"奥深さ"のためのトレーニングその1「考える」
(本記事の内容は、ジルコヴァパートナーズが過去に提供した研修の内容を再構成したものです。内容としては飲食店をされているファミリービジネスのアトツギの方向けのものをベースとしていますが、どんな方にも楽しんでいただける内容になっているかと思います。)
こんにちは。ジルコヴァパートナーズ代表の谷口です。
「もっと考えなさい」と言われても
何か上質な"奥深い"サービスやコンテンツ、商品を提供したいと考える現場において、師匠や大先輩、先代などの方から「(●●と)向き合いなさい」「考えなさい」と言われることがしばしば見られるように思います。
素材に向き合う、お客さんに向き合う、仲間・チームと向き合う、自分に向き合う、など現場によって様々かと思いますが、しばしば
「でも向き合うって具体的にどういうこと?」
「考えるといっても一体どう考えたらいいのか?」
と悩まれる方が多いようです。
(これらは"熟達"の話として読み替えていただいても構いません)
さて、様々な現場で上質な製品やサービス、コンテンツを提供される方々の話を伺う中で、こういった「奥深さを生み出すための基本行動」には次のようなものがあると思われます。
考える
マネをする(模倣)
インプットをする(知識・経験)
一人の時間を持つ
前置きが長くなりましたが、この記事では、先ず大前提の基礎となる「1.考える」について取り上げたいと思います。
(ちなみに私は、「考える」よりも、何より大事なのは最終的に「こころを込める」ことだと思っています。その話はまた改めて別の記事でしたいと思います。)
日本の学校教育では「考える」方法を学ばない
先ず背景にあることとして、日本においては「考える」ことについて学校教育で基本的に習うことがないという点は大きいと思われます。(「いや、自分は習いましたよ」という方は大変ラッキーな方だと思われます)
そして、ビジネスの現場は学校とは異なり、「答え」や「解き方」がないという点も重要であると思われます。そのため、考える方法を知らないにも関わらず、自分なりの「仮の結論」を出したり「新しい解き方」を自分で考える、ないしは作り出す必要が出てきます。
さらに、「考える」が「知っている」と混同しているという側面もあります。
ブロガーのちきりんさんのベストセラー『自分のアタマで考えよう』でまさに述べられていることですが、「知っている」がゆえにその知識に騙されてしまっている、知識が思考の邪魔をするという側面が大いにあるように思われます。なまじ"成功体験"があるとなおさらです。"情報収集の楽しさ"なども重なってしまい、自分で「考える」ことからは遠のいてしまいがちです。
「ゼロベース思考」も実は危険
答えのないビジネスの現場で上質なサービスや製品を生み出していくには、知識だけに頼らず、考えることがやはり必要になってくるようです。
なお、知識なしでの思考、いわゆる「ゼロベース思考」と呼ばれるものは多くの人々にとって時間のムダになることも多いので、私はあまりオススメしません。知識と思考はいずれも必要です。
「考える」ことについては述べ始めたら1つの記事では足りませんが、ここでは誰でも取り掛かりやすい基本行動のお話をしたいと思います。
思考の深い人は必ず「考える時間」を確保している
前提として、「考える」ことの基本は「考えるための時間をちゃんと確保する」ところにあると言えます。この「時間を確保する」というのをやっていない人が案外多いように思われます。
何かについて考えたいとなったら、ノートとペンを用意し、時間を確保します。(私はもう何十年もパソコンを使い倒してますが、考えるということについてはノートとペンによる手書きが依然として重要だと感じます)
多くの人にとって「ながら」で考えるのは難しく、考えているようで単に情報を整理するだけだったりするのではないかと考えます。
さて、その上で、具体的な考え方・考えるステップは基本的に次の4つと言えるでしょう。
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