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『ゴジラ』について -昭和編(第1作『ゴジラ(1954)』~第15作『メカゴジラの逆襲(1975)』)

諸君、私はゴジラが好きだ。

諸君、私はゴジラが好きだ。

諸君、私はゴジラが大好きだ。

ということで初めての映画のレビューなわけです。日本を代表する水爆大怪獣映画『ゴジラ』。その第1作目は1954年に登場し、昭和・平成・ミレニアムを経て『シン・ゴジラ(2016年)』では全世界興行収入7,800万ドルを記録し、さらに来年も4月には『ゴジラS.P.(シンギュラリティ・ポイント)』というアニメシリーズが、5月には『ゴジラvsコング』というハリウッド・ゴジラシリーズの続編が、すでに決まっています。

誕生66年目にして未だ世界とともに進化を遂げる日本産怪獣ゴジラ。もとはといえば子供のころ、平成ゴジラシリーズの『ゴジラvsメカゴジラ』や『ゴジラvsデストロイア』を見てパンフレットを買い込むまで好きになり、その後ちょっとずつ過去のシリーズも見ており、『シン・ゴジラ』でその思いは爆発してAmazon Primeを利用して一気にシリーズを駆け抜けました。

改めて見直すと、ゴジラというのは本当に不思議な存在で、そもそもの出自が戦後急激に発展した「原子力という恐怖の象徴(=アンチテーゼ)」でありながら、それがそのまま子供のヒーローになってしまい、かと思ったら環境破壊の象徴のような怪獣と戦ってしまい、と思ったら戦争の象徴として日本を恐怖に陥れたりと、時代の象徴とくくるにもあまりの節操がない。その節操のなさ自体がもう日本っぽいのではなかろうか。と思ってしまう存在でした。ぶっ続けで見るともう本当によくわかりません。何がしたいのこいつ。


昭和ゴジラ一覧

昭和編の作品は下記15作品となります。

1954 『ゴジラ』
1955 『ゴジラの逆襲』
1962 『キングコング対ゴジラ』
1964 『モスラ対ゴジラ』
1964 『三大怪獣 地球最大の決戦』
1965 『怪獣大戦争』
1966 『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』
1967 『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』
1968 『怪獣総進撃』
1969 『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』
1971 『ゴジラ対ヘドラ』
1972 『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』
1973 『ゴジラ対メガロ』
1974 『ゴジラ対メカゴジラ』
1975 『メカゴジラの逆襲』

一個一個語るのは自分には不可能と判断したため、前置きが長いのですがここからものっすごく適当に、自分が好きな作品だけ語っていければと思います。ちなみに、さっくりと済ませると、ワースト3位は『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』 『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』 『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』の3つですね。要はミニラが出張っている作品なのですが、ゆえにゴジラの父性が強調されており、はっきりいってゴジラ作品とは別のものになりすぎています。『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』に至っては、少年が謎のコンピューターで夢の中で怪獣島へ行き、そこでいじめっ子の象徴であるガバラにミニラとともに立ち向かう、というストーリーです。要は夢落ちです。ゴジラはその横でミニラをどついています。他にもわらわら怪獣出てきますが、大体過去の映像の流用です。なんだそれ。

第3位:三大怪獣 地球最大の決戦

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自分が最も好きな怪獣にして(造形的にはメカキングギドラ)ゴジラの永遠のライバル、宇宙怪獣「キングギドラ」が初登場する映画です。ちなみに、キングギドラはこの後のゴジラシリーズでは大体宇宙人に操られる形で登場するので、自分の意志で行動するのはこの映画のみとなります。かわいそうすぎだろ。

コメディ・シリアス・そしてロマンスが絶妙なブレンドでマッチした稀有な作品だと思います。おおかたこのあたりのゴジラってのはふざけてやがるもので、この作品では有名なゴジラ・ラドン・モスラの三者会談シーンがありまして、「ラドンもそうだそうだといっています」という迷シーンを放った作品でもあるのですが、一方で今までの敵とは格が違い、ゴジラが単体でもどーにもできずモスラ、ラドン、ゴジラ連合軍で初の宇宙産怪獣キングギドラと戦うというかなり胸熱な展開がみられる作品でもあります。まあ会談に時間かかりすぎてバトルが短尺だったり、予算の都合なのかモスラは最後まで幼虫だったりと、相変わらず残念なところは多々あるのですが。

