精神医学について思うところ

 自閉症スペクトラム障害、うつ病、身体表現性障害と診断された。17歳の頃から心療内科に10年通っているが、思うことが山ほどある。私見なので参考程度に読んで欲しい。

 問題点が死ぬほどあると思うが、その中でも大きいと思うのが「万能」だと信じられているところだと思う。精神科というのは性質上、ヤブ医者と熱心な医者がピンキリで、知り合いに話を聞いてもとんでもない医者や「当たり」の医者がいる。ちなみに僕の通っている病院はヤブ医者だと思う。
 医者が精神医学を「万能」だと思っているのかは知らないが、患者はそう思っている人が多いように思う。ツイッターや某掲示板で精神疾患持ちの人と(多分1000人とか)関わってきたが、「病院へ通ってたら治る」「病院へ通うしか方法がない」と思い込んでいる人が多い。「消費者意識」の人が多い。「病院へ行けば病気は治るもんだ」と思っている。最近はセカンドオピニオンとかインフォームド・コンセントとか、患者の主体性も加味された治療方針があるけれど、まだまだ治療の主体は「医者」だ。「消費者意識」に加えて「先生崇拝」もあると思う。医者は頭が良くて偉いので、自分の知らない知識で病気を治してくれると思い込んでいる。
 が、精神医学というのは万能でもなんでもない。まだほとんど何も分かっていない。うつ病の原因、躁うつ病の原因、統合失調症の原因も分かっていないし、抗うつ剤がなぜ効くのか、リチウムがなぜ効くのかすら分かっていない。よく「うつ病はセロトニン不足」と言われるが、仮説でしかなく、僕の直観だと多分間違っている。「病気の原因が分からない」上に「なんで効くのか分からない薬」を処方することしかしていない。万能とは程遠い。
 薬物療法が中心なのもよくないと思う。「なんで効くのか分からない」にしても、効果はある程度実証されているので薬物療法をするのもいいと思うが、うつ病に限って言えば「運動」や「認知行動療法」が抗うつ剤よりも効果がある。僕の医者は、薬の話しかしない。他のヤブ医者の話を聞いても、やっぱり薬の話しかしない。「朝に30分歩くと凄くメンタルに良いよ」とか教えてくれない。「精神療法をしろ」とまでは言わないけど「情報提供」ぐらいはするべきじゃないか?
 前に診察室に坐禅の本を持って入ったら「マインドフルネスっていうのがあるんですけど~」と切り出された。「自律訓練法っていうのもあるんですけど、パニックの時に瞑想や自律訓練法をするのは難しいので、おススメしないです」と言われた。「この人、僕より勉強してないんだな」と凄くガッカリした。
 僕の場合は医者が何の役にも立たず、薬だけ増やすので、一時期は毎日20錠ぐらい薬を飲んでいた。認知行動療法の勉強をしたり、マインドフルネスの実践をしたり、毎日運動を取り入れることで、今はストラテラしか飲まなくなった。あのままずるずると「精神医学は万能だ」と薬物療法だけしていたら、ベンゾジアゼピン依存になって、もっと苦しんでいたかもしれない。

 医学部がどういう教育をしているのか知らないが、物質的なアプローチしかしてくれない。「儲かる」「医者も患者も楽」「医師不足」「時短」などが理由だと思う。人に話を聞く限り、良い医者は30分ぐらい話を聞いてくれるらしいが、僕のとこは5分以下だ。

 最近は精神分析の本を読み漁っているのだけれど、正直「精神分析」という治療方法はオワコンだと思う。平均して治療に10年かかる上に、マンション一つ買えるぐらいのお金がかかる。精神分析を擁護する人は「効率だけが大事じゃない」と言っていたが、「苦しみ」に対して10年もかかるというのは効率の問題じゃなくて、治療法としての欠陥だと思う。精神の苦しみはスピーディーに治ったほうがいいに決まっている。
 ただ、キチンと精神分析などの考え方も学んでほしいと思う。精神分析の実践をしていなくても精神分析を学んでいる精神科の先生もたくさんいるが、著書を見る限り、そういう人は「精神というものを理解したい」という気持ちが強いように感じる。そして臨床にもそういった視点を持ち込んでいる。
 
