沼さんぽ
ひどく痩せたな。
借金取りに追いかけられる毎日から抜け出すべく、私は沼地に住むようになった。
ここなら誰も来ない。
金よりも腐臭が鼻につくからだ。
だが住めば都とはよく言ったものだ。
どこからか聞こえるカエルの合唱に、常にぶにぶにと柔らかい道、青とは無縁の曇り空、そして泥にまみれた骨の数々。
ここにはなんでもある。
今では湿った草が飯に、カエルは馳走になった。
食うに困らんのに、なぜ誰も住まぬのか。
はぁ、それにしてもひどく痩せたな。
飯はたらふく食っているはずなのに。
とりあえず歩こう。
今日も良い日になりそうだ。
男はそう言って、石ころをかじりながら街をさんぽするのだ。
街の人は皆、頭に泥が詰まっているのだと彼を嘲笑う。
だが彼の足に感じるは確かに沼地の感触であり、光景もまた泥の濁った色である。
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