とにかくキングギドラが格好いい。操演に25名が必要というハチャメチャな造形といい、一発でキングギドラとわかるスペーシーな鳴き声といい、武器が3つの首から吐く稲妻なとこといい、そしてさらっと空を飛んでラドンのアイデンティティをなくすとこといい(『キング・オブ・モンスターズ』ではラドンとのあまりの戦力差にもう泣けました)、ラスボスの風格が素晴らしい。ということで、キングギドラはこの後も何度もゴジラの前に立ちはだかります。前述の通り、大概洗脳されてるのですけど。

そしてこの作品、なにげにロマンス要素強めなんですよね。サルノ王女という異国の王女と日本の刑事との『ローマの休日』風淡いロマンスが描かれます。ゴジラシリーズのロマンスって大概ハリウッド映画もびっくりな雑さ加減で描かれるのが多いのですが、この作品は良かったな。

第2位:キングコング対ゴジラ

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第3作品目。アメリカの誇る巨大怪獣キングコングと日本のゴジラの決闘という、ゴジラシリーズの中では異色的な作品。なのですが、ゴジラシリーズの中では堂々の動員人数1位(1,120万人)を記録した作品でもあります。いろんなジャケットがあるのですが、とにかく↑のジャケットが最高。プロレスか。

原作『キングコング』へのオマージュ多々(国会議事堂によじ登るシーンや美女に弱いところなど)もさることながら、人間にいいようにされまくるキングコングの愛らしさとか、都合よく放電体質を身につけるあたりとかそこらへんもいい意味でコミカルであり、かつジャケットにも描かれてますがゴジラシリーズの中でも屈指のバリエーションあるステゴロが見れる作品でもあります。岩を投げあうバトルシーンもこの作品が初出?調子に乗ってゴジラとエビラが永遠とそれしかしなかった時にはいい加減にしろと思いましたが。

後この作品、序盤はファロ島でのキングコング対大ダコがあったりとか、舞台の移り変わりが激しい面でもなかなか飽きさせないでよいですね。(余談ですが、昭和のゴジラシリーズは共通してとにかく序盤~中盤までのミドルテンポな人間ドラマがくそだるいものが多い)

ということで2位です。この作品ではアメリカに忖度して決着がつかなかった両社ですが、来年のハリウッド版『ゴジラvsコング』ではちゃんと決着をつけるとの事。そもそもハリウッド版の方、現データだけ見るとどう考えてもコングに勝ち目なさそうなのですが、はてさて…。

第3位:ゴジラ

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1st至上主義みたいになってしまって申し訳ないのですが、第1作目の『ゴジラ』が個人的昭和ゴジラ1位です。何度か言及している通り、昭和ゴジラ、特に60年代後半あたりのゴジラはコメディ要素が強いのですが、原点のゴジラはコメディ要素一切なし。とにかくゴジラが怖い。次々に消息を絶つ船。正体を現しそうで現さない謎の生物。姿を現したが最後、人間たちの必死の抵抗など意にも介さず松坂屋、和光ビル、日本劇場、国会議事堂、テレビ塔、勝鬨橋を次から次へと破壊。東京を焦土と化し、被害者に放射能をばらまきまくり、最終的には芹沢博士の犠牲と人類最終兵器オキシジェン・デストロイヤーによって葬り去られる…。

完璧です。まさに恐怖の象徴。水爆実験によって叩き起こされた放射能の化身の怒りが東京を焦土としていくテーマ性。その威力により人類の栄華の象徴である煌びやかなランドマークが次から次へと蹂躙されるビジュアル性。(※ちなみにこれでぶっ壊された松坂屋や和光ビルがブチ切れてその後数年間東宝のロケを出禁にしたとかなんとか)幼い子供たちが放射能の残穢で苦しむ姿…。もはやこれはホラー映画だ。この恐怖の象徴たるゴジラがこのあとシェーをしたりだとか吹き出しで会話したりだとか息子をどついて育てたりとか、誰が考えるだろうか。

ということで、昭和ゴジラを何か一つ観るとなったら絶対に初代ゴジラを推します。白黒なのがまた恐怖に輪をかけていいんですよね。そして、この初代ゴジラを葬ったオキシジェン・デストロイヤーが、私がキングギドラに次いで大好きな平成ゴジラの代表格「デストロイア」の誕生・その帰結への壮大な伏線になるわけですが、それは次の「平成ゴジラ」のnoteにて。

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