踏み跡

中東欧やラテンアメリカを中心とした海外文学作品の紹介と感想、文学評論・歴史・哲学・人類…

踏み跡

中東欧やラテンアメリカを中心とした海外文学作品の紹介と感想、文学評論・歴史・哲学・人類学、等々の様々な本の読書メモなどを中心にする予定です。時には違うものも混ざるかも。

マガジン

  • 架空序詞集

    導入として雑談で書いている架空序詞集をまとめてみました。

  • 五大文芸誌も読んでみよう

    五大文芸誌…文學界(文藝春秋)、新潮(新潮社)、群像(講談社)、すばる(集英社)、文藝(河出書房新社) など文芸誌を、その存在すら知らなかった人間が興味あるところを読み進めていく企画?

  • 本屋巡り

    導入として雑談に書いている本屋巡りのマガジン作ってみました。

  • 図書館巡り

    導入として。こちらは各地の図書館をぶらっと回った記録です。

記事一覧

固定された記事

読書記録総目次

見出し画像 チェコ プラハ 地域・ジャンル別まとめ 旧カテゴリー 作者・著者・シリーズ等まとめページ(随時追加中) 記事一覧(読了日古い順) 2007年 ジョイ…

踏み跡
2年前
19

「街道手帖」 ジュリアン・グラック

永井敦子 訳  シュルレアリスムの本棚  風濤社 京都恵文社で購入。 (2022 12/11) 読みかけの棚から 読みかけポイント:これもまさに読みかけ… 糸杉と…

踏み跡
11時間前

「今和次郎 思い出の品の整理学」 今和次郎

STANDARD BOOKS 平凡社 奈良のほんの入り口で購入。 (2024 04/20) 考現学とは 先程買った今和次郎の本を少し。考古学に対しての考現学(意外に変換でき…

踏み跡
1日前
2

「疎外と叛逆 ガルシア・マルケスとバルガス・ジョサの対話」 ガルシア=マルケス、バルガス=リョサ

寺尾隆吉 訳  水声社 ガルシア・マルケスとバルガス・ジョサの対話 アラカタカからマコンドへ バルガス・ジョサ バルガス・ジョサへのインタビュー 訳者あとがき (一…

踏み跡
2日前
4

ブランクーシ 本質を語る

アーティゾン美術館 ブランクーシ 本質を語る 東京駅近くアーティゾン美術館(元ブリヂストン美術館)。 前にデ・クーニング展見たブリヂストン美術館が新規改装したア…

踏み跡
3日前
5

「ナボコフの一ダース」 ウラジミール・ナボコフ

中西秀男 訳  サンリオSF文庫  サンリオ フィアルタの春 忘れられた詩人 初恋 合図と象徴 アシスタント・プロデューサー 夢に生きる人 城、雲、湖 一族団欒の図、…

踏み跡
4日前
4

「大森荘蔵セレクション」 大森荘蔵

飯田隆・丹治信春・野家啓一・野矢茂樹 編  平凡社ライブラリー  平凡社 「決定論の論理と、自由」、「夢まぼろし」 第2部の「決定論の論理と、自由」と、第1部(…

踏み跡
5日前
3

「ギリシャSF傑作選 ノヴァ・ヘラス」

竹書房文庫  竹書房 フラヌール書店で購入 竹書房文庫の姉妹編「イスラエルSF傑作選 シオンズ・フィクション」と同時に。 (2023 04/29) 読みかけの棚か…

踏み跡
6日前
5

「シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選」

竹書房文庫  竹書房 フラヌール書店で購入。 姉妹編の「ギリシャSF傑作選 ノヴァ・ヘラス」も同時購入。 (2023 04/29) 読みかけの棚から 読みかけポイ…

踏み跡
7日前
6

「日本語「標準形」の歴史 話し言葉・書き言葉・表記」 野村剛史

講談社選書メチエ  講談社 室町期まで 室町期の半ばになるまで、日本の中央と地方の関係は、中央から地方へ貴族や役人が下るという一歩通行的な側面を持つ。これが室町…

