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『どこでもない場所』は人生を楽しむ案内書

迷子でいいのだ
方向音痴への道【総括】
目的地さえなければ方向音痴にはならない。
目的地がぜんぶ悪い。

私はエッセイが好きだ
エッセイの良い所は、だいたい長くても20ページぐらいなのでさくっと読める所作者の人柄が文字に顕著にあらわれる事

本を読んでいる時はどうしても頭の中に文字からの姿を投影して映像が流れる。まるで、映画のように。

小説の場合だとどうしても、一気読みをしないと前後のシーンが繋がらなくなったりして100%の没頭ができない

家で見る映画でもなるべく途中で映像を止めたくない。映画の世界に入り込みたいのだ。

エッセイは短編映画集のようになっているから途中で区切って読みすすめる事ができる

浅生鴨さんの本では下記を過去に紹介した。

『異人と同人』文字として広がる文芸ライブを体験してみて

【雑文御免】と【うっかり失敬】を読んで

上記の2つについて今までは、書いてきたけど今回は2018年に出版された、どこでもない場所について紹介したいと思う。

浅生鴨さんといえば『迷子』になってしまう事が多いとの事。
この、『どこでもない場所』の中でも迷子を題材にしたエッセイが出てくる。

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表紙の帯にも『迷子でいいのだ』と、大きく書いてあるしボディーコピーの下にあるリードコピーには赤で1行。
前の人が曲がったら曲がる。バスが来たら乗ってみる。
と書いてある。

言葉だけで見た人は、浅生鴨さんが迷子になりやすいという情報だけを切り取って、この本に書いてあるようなエッセイのように
『それじゃあ迷子になってしまうよ』
と思い、感じたのではないだろうか。

たしかにその通りに、いきたりばったりに行動をすると迷子になるだろう。
そこで、再度ボディーコピーの大きな文字
『迷子でいいのだ』に戻る。

この本のタイトルは
『どこでもない場所』
本のエッセイの中にも『どこでもない場所』のエッセイが書いてある一部抜粋して紹介させてもらう。

子供のころからずっと僕は何かが違う気がしていた。ここではなく、今ではなく、僕が所属できる場所はどこにもない。あらゆるものから少しずつ距離を置いた場所に、どこでもない場所に自分はいるのだという諦めにも近い奇妙な倦怠感がずっと僕にはつきまとっている。どうやっても僕は現実に直接触れることができない。(どこでもない場所 177頁及び178頁より抜粋)
いつも僕は自分が境界線に立っているような気がしている。現実と妄想、内側と外側、自分と他人、過去と現在。あらゆる境界線の向こう側とこちら側を同時に眺めながら、けっして僕はどちら側にも所属することがない。どちら側にも所属させてはもらえない。僕はどこでもない場所にいる。どこでもない場所にしか、僕の居場所はない。(どこでもない場所 183頁より抜粋)

この本では、著者の浅生鴨さんと一緒にページを読みすすめながら子供時代や青年期、また場所としても海外などへ旅をしていく

人生そのものは旅だ。

人生は、常に未来に向かって歩きはじめる
未来に訪れることは、誰も経験した事のないこと。

経験した事のない場所で、迷子になったとしても誰もその人を責めないだろう。

どこでもない場所は、これから経験していく未来にあるのでないだろうか
未来のあなたがいる場所にとって、今のあなたは見えるけど、今のあなたから未来のあなたを確認することはできない

でも、それで良いのでないだろうか

自分自身が何者であるかを考えて、何者でもないことがわかって、何者でもない自分自身を認めたくなくて、人に理解をして欲しくて迷子になる

みんな何者でもない他人なのだ

どこでもない場所は、人生そのものの浅生鴨さんが大事にしている人生哲学なのではないだろうか。

どこでもない場所が未来にあると仮定すると、唯一確認できる方法は、妄想をする事である。

新刊『だから僕は、ググらない』に書いてあるような妄想の考え方自分自身でも気付いていない自分を引き出してくる感覚
私は、そこに近づくヒントがあるような気がしている。

人は、みんなが他人。
私とあなたは違う。

人生の目的に私は悩みに悩んだ時期がある。20歳になる前だ。体調を崩してしまい3週間ほど、病院に入院していた。その時の記憶はほとんど覚えていない。
そこでの私が経験した人生観は一言でいえば『迷子でいいのだ』である

どこでもない場所は人生に悩む人への浅生鴨さんからの前向きなメッセージではないだろうか。

『迷子でいいのだ』
みんなが人生のはじめての旅行者なのだ。

知らない街に行ったら、前の人が曲がったら曲がれば良いしバスが来たら乗ってみたら良い。

どんどん迷って迷子になれば良い。むしろ迷子って何だろうか

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本の後ろ帯に書いてある。
方向音痴への道【総括】
目的地さえなければ方向音痴にはならない。
目的地がぜんぶ悪い。

目的地を設定するから迷子になるのだと。
今、そのものを楽しむ感覚を持とう。

人生で、あの時の私のように人生そのものに悩んで迷っている人。人生じゃなくても悩みが尽きなくて困っている人へもう一度このメッセージを送ろう。

迷子でいいのだ。
人生をありのままに楽しめば良いのだ。

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石澤大輔
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