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20060718 邀撃(ようげき)

 「夢路いとし・喜味こいし$${^{*1}}$$」が漫才の中で興味深い言葉を使っていた。「我が家の湾岸戦争」というネタの中でである。

 二人は戦前生まれで、前(さき)の戦争$${^{*2}}$$の体験者である。湾岸戦争$${^{*3}}$$が勃発した時、外国の戦争の様子がテレビジョン中継で見られるという時代になったと二人で感心するところからネタの本題に入っていく。

 茶の間で飯を食べていると、テレビジョンでミサイルがぴゃーと飛んでくる、それに対して反対側からミサイルが飛んできて打ち落とすと喜味こいしが説明すると、夢路いとしが「邀撃(ようげき)ミサイルや」と返す。

 現代語では「迎撃(げいげき)ミサイル」という。「邀」は当用漢字$${^{*4}}$$に入らなかったので意味と字面とが何となく似ている「迎」が代用漢字として使われたらしい。「げいげき」は戦後に作られた言葉$${^{*5}}$$である。「邀」もむかえるという意味だが、元来「邀」には「むかえうつ」という意味があるので「邀撃」は「迎撃」よりも明確な意味を示している。

 邀撃という言葉は本を読んで知っていたが、実際に語り言葉として聞いたのはこの漫才が初めてだった。

*1 「NHKアーカイブス」放送予定 「この人 夢路いとし喜味こいしショー」
*2 20050702 エレクトロン焼夷弾
*3 湾岸戦争 - [政治・経済用語集]All About
*4 当用漢字表
*5 200406243 せろんとよろん(2)

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