踏み跡
8日前
8

奈良志賀直哉旧宅

JR奈良に着いて、昼食を駅ビルのヴィルドフランスでとったあと、奈良交通市内循環バスで志賀直哉旧宅へ。 奈良交通バスもPASMO使えて便利。だけど乗ったのは、最寄りの破…

踏み跡
10日前
6

「パタゴニア」 ブルース・チャトウィン

芹沢真理子 訳  河出文庫  河出書房新社 「カンポ・サント」ゼーバルトから チャトウィン。付属の池澤夏樹のエッセイでも取り上げられ、繋げているゼーバルトとチャ…

踏み跡
10日前
6

「夜明けを待つ」 佐々涼子

集英社 「体はぜんぶ知っている」、「諦念のあと」 「体はぜんぶ知っている」から。 この本は死に直面するルポが多いようだが、死を大仰に語るよりも「体は死に方を知っ…

踏み跡
11日前
3

松戸戸定邸

今日は、松戸の戸定邸に行って来た。 ここは徳川慶喜の弟(異母兄弟)の昭武の屋敷。最後の水戸藩主。幕末のヨーロッパでの万博、そして明治のフィラデルフィア万博からヨ…

踏み跡
12日前
2

架空序詞集(その10)

読んできたなかで、それだけで味わい深い文章を集めたページ。 よく、本の中のタイトルページの裏とか、各章始まる前のちょっと下がった辺りにある、古今の本の引用。自分…

踏み跡
13日前
1

「縛り首の丘」 エッサ・デ・ケイロース

彌永史郎 訳  白水社Uブックス  白水社 「過去を売る男」ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザを読んだら、その中にケイロース「聖遺物」が出てきて気になったので再…

踏み跡
2週間前
1
固定された記事

読書記録総目次

見出し画像 チェコ プラハ 地域・ジャンル別まとめ 旧カテゴリー 作者・著者・シリーズ等まとめページ(随時追加中) 記事一覧(読了日古い順) 2007年 ジョイス「ユリシーズ」(西欧) スコット「ケニルワースの城」(西欧) ビュトール「時間割」(西欧) スパーク、オブライエン「マンデルバウム・ゲイト、ドーキー文書」(西欧) トーマス・マン「選ばれし人・詐欺師フェリークス・クルルの告白」(中東欧) 「集英社ギャラリー[世界の文学] ドイツⅢ・中欧・東欧・イタリア」(

「街道手帖」 ジュリアン・グラック

永井敦子 訳  シュルレアリスムの本棚  風濤社 京都恵文社で購入。 (2022 12/11) 読みかけの棚から 読みかけポイント:これもまさに読みかけ… 糸杉とガラス窓 特に中間の文章。糸杉が風に揺れるだけでたわみとそれへの反抗というものを捉える目が、シュルレアリストとして詩人としてのグラックを支えている。 あと、前に読んでいた河島英昭「イタリアをめぐる旅想」から引き続く、アスタリスク感… (読んだのは06/30夜。p10まで) (2023 07/02) オルナン

「今和次郎 思い出の品の整理学」 今和次郎

STANDARD BOOKS 平凡社 奈良のほんの入り口で購入。 (2024 04/20) 考現学とは 先程買った今和次郎の本を少し。考古学に対しての考現学(意外に変換できた)。考古学が歴史学の補助学問であるように、考現学は社会学の補助学問となる。と…続いての人類学との対比は今では難しいか。とにかくここで今氏が述べている考現学を、現代ではそれこそ社会学と人類学自身がやっている感じか(考現学がどうなっているのかはわからないが)。とにかくこのスタンダードブックスという

「疎外と叛逆 ガルシア・マルケスとバルガス・ジョサの対話」 ガルシア=マルケス、バルガス=リョサ

寺尾隆吉 訳  水声社 ガルシア・マルケスとバルガス・ジョサの対話 アラカタカからマコンドへ バルガス・ジョサ バルガス・ジョサへのインタビュー 訳者あとがき (一番上は1967年9月の対談リマにて。二番目は「神殺しの物語」の前、「世界の文学 現代評論集」に鼓直訳にも収録。一番下は1965年、インタビュアーはあのエレナ・ポニアトウスカ。この3編を一冊にまとめたもの) マルケスに関して マルケスによると、彼が一番最初に書き始めたのは「百年の孤独」らしい。16歳の頃。もちろ

