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南仏を旅して01〜マルセイユ辺りでめっちゃMerci〜

私のnoteをフォローしてくださっているフォロワーの皆様ごきげんよう。
そうじゃない方は初めまして。

はじめに〜最近の話〜

バンクーバーライフハックのこの記事が意外と好評頂いてるようなので冒頭で調子に乗った挨拶をしてしまいました。

この記事を執筆した際はバンクーバーから帰ってきていろいろ忘れないようにと備忘録として、そして誰かの役にたつ記事が書けたらと思い執筆したのですが、どうも私の指先は文字を打つのがあまり好きではないようで1年近く記事を公開しておりませんでした。その後1年ほど日本で機械設計者の仕事を経てなんとかYMSビザを取得し2024年3月に渡英。そしてちょうど昨日ロンドン生活1ヶ月が経過したところでイギリスでジョブオファーを頂きました。

選考過程で2回面接したのですが、1次面接が終わった後に『これイケるな』と思ったので2回目の面接までの間に南フランスへ旅行してみました(就活舐め過ぎ)。受かったから良しとして本記事ではその様子をお届けします。
バンクーバーライフハックからフォローしてくださった皆様にはご期待に沿えない内容かとは思いますがご容赦願います。暇つぶし程度に読んでみてください。長いですけど(圧)

出発まで

前述の通りイギリスでの仕事が決まりそうだったので、仕事が始まる前にヨーロッパのどこかへ旅行しようじゃないかとパートナーと話し合い今回の旅に出ることになりました。金曜日に1次面接してイケるなと思ったので土曜日に飛行機予約して日曜日に出発。2次面接は早くても次の金曜日といわれたので木曜日に帰ってこようってことで4泊5日のプランになりました。

フランスを選んだのはなんとなくでした。そりゃあヨーロッパだったら行きたいところはいっぱいあるし北欧や東欧など日本からじゃなかなか行きにくい場所も簡単に旅行できるのがイギリス在住のいいところ。

話は変わって2024年4月10日に宇多田ヒカルがベストアルバム『SCIENCE FICTION』をリリースしました。Re-RecやRemix、新曲も交えた本作は是非宇多田ヒカル古参の方も新規の方にも聞いてもらいたい完全無欠のビビガールベストアルバムになっております。
本記事のタイトルを見て、はいはいそういうことね、と思った方もいらっしゃるかとは思いますが、2022年のアルバム『BADモード』にも今回のベストアルバムにも収録されている楽曲があります。(ベストアルバムではReEditされてますが)
その名も『Somewhere Near Marseilleーマルセイユ辺りー
宇多田ヒカルの楽曲にも取り上げられたマルセイユという街を一眼見てみたかった。それがなんとなくの理由です。私が普段料理中に音楽を流すので私のパートナーもその曲を聞いてメロディを鼻歌で歌っていました。
ようするにマルセイユ辺りでマルセイユ辺りを聴いてみたかったわけです。

パソコンで読んでる方は是非この曲流しながら本記事をお楽しみください。

マルセイユあたり

ロンドンガトウィック空港8時の便に乗るため早朝朝4時に起きて空港に向かいました。TubeとNational Railwayを乗り継ぎ空港到着。オンラインチェックインを済ませていたので手荷物検査へ向かいスルッと飛行機に搭乗。

フライトは2時間ほどでした。マルセイユに近づくにつれ青々と輝く海が見えてきて早くも南仏に魅了されました。

機内から見えたフリウル島

もちろん機内のBGMはSomewhere Near Marseille。
タイトルの伏線回収早くも終了。ありがとうございました。

到着するや否や入国審査官に『We are not ready for Olympic Game』とフレンチジョークか社会問題かをかまされながら入国。空港で先ほどまでロンドンの朝の冷え込み対策に着てた冬着から半袖へ着替えて市街地へとバスで向かいました。

バスから見える景色は乾いた土と道路脇のグラフィティそして青い空。不思議とフランスのグラフィティの方がオシャレに見えます(多分思い込み)。40分ほどでマルセイユの主要駅、サン=シャルル駅に到着。

