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【人に学ぶ】「やりたいから、好きだから、思いのままに」Part 2

菊地美佐子さんと間瀬理恵 さとえさんのお話の後半は、少し視野を広げ、今の仕事についてや、ダイバーシティ、女性活用、企業風土とICなどについて聞きました。さらに、仕事と育児のバランスや仕事の進め方など、お2人のキラキラの秘密に迫ります。


【インタビュイーのお二人】

↑ 菊地 美佐子さん:学校法人聖路加国際大学 常勤監事、 (株)オカムラ、(株)コメリの社外取締役
↑ 間瀬理恵さん:カルビー株式会社 グループ広報部


現在の仕事とこれから

——菊地さんは、新しいお仕事に就いて、どんなことを感じていらっしゃいますか?

菊地:
広報の女性陣へのアドバイスにつながるかもしれませんが、社内報をはじめ広報業務を離れる時にかなり後ろ髪を引かれる思いでした。自分にとってはすごくやりがいのある仕事で充実していたので、当時の部長に社内報の担当から外さないでくれって直訴した覚えがあります。私の後の社内報担当者も女性が多かったんですが、彼女たちも同様だったようです。でも、今では他の世界を見せてくれた上司に大変感謝しています。
 広報とは違う仕事に就いたことで視野や経験が広がり、自分自身をより豊かなものにできたと感じています。ですから今は後輩から相談されると、「異動は受けた方がいい。違った経験は自分自身のキャリア形成にとって非常に有意義なものになるから」と異動を勧めています。
 私の場合、現在の仕事に辿りつくにあたって問われたのは、それまでの仕事を通じてどういうスキルを身に付けてきたかです。自身にとって広報は外せない強みであることは間違いないのですが、その他はと問われた時に、私の場合は環境やサステナビリティやダイバーシティ、それから関係会社の社長という経営経験などが強みとなりました。自分自身の中に引き出しをたくさん持つことが今後のキャリアにおいて重要です。

——女性、男性に関係なくそうですよね。間瀬さんはお店の経営など、広報以外の仕事を並行してされているわけですが、いろいろな経験がシナジー効果を発揮しますか?

間瀬:
それはもう、菊地さんがおっしゃった通りで間違いないです。どんな経験も無駄にならないし、やりたくないって思ったことも絶対後から役立つんですよね。

——やりたくないなと思ったのはどんなことですか?

間瀬:
数字は向いていないと思います(笑) でも小さな会社なので財務や経理も見ていかないといけない。

——これからも軸足はカルビーに置いていかれるんですよね?

間瀬:
その予定です。カルビーの中で広報以外への異動という可能性もあります。やれと言われたらやるしかないと。特に若い方たちはいろいろやっていく中で、自分の「好き」も見つかっていくと思うんです。その好きを仕事にした方が、人生が100倍楽しくなるだろうと思っています。私は楽しくないと生きていけないタイプなので、何をやるにしても自分なりに楽しい環境を作っていくようにしています。

仕事があったからバランスが良かった

——お子さんが小さい頃は仕事と家庭の両立で難しいことはなかったですか?

菊地:
今から考えると難しかったし、両立なんてできてなかったと思います。でも、子どもは親だけで育てるものではなく、親族や保育園をはじめ、いろいろな方の力をお借りして育てるものと、勝手に思っていましたね。だからなのか、人見知りもぜす、すっかりじじばばっ子になりましたし、父親も育児に積極的に関わらざるを得なかったので私より父親との距離の方が近くて…。29歳の息子は私がそばに寄ると逃げていきます(笑)

ご家族とサッカー観戦を楽しむ菊地さん

間瀬:
私の場合は、カルビーに入社した時、上の息子が小学3年生、2歳下の娘が
1年生だったので、もう2人で家にいられるし、そんなに手がかからなかったですね。会社を立ち上げてからは夜にお店に行くこともありましたが、そんな時はタイミングよく夫が早く帰れたり…。「人生なんてうまくいくんだろう!」といつも思うようにしています(笑)。
 基本はワンオペ育児でしたが、保育園のママ友、両親、ベビーシッターなどなど、あらゆる人に頼ったので、それほど負担に感じませんでした。
  カルビーではコミットメント&アカウンタビリティといって、年度頭に自分の目標を決め、それを達成することは必須です。仕事は集中してやることはやる、子育ては周囲に甘える、こうして何とか両立できていたと思います。