ブランクーシ 本質を語る

アーティゾン美術館 ブランクーシ 本質を語る 東京駅近くアーティゾン美術館(元ブリヂストン美術館)。 前にデ・クーニング展見たブリヂストン美術館が新規改装したアーティゾン美術館。事前時間予約ネット割で1800円。 まずは6Fブランクーシ展。コンスタンティン・ブランクーシ(1876-1957)。ルーマニア南西部の出身。 よく出てくるモティーフは、顔の形だけが直に横になっているものと、垂直に上に向かっていくもの。前者は睡眠の、後者は飛翔のイメージ。特に前者は何故横に直置きな

「ナボコフの一ダース」 ウラジミール・ナボコフ

中西秀男 訳  サンリオSF文庫  サンリオ フィアルタの春 忘れられた詩人 初恋 合図と象徴 アシスタント・プロデューサー 夢に生きる人 城、雲、湖 一族団欒の図、一九四五年 「いつかアレッポで…」 時間と引き潮 ある怪物双生児の生涯の数場面 マドモアゼルO ランス 訳者あとがき 神保町の澤口書店巌松堂ビル店で購入。「一ダース」とあるけど、実際は13編。 (2011 11/20) 「合図と象徴」 とりあえずこの短編集から短めの「合図と象徴」を読んでみる。タイトルから

「大森荘蔵セレクション」 大森荘蔵

飯田隆・丹治信春・野家啓一・野矢茂樹 編  平凡社ライブラリー  平凡社 「決定論の論理と、自由」、「夢まぼろし」 第2部の「決定論の論理と、自由」と、第1部(前に読んだかと思うけど)「夢まぼろし」を読んだ。あとがき代りの4者対談の中に、大森氏は学生にものを徹底的に考えさせることには貢献したが、自分の思想の後継者はついに作り出せなかったということが書かれていたが、実際読んでみると確かにそんな気がする。前者は決定論はトートロジーが故に正しい。そこに自由を議論する余地が出てく

「ギリシャSF傑作選 ノヴァ・ヘラス」

竹書房文庫  竹書房 フラヌール書店で購入 竹書房文庫の姉妹編「イスラエルSF傑作選 シオンズ・フィクション」と同時に。 (2023 04/29) 読みかけの棚から 読みかけポイント:これも読みかけ途中… 「はじめに」と「ローズウィード」ヴァッソ・フリストウ 冒頭、「はじめに」と「ローズウィード」を読んだ。この本の中にも作品出してるリナ・テオドルのビジュアルアート展に「明日」というテーマで作品書いてと依頼。それらの作品群に何編か追加した「α2525」というアンソロジー

「シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選」

竹書房文庫  竹書房 フラヌール書店で購入。 姉妹編の「ギリシャSF傑作選 ノヴァ・ヘラス」も同時購入。 (2023 04/29) 読みかけの棚から 読みかけポイント:まさに読みかけ… 「オレンジ畑の香り」ラヴィ・ティドハー まえがきと「オレンジ畑の香り」ラヴィ・ティドハーを読んだ。 「オレンジ畑の香り」は、中国系・ユダヤ系・ロシア系の名前をそれぞれ引き継いでいるボリスという男を中心に、その祖父が「自分含め一家の記憶を後世の人間に残す」ことを願い実現した、という未来社

「日本語「標準形」の歴史 話し言葉・書き言葉・表記」 野村剛史

講談社選書メチエ  講談社 室町期まで 室町期の半ばになるまで、日本の中央と地方の関係は、中央から地方へ貴族や役人が下るという一歩通行的な側面を持つ。これが室町期になると徐々に変わっていく、という。 この辺は、言語史というより社会言語学の重要テーマになるのでは。ただ接触があるだけでは言葉は伝播しない。地方から上京するタームにならないと… 室町期における、口語(話し言葉)を保存している形態3種。狂言、抄物、キリシタン資料。この中で真ん中の抄物というのは、各地の「学校」(高