サン=シャルル駅構内

サン=シャルル駅からの長めでもう綺麗な街だと感じました。白を基調にオレンジの瓦屋根で統一された街並み、建造物への彫刻、そして青い空。
ロンドンに移住してから太陽をまともに浴びてなかったので、これでもかってくらいの青空に心が躍りました。

バイクの旅 トラブル連発、そしてMerci

読者の皆様は海外で運転した経験があるだろうか。
私はアメリカ、カナダ、ニュージーランドと車の運転をしたことがありますが、今回は初めての海外でのバイク移動を盛り込んでみました(無謀)。

もともと二輪メーカーで働いていたこともあり日本の大型二輪の運転免許も持っていますし、国際運転免許も所持しておりますので法的に問題ございません。

今回この旅でバイク移動を盛り込んだのには理由があって、後の日程でニースに行くことになっており、マルセイユの観光は到着した初日と2日目の午前中のみ。全く準備もへったくれもない突発的な旅で直前に調べたカランクをどうしても見たかったので時間的に短縮できそうなバイク移動を盛り込みました。

カランクとはマルセイユ付近にある地形のことです。マルセイユ観光するなら是非押さえておきたいというこのカランクは切り立った岩肌とその隙間を縫うように現れる美しい海の入江のことで、マルセイユからは基本的にはバスで行くのがセオリーです。しかしこのカランク、バスで市街地から1時間、その後1時間ほどハイキングしてたどり着ける場所なのです。そんなことしてたら街中の観光できなくなってしまうということでバイクという選択肢を選んでみました(これが不幸の始まり)。

バイクとなると市街地からカランクまで40分程度でいけます。ちなみにレンタカーはというと基本的にヨーロッパはミッションの車が多いので諦めました。農家でひたすら軽トラを運転した経歴がある僕ですが、流石に左ハンドル右車線のミッション車で市街地へ繰り出す勇気はありませんでした。その点バイクは操作方法は同じなので車線と交通ルールさえ間違えなければ大丈夫ということでさっそくレンタルバイク屋へ向かいました(楽観)。

サン=シャルル駅の近くにレンタルバイク屋を見つけていました。しかし当日だと予約システムの関係上、予約できなかったのでGoogle Mapを頼りに店舗に行ってみることに。
マップ上に示された場所に行くとそこには駐車場。他のレンタカーのマークも見えて安心して店舗を探して練り歩くが一向に見つからない。奥まで進んでも見当たらない。そこでその駐車場内で洗車しているスタッフに聞くと店舗はないとのこと。ほなどうせえっちゅうねん。
とりあえずGoogle Map の連絡先の電話番号に電話すると店舗はなくてバイクだけ駐車場に置いてるからオンライン予約しろとのこと。オンライン予約するにはフランスの郵便番号とか入力しろとかなんとか出てきたので困ってまた電話。ほな適当でいいからとのこと。その後決済画面で弾かれまくってまた電話。別の決済システムのリンク送ってみるからと言われその画面でも弾かれて電話。問題発生、電話の繰り返し…
日本のクレジットカードはこういう時に弾かれまくるのほんまにどうにかしてくれ。
計5回くらい電話して、その度にめちゃくちゃ真摯に対応して助けてくれたグレゴリー君。君のことは一生忘れないよ。Merci.

その間パートナーはなにもできないのでとにかく待たせてしまいました。結局駐車場で1.5時間ほど消費しなんとかバイクをレンタルできました。ごめんねパートナー。
レンタルバイクの値段は1日69ユーロでした。さてバイクを借りれたのはいいものの、原付を除いてバイクの運転をするのは実に5年ぶり。しかもパートナーがいるのでタンデムなんて最後にしたのいつですか?加えて二人分の旅の荷物を荷台に乗せなければなりません。少し駐車場で感覚を戻すために運転していざ出発。と思ったら今度は駐車場の出方がわからない。出口にはチケットをかざすところがあるがそもそもレンタルなので入場のチケットももらってない。
また近くにいた駐車場スタッフに聞くと駐車場出る時用の暗証番号を教えてくれて駐車場から脱出成功。いや、その辺にスタッフいなかったらどうやって脱出してたん。駐車場スタッフのダニエル君(仮名)。君のことも一生忘れないよ。Merci.