 フォロワーに「精神病が全然治らない人」が5人ぐらいいる。素人目から見ても「家庭環境の歪み」が原因なのだが、医者は薬物投与しかしない。だから治らない。精神分析や愛着理論は家庭環境からアプローチするが、そうした視点が完全に欠落している。脳死で薬を出している。自動販売機だ。それで「入院したほうがいい」とか「あなたはもう治らない」とか言うらしい。詳しく聞き取りをして、家庭環境からアプローチすれば改善すると思う。
 また近代批判をするが、「個人の病気は個人に還元される」「精神病は脳の病気」という個人主義と物質主義に汚染されていると感じる。「環境」や「無意識」といった「脳」以外の部分もきちんと見て欲しい。

 サラリーマンで精神科医をやっている人と、人を治したくて医者をやっている人の熱量が違いすぎるように感じる。で、前者のほうが多い。身体的な病気の場合、サラリーマン意識でも物質的にキリハリすればなんとかなるんだろうが、「精神」という人の人生そのものに関わる上に未だに解明されていない部分に関わっているのだから、「治療者」という意識を持ってほしい。

 批判ばかりしているが、精神医学陰謀論みたいなのは気持ち悪く感じる。フーコーとかガタリあたりに影響を受けた人が「精神医学は権力装置」とかいって病気を放置していたら、ますます悪化して最終的に警察沙汰になったのを見たことがある。製薬会社のアレコレとかいろいろあるが、そういうのは真偽がよくわからない。

 僕がラッキーなのは、「読書が好き」という部分だと思う。自分で自分の病気について学べて、治療方法や考え方なども学べた。僕の場合はマインドフルネスが合っていたが、ヨガ、カウンセリング、運動療法、認知行動療法、森田療法、ACT、愛着理論、磁気療法、ポリヴェーガル理論など、いろいろ試してみて合うのを見つけるのが大事だと思う。
 
 薬だけじゃ治らないと思う。僕が関わるのがネットの人ばかりだから、もしかしたら薬だけで治る人は、さっさと薬で治してリアルを謳歌しているのかもしれない。どうなんだろう?伯父さんも精神を病んでいて、パニック障害で薬を飲み始めたのだが、もう20年ぐらい飲んでいるらしい。普通に働いていて人生楽しそうだが、他の治療をすれば薬をやめられるかもしれないのになあと思う。

 あと散々言われているが、病気の診断も問題がある。精神病は一義的に「はいこれ」と決められるものじゃないと思う。そのカテゴリが妥当なのかもわからない。精神分析には「神経症」「精神病」「倒錯」の3つのカテゴリしかない。それでうまくやってるらしい。
 今の標準医学だとうつ病や不安症、躁うつ病、パニック障害、発達障害、〇〇人格障害、統合失調症、名前がやたら多い。知り合いから「躁うつ病が治った」とか「統合失調症って言われてたけど治った」とか聞くが、なら最初から誤診だと思う。躁鬱も統合失調症も根治しないって定義なんだから。

 「精神科」は万能じゃない。むしろ欠陥が多い。多分万能の治療法は存在しない。なのに、薬物療法しかしない。だからずっと苦しむ人がいるし、自殺する人もいる。
 「精神病」というのはよく分からない。「よく分かっていない」ということを知らない人が多い。とりあえず「日光」「運動」「栄養」は副作用もなく、安全な治療法だと思うので、その辺からやっていくといいと思う。

 「医者」の悪口を散々書いたが、医者っていうのは特別な職業だと思っている。「病気」という人間の逃れられない苦しみを直接取り扱う。だから生半可な気持ちで治療をしてほしくない。文字通り「命に関わる」職業なんだから、ちゃんとしてほしい。周りで何人も自殺した。全部が医者のせいだとは言わないが、「アタリの医者」についてれば自殺していなかったかもしれないと思うと本当に悔しい。ちゃんとしてほしい。

勉強したいのでお願いします