幻戯書房 北本、小声書房で購入。 (国書刊行会から出ている「戦争」とは違うものらしい) (2023 12/30) 頭にこびりついた轟音 セリーヌの実体験であるらしい、第一次世界大戦のイーペル近辺で負傷し、イーペルの教会で応急処置をしている時に敵に攻められて違う病院に収容される。イーペルまでとその病院出てからは「夜の果てへの旅」で書かれているが、その中間の病院の部分は抜け落ちている…という箇所が書かれているのが、この「戦争」のようだ。

          「戦争」 ルイ=フェルディナン・セリーヌ

          とほん…金魚と楽しい文具がお出迎え(本屋巡り48)

          近鉄郡山駅とJR郡山駅の間。柳町商店街。 近鉄郡山からJRへ抜けるルートで。前ここ来た時は逆だったか。近鉄郡山駅前のコロッケ屋は立ち食い試すべきだったか。大和郡山は城は大きい(さすが豊臣秀長)が、商店街は閉まっている店多い。けど、各店の店先に金魚見せてアピールしている。 そんな柳町商店街。お寺見つつ素通りしそうになった「とほん」。郵便受けの名前で気づいたくらい。古民家再生した複合店舗の一角らしい。基本は新刊本屋だが、店先には古本も…「夜明け前のセレスティーノ」あった。これは早

          とほん…金魚と楽しい文具がお出迎え(本屋巡り48)

          「科学哲学講義」 森田邦久

          ちくま新書  筑摩書房 第1章「日はまた昇らない?-自然法則の必然性について」 人間がよく起こす論理的誤りのパターン これは演繹的推論(三段論法)形式自体は正しく、そして結論も正しい。ただ、前提は大前提も小前提も間違っている。論理的形式が正しければ、前提も正しいと思いがち。 膨張はしていても、何か別の理由があるのかもしれない。でも手短な理由を持ち出して理解してしまう。このアブダクションは言葉とか認知発達していくためには必要だが、間違った推論も引き起こしがち。この2と3

          「科学哲学講義」 森田邦久

          「藩とは何か 「江戸の泰平」はいかに誕生したか」 藤田達生

          中公新書  中央公論新社 藩の始まり 100ページくらいまでざっと読んだ。 江戸初期の藩の成立を検討した本。その時代は、相次ぐ戦争で国土が荒廃していた危機的な状態だった。そこに新たに沖積平野の真ん中に城を築き、城下町を整備し、それを養う農村を作っていくという「藩」が形成される。 著者は、伊勢津の藤堂家と近江彦根の井伊家を藩の始まりだとしている。中世以来の諸勢力による直接統治を否定し、国替(これは藩とセット)も多い。 土地と人民は公のものという思想(これは信長辺りから続く、

          「藩とは何か 「江戸の泰平」はいかに誕生したか」 藤田達生