今回レンタルしたバイクはMASH Seventy 125

旅の相棒 MASH seventy 125

一体どこのバイクやねん。聞いたことないんですが。
調べてみたらMASHはフランスの二輪メーカーらしく、フランスに来てフランス製の二輪車に乗るというなんとも珍しい体験をしました。排気量は125ccの単気筒。日本で言うと原付2種。単気筒エンジンのトコトコ感が好きなのですぐに気に入りました。

さてさて運転を開始するや否や感じるのは、歩行者の圧倒的信号無視率。とにかく自分の渡りたい時に横断します。歩行者用信号はあってないようで。
運転する立場としては本当に恐怖の連続です。ましてや初めての街で右車線での運転、後ろにはパートナーをタンデムし旅の荷物をくくりつけている。教習所のシミュレーターより怖い運転でした。道もわからないのでフラフラ運転してしまい窓開けてファック的なことも言われました。

とりあえず荷物から解放されるためにホテルまで運転していると、坂道で後輪がロックしました。

あっ、これ死ぬやつ。

走馬灯を見るときはスローモーションとはよく言ったもので、後輪が滑っていく感覚をゆっくりと感じていました。意外と冷静なんだなこういうとき。

気付いたら道路の真ん中で転けることなく地に足ついて止まってました。エンジンも停止していたので急いで邪魔にならないとこまで移動させないと。
パートナーも一旦降りてもらいバイクを移動させようとしたが今度はバイクがうんともすんとも動かない。エンジンもかからない。変な汗が20L出ました。

するとそこへフランス人男性がやってきて、『落ち着いて、後輪を見ろ』と。
どうやらタンデムシートに固定していた荷物がシートからずれ落ち後輪に巻き込まれロック。そのまま滑って停車したようでした。荷物が挟まって後輪ロックしてたらそりゃ動かんわと。そこにもう一人の男性が駆けつけて挟まった荷物を引っ張り出してくれました。あのとき後ろから車が突っ込んできてたら確実に終わってたな。あの時見ず知らずのヘンテコライダーだった私を救出してくれたポール(仮名)とセドリック(仮名)。君たちのことは一生忘れないよ。Merci.

レンタルバイクという要素が旅に加わってからトラブルの連続。命からがらホテルまで辿り着いた二人でしたが、ここで一息ついてたらバイクを選んだ意味がないということでコンビニで昼食を調達しいざカランクへ。

マルセイユの風を切り燦々と降り注ぐ太陽を浴び走るMASH Seventy 125。先ほどまでのトラブルのバーゲンセールをリカバリーするかのようなマルセイユクルージングは最高の瞬間でした。

街中を駆け抜けると景色は徐々に乾いた岩肌へ。前述の通りバスでカランクへ向かう場合は1時間のハイキングが必要です。そんなハイカー達を横目にぐんぐんと山道を駆け上る鉄馬の右に出るものはいませんでした。

カランクが見えてきました

山の頂上付近を抜けるとようやく海が見えてきました。その景色の美しさたるや。なにがカランクを美してしているのかと言うと、前述した乾いた岩肌です。石灰質を多く含むその岩肌は灰色で、太陽光に照らされもはや白い岩肌と言ってもいいでしょう。その白が海の青さを一層輝かせるのです。海はというと透明度の高い浅瀬とその先に広がる一面の瑠璃色の世界。

どうやら山を下るとビーチに行けるようなので行ってみることに。またもハイカー達を追い抜き山を下りました。車だと駐車料金がかかるようでしたが、バイクは無料でした。駐輪場にバイクを停め少し歩くと美しいビーチが目の前に広がります。

カランクの海水の透明度すごすぎ〜

バンクーバーにいたとき、欧米人にとって海はリラックスする場所で泳ぐ場所ではないと聞いたことがありました。もちろん泳ぐ人もいますが少し日本人とは感覚が違うのかもしれません。
しかしこの美しいカランクのビーチを目の前にして、ましてやハイキングを終えた彼らは足早に海に入りオアシスを満喫していました。