奈良志賀直哉旧宅

JR奈良に着いて、昼食を駅ビルのヴィルドフランスでとったあと、奈良交通市内循環バスで志賀直哉旧宅へ。 奈良交通バスもPASMO使えて便利。だけど乗ったのは、最寄りの破石町の一つ手前の高畑町。ひとバス停くらい歩こう…このバス停間と同じくらい破石町からも歩いて志賀直哉旧宅へ。 志賀直哉旧宅は今は奈良学園セミナーハウス。志賀直哉が去ったのち、米軍に接収されたりもしていろいろだったのを、奈良学園が買い取って、志賀直哉のデザインに「復元」したらしい。写真OKが嬉しい(復元だからだろう

「パタゴニア」 ブルース・チャトウィン

芹沢真理子 訳  河出文庫  河出書房新社 「カンポ・サント」ゼーバルトから チャトウィン。付属の池澤夏樹のエッセイでも取り上げられ、繋げているゼーバルトとチャトウィン。ゼーバルトはチャトウィン(だいたい同世代)のどこに惹かれるのか。 この章はチャトウィンを通した周辺読書のガイドにもなっている。フロベール「三つの物語」、ペレック「Wあるいは子供の頃の思い出」、バルザック「あら皮」、そしてチャトウィン自身の「ウッツ男爵」。 (2023 05/05) ブエノスアイレスとロ

「夜明けを待つ」 佐々涼子

集英社 「体はぜんぶ知っている」、「諦念のあと」 「体はぜんぶ知っている」から。 この本は死に直面するルポが多いようだが、死を大仰に語るよりも「体は死に方を知っている」というように、意外に自然な死に方を書いていて、この手の話題に慣れていない読者(自分のこと)を和ませる。 この章では作者自身の卵巣嚢腫(のうしゅ)のことについて書かれている。嚢腫とは原始生殖細胞が暴走して別のものを作り出してしまうものらしい。髪の毛とか?爪とか歯とか? とても変わった病気なのかと思えば、割と

松戸戸定邸

今日は、松戸の戸定邸に行って来た。 ここは徳川慶喜の弟(異母兄弟)の昭武の屋敷。最後の水戸藩主。幕末のヨーロッパでの万博、そして明治のフィラデルフィア万博からヨーロッパ視察。この時の日記はなんとフランス語で書いている。慶喜や家達(徳川宗家)、それから渋沢栄一なども交流がある。ナポレオン3世の后?とも手紙のやり取りも。 和洋折衷の庭、昭武の母の秋庭の為の離れ(万年青のスケッチをよくしていたらしく、そばには万年青?が植えてあった)、一本まるまる使った梁、襖の上のデフォルメされた葵

架空序詞集(その10)

読んできたなかで、それだけで味わい深い文章を集めたページ。 よく、本の中のタイトルページの裏とか、各章始まる前のちょっと下がった辺りにある、古今の本の引用。自分の本を出す予定も計画もまるでないけど、もしあったら、こんなの使ってみたい…  比類もなく、どこに始まりがあるのか見定めもつかずー末端はまた発端と綯いまぜられているのは、さながら言い知れぬ畏怖と羞恥の念いから、互いに呼びかけあうのを避けようとしているかのようであった。 (ホーフマンスタール「影のない女」)  一方、人

「縛り首の丘」 エッサ・デ・ケイロース

彌永史郎 訳  白水社Uブックス  白水社 「過去を売る男」ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザを読んだら、その中にケイロース「聖遺物」が出てきて気になったので再読… 「大官を殺せ」 この本、「大官を殺せ」と「縛り首の丘」の2編収録。まずは「大官を殺せ」。(ヨーロッパから見て遠い)中国の富める大官を、もしテーブル上の呼び鈴鳴らして殺すことができて彼の遺産が手に入るのならば、貴方は呼び鈴を鳴らしますか?という思考実験のテーマ。その行き着く先がこのケイロース「大官を殺せ」。こ