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脚本とキャストもクルーシオかけられた?「ファンタスティック・ビースト/ダンブルドアの秘密」感想

ようやく観て来ました「ファンタビ」3作目。
映像は素晴らしかったですが、脚本は少々お粗末かなという印象です。


キャラクターを大事にしていない脚本は問題

観終わって最初に思ったのがこれだったんですが。
なんか今回の脚本、キャラクターに愛を感じないんですよね。

主人公・ニュートはキャラ崩壊こそしていないものの本当に主人公なのか疑わしくなるほど出番が少ないし、最強の敵であるグリンデルバルドは前作までに見せていた狂気や怖さが半減。
前作で悪に覚醒したクリーデンスもずっとウジウジしているだけだし、物語上での使い方が下手。

彼ら以上に違和感があったのがクイニーとティナの女性コンビ。
クイニーはジェイコブへの愛の果てにダークサイドに堕ちちゃったわけですが、その割には最終的にあっさりと善側に戻ってきてすぐにジェイコブと結婚。ええ?

彼女の良いところってアホっぽいけど信じたら一途で意思が固いところであって、こうなってしまうと魅力もクソもない都合の良い女になってしまうんだけど、それで良いんだろうか。

で、妹のクイニーが凶悪な魔法使いと行動を共にしているにも関わらず「忙しい」という理由でほとんど登場しないティナ。
多分スケジュールの都合とかだったんでしょうが、それならそれで不在理由をもっとうまく作れよ。
そもそも、妹が反逆者って仕事に差し障るのでは。

ファンサービスのためか、最後のジェイコブとクイニーの結婚式のシーンにティナがあっさり出てくるのも逆に違和感。
お前は妹が闇落ちしている時は忙しいのに結婚式にはドレスで来るのか?

脚本を手掛けているのは今回もJ・K・ローリングですが。
彼女はやっぱり小説家であって、脚本家じゃないんじゃないのかなあ。


ダンブルドアにフォーカスし過ぎたのは正しかったのか

本作は副題にもなっているダンブルドアとその血族がメインになっているんですが、これじゃあ「ファンタスティック・ビースト」である意味があんまりないような気がしてしまいました。

だって、ニュートも魔法動物も出番少ないんだもん。
中盤に訪れる兄のテセウスと協力するシーンは笑えるし緊迫感もありますが、ストーリー上はあんまり意味のない部分だし。

重要シーンはほぼダンブルドア。
ジュード・ロウは魅力的ですが、これならダンブルドアを主役に据えたスピンオフシリーズを作っちゃった方が手っ取り早かったのでは。

あと、ダンブルドアとグリンデルバルドが恋愛的な意味で愛し合っていたっていう設定ですけど。これ、普通の友情じゃダメだったんですかね?
別に否定するわけじゃないですけど、単純に設定として不要だったような…
この二人の関係性が恋愛でないといけない意味があまり見えませんでした。


「ホグワーツ登場シーンがピーク」という課題

途中、あのホグワーツ魔法学校が映るシーンがあるんですけど。
正直そこが映画の盛り上がりとしてピークになってしまっていて。
それが本シリーズの抱えている一番の強みであり、問題だとも思うんですよね。

実際、ホグワーツやダンブルドアを見たらファンは盛り上がってしまうわけです。
でも、そうするとどんどん「ファンタビ」と「ハリー・ポッター」の境目がなくなってしまう。

厳密に言うと「ファンタビ」シリーズは「ハリー・ポッター」のスピンオフなわけで「境目なんて元々ねえだろ」と言われるとそれまでなんですが。
ただ、僕みたいに「ハリー・ポッター」に特に思い入れがなくても「ファンタビ」が好きな人もいるわけで。

そういう人たちからすると、もっと魔法動物やワクワクするような冒険を見せろよと思ってしまうわけです。

でも、作る側もどうしても「ハリー・ポッター」ファンを喜ばせようと軸足をそっちにズラしてしまう。
この辺りのバランスのとり方をミスっているのかなと感じました。
制作側も「ハリー・ポッター」の呪縛に囚われているんですよね。


ファンタビ名物(?)キャスト問題

本作では悪役のグリンデルバルドを前作までのジョニー・デップに代わりマッツ・ミケルセンが演じています。

個人的な意見としては演技は良かったですが、見た目をもうちょっとジョニデの雰囲気に寄せてくれた方が良かったかなと。
グリンデルバルドというと片目カラコンのイメージが強くて…あれが狂気を演出してたんですねえ。
マッツの演技はまともそうというか、良くも悪くも大人に見えて狂気を感じませんでした。
でも、ジョニー・デップの代役って相当プレッシャーかかっただろうし大変だったと思います。

で、あとはクリーデンスを演じたエズラ・ミラーですが。
事件を起こした影響で今後のシリーズへの出演は危ぶまれていますね。

J・K・ローリングの中ではまだクリーデンスに担わせたい役割があるのかもしれないですが、今回で比較的役目を果たした感じもあったので続編は彼無しでもなんとかなるでしょう。


シリーズが継続するか否か

続編はあるかどうかは興行収入次第みたいですが、北米の成績を見ていると黄信号といった感じでしょうか。
シリーズ物で途中から人気を上げるって中々至難の業ですからね。

「ファンタビ」の世界観自体は好きだし、魔法動物やニュートの活躍は観たいので一作目みたいなワクワクした作風に戻るならまた観てみたいですけどね。

ただ、「ハリー・ポッター」「ファンタビ」もシリーズを追うごとに血生臭くなっているからなあ…
まあせっかくですし、シリーズが継続するならローリングが構想しているフルの5作目まで追ってみたいと思います。

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