私たちは水着もビーサンも持ってなかったので靴をぬぎ足だけチャプチャプして楽しみました。4月半ばというのに気温は25度くらい照りつける太陽も相まって体感で言うと日本の初夏の気持ちいい季節のようでした。

持参した昼食のピザトーストとオレンジジュースをいただきながら、贅沢すぎるほどのビューを横目にランチを楽しみました。

途中若者に写真を撮って欲しいと頼まれました。渡されたのはチェキ。デジタルに支配されたスマホ一つで完結する現代でまだこのアナログな手法で思い出を残す若者よ、実に興味深い。ならば拙者、齢30じゃぽねいぜ、データも消せぬこのカラクリ撮影機にて至極の1枚を撮影してあげようではないか。Google Pixelで決してやることもできないが故、後ろに映るものどもが立ち退くまで来るべき刻を待ち続け、絶好の好機に釦を押下して差し上げた。若者よ一生青春たれ。

そんな旅の一コマを振り返りながら帰り支度して駐輪場に戻りました。

バイクにまたがりエンジンをかけようとするがかからない。

もうええてー!!

この美しい景色を目の前に自分の一生を終えるのも悪くないかと、悠長な妄想をしていると駐車場の管理スタッフのナイスガイが駆け寄ってきてくれました。彼も試したがエンジンかからず。近くにいたフレンチポリスも集まって原因はどこだなんだと探していると、どうやらサイドスタンドスイッチに問題がありそうだということに。そういえばそんな部品ついてたな(元二輪メーカー勤務)。サイドスタンドを立ててるとエンジンがかからないようになる部品が付いています。それがどうも悪さをしているようでナイスガイがその辺を触っているとエンジンがかかりました。助かった〜。助けてくれたフィリップ(仮名)。君のことも絶対忘れないよ。Merci.

一度動き出した鉄馬Seventy 125に跨る私ははまるで源義経、急な坂道もなんのその、鵯越もお手のもの。歩兵(ハイカー)よ私の後ろについて参れ!とグングンと山を駆け抜け山道終了。

あぁ、バイクで来てよかった。

もしバスとハイクというチョイスをしていたら、やっとの思いで辿り着いたオアシスを満喫した後、彼らと同様にあの山を徒歩で越えなければならないのかと。ハイキングも好きなのでそれもありかと思いましたが、バイクの軽快さ(とスパイス程度のスリル)の味を占めたら絶対こっちの方がいいです。

再びマルセイユあたり

時は17時頃。マルセイユ市街に戻ってきましたが時間があるのでもう一つの観光スポットへ。マルセイユの街のシンボル、ノートルダム・ド・ラ・ガルデ大聖堂へ。この大聖堂は街のどこからでも見えるくらい圧倒的存在感を放っていましたので街に着いた瞬間からチェックしていました。

小高い丘の上にあるのでバイクでまたスルりと街を駆け抜けました。到着するや否や駐車場のスタッフに、ここ閉めちゃうから駐車場の外に停めてそれから中に入ってね、と言われました。

バイクを移動し再び戻ると、

『今日は閉館でーす。また明日〜。』

は?まんまと騙されました。これフランス来て何回も感じたのですが、彼らフランス人、仕事したくなさすぎる。せっかくバイクがあるから急いで来たのに、閉館時間までまだまだ時間あるのに。
腹立ててもしょうがないし、何を言ってもしょうがないので諦めました。幸い夕方にさしかかり丘の上にある大聖堂からは夕方の柔らかな日差しに照らされるマルセイユの街を一望できました。
周りにいるみんな、君たちもせっかく来たのに締め出されたんだね、仲間だね。海と山、故郷神戸を少し懐かしくも投影しつつマルセイユの街並みを瞳のレンズに押さえこの場所を去りました。