2011年10月 カルビー労働組合の慰安会で、お子さんと間瀬さん

菊地:
子育てって大変ですよね。小さい頃は言うことを聞かないので家に帰ると子どもにすごくストレスを感じるんです。でも会社に行くと仕事に没頭できるので、子どものストレスは忘れちゃう。そういう切り替えができるのは最高で、自分にとっては良かったですね。

間瀬:
私も同じでした。仕事を終えて「早く子どもに会いたい」「今日は優しくしよう」と考えながら家に帰るんですが、ドアを開けた途端に部屋が汚れてたりすると、わぁーって怒っちゃう(笑)。

菊地:
その瞬間にもう会社の嫌なことは忘れるから、ちょうどいいのかもしれないですよ(笑)。

——カルビーってすごく働きやすそうな会社ですね。

間瀬:
本当にそうですね。例えば、私の店のスタッフが急病のためランチの手伝いに行かなければならなくなったときも、上司・同僚の全員が笑顔で送り出してくれました。応援してもらっていると感じましたね。
 イノシシハンバーグを作る工房を2021年に立ち上げたんですが、工房は島根県なんです。機械が入るとか、事務所セッティングという時に1か月くらい島根でワーケーションしたことがあります。この時も相談したら「どうぞ、どうぞ」と。上司からの「それはダメだ」とかは一切なく、ありがたい職場です。

島根県のイノシシハンバーグ工房「よしか町キッチン」

——どうして突然イノシシハンバーグを?

間瀬:
コロナウィルス感染拡大でお店に人が来なくなって、何かしなければという時に、巣ごもり需要が注目されていたので、じゃあ家庭に届けられる何かを作ろうと思いました。島根県のイノシシがとてもおいしくて、これをハンバーグにしようと考えて工房を作ったんです。

——その実行力はすごいですね。

間瀬:
死ぬ時に後悔したくないなと。「あれをやっておけばよかった」っていうことがないように、なるべく実行するようにしています。周りに助けられてできることですね。

——おふたりとも大企業におられたから、圧力やしがらみがあっただろうと思ってたんですが、まったく思いのままに生きている感じで勇気をもらえました。

菊地:
カルビーさんはやっぱりすごく先をいってますよね。

間瀬:
私は編集長だったけど正社員ではありません。会社を持っていることもあり、契約社員なんですね。社外の人からは「そういう人に編集長を任せるんだ」って驚かれることもあります。そんなところがカルビーの懐の深さなのでしょうね。

——元気が出ない時、モチベーション下がっちゃった時はどうやって上げていますか?

間瀬:
やることがいっぱいあり過ぎて、モチベーションが下がるってことはあんまりないんです。でも嫌なこともありますよね、人間関係だったり、もちろん、失敗も…。そういう時は、やれることはやり切って、後はじっと待つとか、考えないようにするとか、気持ちを切り替えます。漫画が好きなので、漫画を読んで気分転換をします(笑)。

菊地:
あまり堂々と言うことではないのですが、子供が独立してからこのかた、平日はほとんど外食です。いろいろな人たちとの交流が私にとってはとても重要であり、話を聞いたり、話をしたりすることがストレス発散にもつながります。夫は私の精神安定上も必要なことと理解してくれていて、夫の夕食が必要なときは朝や週末に作っておきます。最近の週末は、友達と旅行もしますが、夫婦一緒の時間もできるだけ持つようにしていますよ。

インターナル・コミュニケーション(IC)について思うこと

——ICについてどんな考えをお持ちか、ICが会社に対して、社員に対して、何ができると考えているかを聞かせていただけますか?

