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20020729 バイオライト(2)

 バイオライト$${^{*1}}$$の電球が切れた。スイッチを入れて暫く経つと電球の光が少し弱くなったと思ったら、ジジジッという音を立てて消えた。蝋燭の炎の消え方に何となく似ていた。

 それにしても電球の寿命が短い。説明書には「普通の1/4」になると書いてあった。普通がどれくらいなのか。調べると公称2000時間と書いてあるページ$${^{*2}}$$があった。それの1/4なのだから500時間となる。バイオライトを販売している会社のページには電球の寿命は約500時間$${^{*3}}$$と書いてあったので、大体そうなのだろう。

 寿命が500時間というのは平均の寿命時間$${^{*4}}$$である。2000時間保つもののあれば、100時間で壊れるものもある。これらを全部平均すると500時間ぐらいという意味だから、500時間経つと壊れる訳ではないが、そんな風についつい考えてしまう。

 電球はフィラメントに電流を流してフィラメント自体を熱することによって光る。高温に熱せられれば金属が少しずつ蒸発する。するとフィラメントが細くなり、細くなると電流が集中して流れることになるので余計温度が上がって、最後には温度が上がりすぎて融けて切れてしまう。切れる寸前に電球の光の強さが増すのはこの所為である。

 電球の中に封じ込めるガスの種類を工夫すればフィラメントが蒸発する量を抑える事は出来る$${^{*5}}$$が、最終的にはどんな電球も切れてしまう。フィラメントの太さは厳密に一定ではないし金属の結晶状態も完全に均一ではないので、フィラメントのどの部分がいつ細るのかは予想できない。だから平均的に寿命は500時間ということになる。これは電球だけに限らず全てのものの寿命に関して、同じ考え方になる。

 さて、それでは「普通の寿命の1/4」はどこから来たのだろう。通常の家庭用の電球は交流$${^{*6}}$$で点灯させる。バイオライトは交流を直流に直して点灯させる$${^{*1}}$$。交流は常に正負が入れ替わっているので入れ替わる間に電流が「0」になる点が必ずある。電流が「0」では電球が光らないので、電球は点いたり消えたりしていることになる。実際には電流が「0」になってもフィラメントは熱を持っているので光り続けているが、電流が流れている時よりは暗くなる。これを解消するためにバイオライトは電流が一定に流れる直流を使って電球を点ける。

 一定の電流を流し続けるので、途中で電流が「0」になる交流の時よりも電流が沢山流れることになる。フィラメントの温度は流れている電流の自乗に比例して高くなる。温度が高くなればそれだけフィラメントが蒸発しやすくなる。単位時間当たりの電流の流れる量の自乗を交流と直流とで比べる$${^{*7}}$$と4倍違う。

 つまり直流の方が4倍蒸発しやすくなるので寿命が1/4倍になるということだろう。

*1 20020512 バイオライト
*2 Advanced Light bulb
*3 バイオライトの特徴
*4 信頼性計算で使う指標
*5 ハロゲン電球の基礎
*6 20000626 テスラ
*7 基本的な積分公式

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