大聖堂近くの高台より街を一望

かっこよく去ろうと思ったらまたエンジンかかりませんでした。

今回はサイドスタンドスイッチが悪いことはわかっていたのですぐに治して出発。トラブルだらけのバイクともお別れを告げなければなりません。駐輪場に戻り、また駐車場どうやって入るねん問題もありましたがまたスタッフに助けてもらい無事返却。

バイクを返却したサン=シャルル駅付近からホテルの位置するマルセイユ旧港まで街歩きしながら帰りました。テラス席でエスプレッソを飲みながらタバコをスパーっとするのがフランス流のChillのようでそのような光景を何度も目にしました。渋いおじ達が集まってトランプしてるのもよく見ます。私は人のタバコの匂いが自分につくのがNO THANK YOUなのであのテラス席には座れませんが。あとは街並みも石造りの建物や白を基調としたものが多くフランスらしい景観を楽しみつつも、主な交通機関の一つであるトラムも走っておりクラシカルかつモダンな街並みが綺麗でした。

ホテル付近の風景。空が青いとなんでも綺麗に見えます

さてさてぶらり街歩きも終えホテルに帰ってきてチェックインしました。直前予約であまり考えていなかったのですが、マルセイユに宿泊する際は旧港(Vieux Port)付近をおすすめします。ヨットが揺らぎその奥に佇むノートルダム・ド・ラ・ガルデ大聖堂。このザ・マルセイユな景色を見れるはこの旧港付近です。私たちの部屋はサイドビューとなっており前述の景色の正面に窓があるわけではないが、窓を開けると横に大聖堂と旧港が見える部屋でした。これでも十分でした。

本物のブイヤベースを求めて

マルセイユといえばブイヤベースの本場です。ブイヤベースとはなんぞやというあなたも安心してください。私もイギリスを出発するまではそれがなんたるか知りませんでした。『本場です』とか一夜漬けの知識をひけらかしてすみません。
話は戻りブイヤベースとは簡単に言うとマルセイユ名物の魚介スープです。超簡単に言ってみました。名前は聞いたことはあるものの実際なんなのか知らずマルセイユに来てしまった私。パートナーはマルセイユに来たならブイヤベースを食べなきゃ!と意気揚々でした。なんだかわからないけどとにかく美味そうだ!
そうと決まれば今日のディナーはブイヤベースで決まり。早速フードハンターと化した二人は夜のマルセイユへ繰り出しました。

訪れたのが日曜日ということもあって休みの店も多く事前のリサーチもほどほどにレストラン通りを下見。何店舗か目星をつけた中で一際賑わう店をロックオン、Google Mapのレビューも1500件で星4.4。悪くないぞ。
ウェイターの方に言うと少し待ったら席が開くとのことなので待つことに。15分ほど待ったら席が準備されました。お目当てのブイヤベースと他にも注文しました。到着したのがこちら。

上からブイヤベース、ムール街酒蒸し、ツナのタルタルサラダ

シーフード満載のディナーになりました。ブイヤベースはバゲットとチーズのセットで運ばれてきます。それでは待望のブイヤベースを一口。なるほど君がブイヤベース君か。話には聞いていたがなかなかの腕前じゃないか。口いっぱいに広がる魚介類の旨み旨み旨み!濃厚な口当たりに感激せざるを得ない。煮込まれているのは岩魚ということですが魚臭さは一切感じません。もはや蟹に近い。カニの味がする魚のスープ。これだけ複雑で高度な調理テクニックを駆使した料理でありながらこのような稚拙な表現をするのは大変恐縮ではあるが”カニの味がする魚のスープ”が最もしっくりくる表現である。付属のバゲットにチーズを乗せてスープにひたして食べる。美味いのなんの。これでもかとスープを吸わせたバゲット内に飽和するはセロトニンの凝縮エキスとでも表現しようか。このエキスに溺れて死んでみたいものである。

お次はムール貝の酒蒸し。良い意味で見た目通りの味で美味しい。特に変わったことはないがただただ美味しいのだ。向こうの席の貴婦人は一人でバケツいっぱいのムール貝を平らげていた。流石に一人でバケツ一杯は多すぎる。二人でシェアしてそれでも十分すぎるほどのムール貝を堪能した。どれくらいの量かと言うとムール貝の殻入れを店員が2回空にしにくるほどだ。バケツの底にはたっぷりの貝のエキスが身を潜めている。おおよそ貝を堪能しきったあとに出てくるこのエキスにバゲットを浸して食べるのも尚よし。そして白ワインを口に含むとまるで気分は快楽の園にいるようだ。

