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『女王陛下のお気に入り』

原題「The Favourite」

◆あらすじ◆
18世紀初頭、フランスとの戦争下にあるイングランド。女王アンの幼なじみレディ・サラは、病身で気まぐれな女王を動かし絶大な権力を握っていた。そんな中、没落した貴族の娘でサラの従妹にあたるアビゲイルが宮廷に現れ、サラの働きかけもあり、アン女王の侍女として仕えることになる。サラはアビゲイルを支配下に置くが、一方でアビゲイルは再び貴族の地位に返り咲く機会を狙っていた。戦争をめぐる政治的駆け引きが繰り広げられる中、女王のお気に入りになることでチャンスをつかもうとするアビゲイルだったが……。


観終わって最初に思ったのは『ロブスター』『聖なる鹿殺し』の前作2作より大分ワカリヤスイって事。

言ってみれば宮廷内での女3人の愛憎劇&実権争い。
でもそこはランティモス監督、やっぱり一筋縄じゃいかないわ。

とにかく印象的なのはカメラワークとレンズ使い。
自然光と蝋燭の炎での陰影。
煌びやかな男性貴族と相反するノーメイクか?と思うくらいにナチュラルメイクな女性陣。
特に衣装はテキスタイルに現代っぽさも感じた。凄くお洒落。

衣装はアカデミー賞常連のサンディ・パウエル 。
『ベルベット・ゴールドマイン』『キャロル』あと女王系映画も何作か手掛けてるアカデミー賞の常連。
撮影監督はケン・ローチ監督作を手掛けるロビー・ライアン 。

この顔ぶれを見れば【美】は追及されたわな。
その上、美術も素晴らしかったよ。

でも【美】は女性だけじゃなくこの作品に関して言えばアホみたいに白塗りした宮廷男子どもが意表をつく。特にこのために用意された俳優と言っても過言じゃないニコラス・ホルトはまぁ違和感無し!!ww 甘く美しい男は【日本発白塗りロリータ】をも凌駕するわねww

物語は落ちぶれた元貴族だが虎視眈々と女王側近の地位を狙う上昇志向の強いメイド、アビゲイルとアン女王と嘗てより親交があり気を許した側近サラの或る意味暴力的でドッロドロなアン女王の寵愛争奪戦。この三つ巴がまぁ皮肉めいててそれがこの作品をコメディたらしめる要素なんだけどさ、フランスとの戦争真っ只中で金も国も切迫した現状に「何やってんだ!!」って位の内容(笑)

映像はこのお屋敷から一歩も出ないんでねアンさんは実際国がどういう状況かなんて解んない、全部才女のサラに任せてて言いなり。でもこの背景には戦争があって人が毎日死んでて・・・って事思えば思う程ちゃんちゃら可笑しいこの宮殿の中。
だからコメディなんだろうけどね。

実在の人物を描いてるし実話に基づいているから史実はちゃんとしてるんだけど何せ百合的シモ関連の話がめちゃ登場するからここ苦手だとこの話ダメかもね。
でもアタシはダイジョウブ!!ww

アン女王「彼女は舌でしてくれるの」は笑った。

それにしてもこの3人の女を女優たちが素晴らしく巧みに演じてた。

そしてとてもランティモス監督らしさが出る奇妙な宮廷舞踏シーンは予想外で驚いた。

でも、何と言ってもラストシーンの映像効果。
これは凄いシーンだ!

何とも不可解さを残す演出。
でも彼女達の執着や欲求、目的を考えるとこのラストシーンは【喪失】を表してるんじゃないかと…

大事なものを失った二人の映像を貪る様にウサギが喰い尽くすのはこの映画ではウサギ達が【喪失】の象徴だから。

これはかなり難解に設定されたラストシーンだな。
観終わった後も暫く考えたよ。
でも【ウサギ】と言うワードを考えるとこれしかないなって・・・。

考察好きにはたまらんラストだわ。

そして、宮殿の裏通路もの好きにもたまらん。

宮殿の裏通路は1度入ってみたいなぁ。


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