- 運営しているクリエイター
#言葉
見たことがない目を見た
見たことがない目を見た
光でもなく
闇でもない
生でもなく
死でもない
ただ目が在る
もはや目ではなく
限りなく物質に近い
限りなく”それ”に近い
身体が動きはじめる
その身体は
ただくっついている
ただひっぱられている
ただ伸びている
ただ震えている
意味を持ちそうで
意味を持たない
物質になる
それになる
現実を覆っている現実が
剥がれる
何もしていないのにやり切ったみたいな顔をする練習
何もしていないのにやり切ったみたいな顔をしてみたい
そういう顔を作る練習をする
自分の嘘を許す練習ををする
もしかしたら
ある意味ではほんとうに何かをやり切ったのかもしれない
人からなにか言われても気にしない練習をする
今日は素晴らしかった
今日は完璧
言うことがない
退屈をやり過ごしたのではない
退屈をやり切ったんだ
退屈を奪うものに囲まれるなか
退屈を奪われずに、退屈を
よく似た夢を見ているのかもしれない
ジャムを塗りたい
赤黒のいちごジャムを
素肌の上に
それが虹を渡る準備だと信じている
きっとあの人はそういう魂を持っている
赤黒のジャムも限りなく薄く広げれば
ピンク色に透き通る
僕はそのとき
珈琲を両手に持って現れる
眠い香りに包まれて
二人で机を挟んで向かい合い
顔を横に向けて
ただ虹を見ていてた