そして3品目。ツナのタルタルサラダ。タルタルと聞くとあのチキン南蛮とかに付いてくるソースを思い浮かべるだろう。本来タルタルとは生の牛肉のみじん切りに味付けした料理のことなのである。その見た目はハンバーグの焼く前。タルタルソースはこのタルタルに盛り付けられたソースなのだとか違うとか。ツナのタルタルとはつまりみじん切りにされたツナをタルタル風に盛り付けた料理なのです。そして声を大にして言いたい。
ツナのタルタルがフランス旅行中のベストフードである!と。
白ワインを飲み、アルコールにより不確かにさせられる記憶の中でもこの料理が一番美味しかったことは間違いない。下手なりに食レポしてみるが一口頬張るとツナ缶のツナとはまた違ったマグロの旨みが口に広がる。このマグロの旨みを引き立てるのはまろやかなアボカドの甘みと胡麻の香ばしさ、そして味の決め手となるレモンの風味である。人生初めての食体験は今まで何度も経験してきたが、この一品だけは格が違う。ブイヤベースを食べに来たのにいつのまにかツナのタルタルにフォークが進むのをやめない。本当にやみつきになってしまいました。フードメニューの中でも特段イチオシされているわけでもなく、レビューの中にもなかなか登場しないこのツナのタルタル。120点を差し上げようではないか。

ブイヤベースを食べに行ったのにひどくツナのタルタルに感動してしまい何しにいったのか自分でも自分を疑いますが、素晴らしい食体験をしたことは揺るがない事実でした。もちろんブイヤベースも最高でした。
フレンチよ、世界3大料理の座に君臨するその理由をひしひしと私の味覚は感じている。

普段海外ではあまり魚を口にしない私ですがこれだけの海鮮料理を目の当たりにしてとにかく言いたい、ありがとうフランスの皆様!シーフードを楽しむ食文化を持っていてくれて!めっちゃMerci!

(海外で魚料理頼むとハズれが多いんですよね。台湾で川魚かなんかを食べて口に合わなさすぎてそれ以降海外の魚にはかなり抵抗感があります。)

南仏に魅了された1日目が終了

ワインはあまり飲めない口なのですが今夜ばかりは何もかもに美味しい美味しいと呟き続け二人でピッチャーの白ワインを飲み干し心地よくホテルに帰りました。(こういう時は一番スリとかひったくりに注意)

正直なところ数日前までフランスになんて全然興味がありませんでした。

フランスで特に行きたいところもないしな〜。パリも行きたいかって言われたら、言っても何するのって感じやし〜。モンサンミッシェルは見てみたいな〜。

そのくらいの位置付けだったのですがたった1日で今まで行った海外旅行先の中でも1,2を争うほどの上位に食い込みました。フランスの噂といえば、フランス人はフランス語を話すことを誇りに思っており英語で何か聞いてもフランス語でしか話してくれないしあまり優しくない、なんて聞いたことがありますが全く違いました。本来はその土地の言葉で会話すべきですが横柄にも英語でいろいろ聞いてみるとめちゃくちゃ英語で対応してくれた。こういう外国人への対応は素晴らしかった。日本もこの点は見習わないとなと思いました。

やっぱり百聞は一見にしかず。観光地を見て回るだけじゃなくて、その土地に訪れ街の雰囲気や人々との交流中にもたくさんの発見がありそれが旅の思い出になります。幾多のフランス人の助けと笑顔に救われた1日目。

本当はこのフランス旅だけで1記事にまとめようとしましたが1日目だけで1万字近く書いてしまったのでシリーズ化することにしましたので引き続き続編も読んでいただけると幸いです。

それでは、また。

おまけ(街中で見つけた消防車。ゴツ盛りのベンツに圧倒された。)




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