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瞑想の基本のキ! 【ボディスキャン】を10秒だけ試してみよう! ──今からはじめるマインドフルネス入門⑳

 マインドフルネス瞑想に興味を持たれている方は「ボディスキャン」という言葉を聞いたことがあると思います。ボディスキャンはマインドフルネスを実践する上でとても基礎的な技術であり、この技術だけで瞑想を行う「ボディスキャン瞑想」というものもあります。

「そうなんだけど、そもそもボディスキャンの言葉の意味がわからない」「ボディスキャンって、イメージはつくんだけど、上手くできている気がしない」
「ボディスキャンをしているときに、なんだかムズムズして無性に動きたくなってしまう」

 このように思われるかたは意外とと多くいらっしゃいます。
 今回から数回に渡って、ボディスキャンのテクニックについてご紹介していきたいと思います。

 ボディスキャンとは?

 まずボディスキャンとはいったいどのような技術なのでしょう? 言葉の意味は、

 ボディ=身体 
 スキャン=画像を走査すること、読み取ること

 となり、なんとなく全身を検査するときに使用する医療機器「CTスキャン」を思い浮かべるかも知れません。

 まさにそれを自分の感覚を通じて行うのがボディスキャンです。

 ボディスキャンでは体の一部分の状態を、あるいは頭頂から足の爪先までの体の各部位の状態を順々に、探っていきます。

 たとえば自分の頭に注意を向けることで、
「頭が重い/軽い」「締め付けを感じる/緩んでいる」「痒い」「この部分が痛い」「額の奥がジンジンする」「頭皮がピリピリする」
 ……というような表面と内側の状態を、まるで研究者のように客観的に観察していきます。

 注意を向けて、客観的に観察する。

 まさに瞑想で扱う技術です。この場合、アンカーが体の感覚という訳ですね。

 ボディスキャンは数秒でザッと全身を把握する場合もあれば、10分かけてゆっくりと丁寧に行っていく場合もあります。

 数秒ならまだいいですが、10分かけてボディスキャンを行うときは、途中で雑念が浮かんで来ます。雑念が浮かんで来たときに、それを受け入れて、手放し、またボディスキャンへと戻っていく瞑想を「ボディスキャン瞑想」と呼ぶわけです。

ボディスキャンの効果は?

 例えば今、10秒だけ一緒にボディスキャンをしてみましょう。

 椅子に坐っている方、立っている方は背筋をのばしてリラックスしてください。逆立ちをしている方(いません)、宙に浮かれている方(むしろ方法教えてください)は、いちど冷静になってから椅子に坐ってください

 さて、それから自分の足と、床との接触部分に注意を向けます。

 床の固さ、冷たさ、(裸足の場合は)床の肌触り、そして体が沈み込んでいく感覚を観察します。

 これを10秒間、行ってみましょう。(わざわざタイマーをつけるのも面倒なので、数回の呼吸の間として、適当な10秒でかまいません)

 では、はじめてみましょう。

 ………………いかがでしたでしょうか。

 もしかしたら「なんか、ただフツーだったんだけど」という感想かもしれません。

 でも、それでもいいのです。

 大事なのは、注意を向けるという行為そのものだからです。

 考えてみてください。
 足と床はほとんどの場合、常に接していますよね(逆立ちや、浮遊をしていない限りは)。でも、足と床が接している部分がどのような感覚なのかは、注意を向けることによって初めて自覚されます。注意を向けなければ、床と接していても、床を感じていないのです。

 今回初めて「床と足の接触部分を、十秒かけて積極的に感じた」という人もいるかも知れません。そして、それは足の裏だけではなく、あらゆる自分の体の部位についても言えることです。

 これを全身行っていくことで、自分の肉体的な感覚をトレーニングしていけます。トレーニングを行うことによって、より敏感に、細かな感覚に気づけるようになります。いわば「感覚の解像度が上がる」わけです。

 その恩恵は計り知れません。

 ボディスキャンを習慣化している人は、ちょっとした体調の変化に気づきやすくなります。そうすると対応が早くなり、体調の悪化を未然に防ぎやすくなります。風邪を引きそうだったり、あるいは食べ過ぎていたり、飲みすぎていたり、寝不足だったり、というような体からの危機信号をはっきりと感じることができるわけです。危機信号を活かして未然にトラブルを防ぐことで、より健康になり、エネルギーを感じることができるようになります。

 また心地よい感覚も、より感度が上がります。パッと性的体験を思い浮かべたかたもいらっしゃるでしょうが、なにもそれだけではありません。スポーツや登山やサウナで汗を流す感覚、風を受ける感覚、日の光、月の光を浴びる感覚もまた、これまでよりも解像度があがり、より心地よく、快く感じるようになります。

 いわば生活の質、全体が向上していきます。 

 そんなことが、毎日数分のボディスキャンを習慣化するだけで自分の体に起こるのです。

 すこし興味が湧いてきませんか?

 これを知った上で、もう一回10秒だけ一緒にボディスキャンをしてみましょう。

 注意を向ける場所は、前回と同じように足と床との接触部分です。

 床の固さ、冷たさ(温かさ)、(裸足の場合は)床の肌触り、そして体が沈み込んでいく感覚を観察します。

 でも今回は、次のポイントを意識してください。

 床の固さ、温度、感触、感覚に対して、判断や評価は与えないこと。
 そこにはなんの優劣もありません。
 良し悪しも、正誤も、好き嫌いもありません。
 第三者みたいに観察に徹する。
 まるで研究者が観察ノートをつけるように、事実だけを眺めます。


 それでは10秒間ほど(数回の呼吸のあいだ)、行ってみましょう。

 前回よりもすこし詳しく感じられたかもしれませんね。ボディスキャンはトレーニングすればするほど体の解像度が上がっていきます。いちど感覚の向上を実感すると、より面白くなってくるかと思います。

 もし、自分でもっとトレーニングしてみたいと思った方は、ボディスキャン瞑想ガイドをMetyでもご用意してあるので、ぜひ気軽にトライしてみてください。


 次回は、ボディスキャンのもうひとつの(そして驚くべき)恩恵を、ご紹介したいと思います。
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