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瞑想中の「モンキーマインド」とは。頭のなかの猿を飼い慣らそう── 今からはじめるマインドフルネス入門⑱

 瞑想中に呼吸に集中していても、続々と雑念が浮かんで来てしまい、手放しても手放しても後からどんどん雑念が湧いてくることを経験したことはありませんか?

 まるで雑念が行列をなして自分に向かってくるようで、どれだけ雑念を手放しても永遠に終わらないために、そのうち自分が超人気アイドルグループのエースとして握手会に登場したような錯覚に誰もが必ず陥ってしまうという(陥りません)あの状態です。

 放っておくと「手放す→呼吸へ戻る→雑念が湧いてくる」のサイクルはどんどん短くなり、無限ループにはまったような気になります。

 今日はそのような頭の状態について解説していきたいと思います。

モンキーマインドとは

 猿がキーキーと喚き散らし、慌ただしく木から木へと飛び移って大騒ぎをしている。これが頭の中で起こっているような状態を「モンキーマインド」と言います。

 このモンキーマインドは、瞑想を語る上でよく登場する言葉です。

 猿があなたの意識だと思えば、モンキーマインドがどんな状態だかすぐにイメージがつくかも知れません。意識を一点に定めることができずに、慌ただしく雑念から雑念に飛び移って「集中できない!」と騒いでいる。

 この状態でマインドフル瞑想の10分、20分を過ごすのは大変な苦労を感じるでしょう。

虫歯ゼロ!


猿を飼い慣らすための2つの方法

 猿を静めて、頭と心に落ち着きを取り戻すには大きく2通りの方法があります。それは

  1. そもそも猿に襲われないようにする(モンキーマインドを避ける)

  2. 猿から離れるためのテクニックを使う(瞑想の技術を使う)

 の2つです。

 このうち最初に意識したいのは①です。
 モンキーマインドを最初から避けられていれば、それに悩むこともなくなるからです。

 では、どのようにしてモンキーマインドを避けるのでしょう?

 それは「雑念を手放す必要があるのは、アンカーから意識が逸れてしまったときだけ」という認識をきちんと持つことです。(アンカーとは「呼吸」など、意識を向ける対象のことです。念のため)

 どうやらモンキーマインドに嵌まりやすい方は、雑念が出てくるたびにすべての雑念を捕まえては手放そうとする傾向があるようです。まるでモグラ叩きのように、雑念が顔を出す度にハンマーで叩こうとするものだから、気が休まらないのも当然と言えば当然かも知れません。

 実際、僕のオンラインクラスに参加されているメンバーで、よくモンキーマインドに陥ることがあるという方々も、「頭のなかで雑念を自由に泳がせる」という感覚を掴みづらいと仰っています(とくに瞑想を始めたばかりのかたは、この感覚は実感しにくいものです)。だから、雑念が出てくるたびに自由に泳がせることなく、とっ捕まえて、そして手放そうとするわけです。

 このような場合、良くある誤解の1つとして、
「集中している」=「雑念が1つもない」
 という間違った理解があります。これはまったくの誤解で、私たちは集中していても、頭の中に雑念が浮かんで来ることがあるし、これはいたって良くある自然な現象です。それでもなお、私たちはアンカーに注意を向けて集中することができます。

 瞑想中に雑念を手放す必要があるのは「アンカーから集中が逸れたとき」だけでいいのです。


手放すタイミングを知る方法

 手放すタイミングを知るには、実例を考えてみるといいでしょう。

 たとえば集中瞑想において、呼吸をアンカーとし、その呼吸の回数を数えていたとしましょう(数息観といいます)。呼吸に集中し、呼吸をカウントしている最中、頭に今日のこれからの会議についてのイメージが浮かんできます。そしてしばらくすると、鼻の頭に痒みも感じはじめます。その上、窓の外からはクラクションの音が聞こえてきました。なかなかにぎやかに瞑想になってきました。

 しかし、あなたはまだ呼吸のカウントを続けられています。

 吸って、吐いて、5。吸って、吐いて、6。
 このように続けながら、自分の呼吸の姿を客観的に観察しています。もし呼吸のカウントを続けられているのなら、雑念が浮かんで来ていても、まだ呼吸に集中していると言える状態です。この雑念のうちのどれかを、わざわざ手放す必要はありません。

 しかしこれが、外のクラクションが続き、その苛立ちが会議のイメージと結びついて、いつの間にか苦手な上司から言われた嫌味を思い出していたとします。その不快な感覚がどんどん大きくなっていき、もしどこかで「呼吸のカウントを忘れていた」ことに気づいたら、それは注意が(集中が)逸れていたということです。

 ここではじめて、雑念に意図的に注意を向けて、それから「よし、呼吸に戻ろう。」と心に書きとめて雑念を手放します。

 もし、「頭のなかで雑念を自由に泳がせる」感覚が掴みづらい方がいれば、この呼吸のカウントができているか、いないか、を基準にすることで練習してみてください。そう遠からず「あ、雑念を泳がすってこういうことか」とわかってくるはずです。

 モグラ叩きをやめることができると、自然とモンキーマインドになりにくくなっていきます。これがモンキーマインドをに対処する2つの方法の内の1つです。



 もうひとつの方法、

  • 猿から離れるためのテクニックを使う(瞑想の技術を使う)

 はまた次回にご紹介します。

 その方法とは、瞑想の奥義とも呼べる技術「離見」です。
 ぜひ次回は見逃さずにご一読ください。


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