菊地:
昔も今も、社内報の主役は社員だと思っています。担当者時代は、現場のさまざまな声を取り上げて企画に落とし込むことに注力してきました。三井物産の社内報においては歴代の担当者が、トップダウンよりはボトムアップ的なアプローチで企画を考えていました。
 社内報を離れても、どの仕事、どのポジションに就いても現場を非常に大切に思っています。現場の声をなるべく多く聞いて、この組織で何が課題なのか、みんなどういうモチベーションでいるのかを知ったうえで、組織や仕事の方針を定めるというアプローチでした。ここ最近は経営サイドにおり、社内広報の重要性を機会を見てはいろいろな人に力説しています。ICの担当として一つひとつ壁を突破してきた経験が、いまに生きていると思います。
 三井物産は実は民間企業で4番目の山持ちで、北海道から九州まで全国75カ所に山林を保有しています。前職はその山林管理を担う会社の社長に就いていました。山林の位置にならって事務所は全国7か所に分散しています。社長時代に、社員と協力会社を含めて一体感を持って森を管理し、森林の付加価値向上に注力してきました。社内広報時代に培ったコミュニケーション力が私にとって非常に大きな武器となって、いい形で会社を運営できたと思います。

三井物産フォレスト時代の菊地さん

間瀬:
カルビーは1960年から社内報があるので、社員にとって、あって当たり前のものだと思います。社内で唯一グループ会社も含めて全体とつながる媒体でもあり、続けていくことが重要だと考えています。
 それと、社外の方、例えばウィズワークスさんのようなIC業界の会社などに社内報を評価してもらうこともすごく重要だと思います。作って終わりではなく、社外からの評価、フィードバックを得て、それを素直に取り入れて改良して、もっと良くしていくことが大切です。カルビーでは社内報が表彰されたら、それをリリースして、「私たちの社内報は外部からも評価されていますよ」、と社内にも伝えています。そうすることによって、社内の評価も上がりもっと読んでもらえると思うのです。また、社内報が表彰されると、いろいろな会社から情報交換のオファーがあって、こちらにとっても勉強になるのです。これはざわざわの皆さんはじめ、IC業界の皆さんが評価してくださったからだと、感謝しています。

——一つの会社に根を下ろした菊地さんと、社外にも片足を置く間瀬さんとでは、組織に対するスタンスがかなり違いますね。

間瀬:
今日お話を聞いて菊地さんは組織の中で生きるプレイヤーであり、パイオニアだったんだなあと思いました。

菊地:
一昨年に三井物産を卒業しましたが、同じ会社に38年間もいるって、海外の知人からはあり得ないと言われます(笑)
 ただ総合商社は部署が変わるとまるで違う会社のようなので、長く勤められたのかなとは思います。最初に鉄鉱石の輸入業務をやった時には商売の流れがわかって面白かったですし、広報も楽しかったです。いろいろな部署での新たな出会いや発見が、飽きずに38年間勤められた理由かと思います。

——どうしても男性中心の社会ですから、壁がいろいろあったと思います。その壁をどうやって崩していくのか、どうやって乗り越えてきたのか知りたいです。

菊地:
壁を壁と感じない人だったので(笑)
 私自身は男だ女だと、周りが思うほど意識せずにこられたのがよかったと思います。壁を壊すというよりは、どちらかというと、いろいろな意見を聞いて納得感のある方向に持っていくというマネジメントをやってきました。尖ったことをやっていたわけではなく、皆さんの声にしっかりと耳を傾けて、その中で本当にエッセンスとなるところを踏まえて方向性を決めていました。
 今、私は3足の草鞋を履いています。まったく異なる業態でして、頭を切り替えることに慣れなくて、間瀬さんみたいに全く違うことを、好きだからと両立してやっていらっしゃるのはすごいと思います。

間瀬:
神様は、その本人が乗り越えられない壁は与えないと言いますから、上手くいかない時も粛々と取り組むことですかね。私はぐるぐるぐるぐる、いつも考えてます。あれやって、こっちもやらなきゃ!って。で、煮詰まると漫画を読んでます(笑)。

前回のPart 1 に続いてIC業界のキラキラ星おふたりのインタビューをお届けしました。子育ても含め、さまざまな経験を経て今があるおふたりですが、「女性として」という視点を超えて、ビジネスパーソンとして、人としての魅力をお伝えできていればうれしいです。
このnoteでは、今後も魅力的な【人に学ぶ】シリーズを準備しておりますので、引き続きご愛読いただけますように!

まとめ:藤野まゆみ コグレリョウヘイ


この記事について

“ざわざわ”は、ツールの使い方や社内コミュニケーションの最適解を教え合う場ではありません。道具が多少足りなくても、できることはないか?姿勢や考え方のようなものを「実務」と「経営」の両面から語り合い、共有する場です。

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