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#第2回鯛巻めきめ記念杯
第2回鯛巻めきめ記念杯結果発表
1.初めに
前回同様に一ヶ月の期間を設けて開催された第2回鯛巻めきめ記念杯ですが、今回は前回より4点増の9点の応募がありました! ありがとうございます!
今回は前回よりも若干落ち着いた雰囲気の作品が多く、読む方としてもしっかりと腰を据えてじっくりとお相手させていただきました。
優勝作品及び特別賞受賞作品については最後のセクションで発表されます。まずは各作品への講評からどうぞ。
2.講評
ザ・ウィッシュボーン
この世界で語られる言葉は、自らに込められた意図やその目的を、自らの意志で語り始める。
――第1の願い
第2願望期。夏。フランツの駆るバイクは打ち捨てられた廃墟の街を走っていた。辺りには霧のように濃い砂煙が舞っている。並び立つビルは水底の海藻に似て、輪郭だけがおぼろに揺れていた。
フランツは分厚いゴーグル越しに前方を睨んだ。昼間だというのに辺りは暗い。空にわだかまるねがいの分厚い層に阻まれて
「アイ・ソウト・オブ・ガン・アンド・マイ・デッドボディ・ビフォア」
おれ。
おれが、死んでいる。
そう、おれだ。おれが死んでいる。おれの目の前で。脳天に風穴を開けられて、後頭部から中身を噴き出して、おれが死んでいる。――では、おれは? おれは誰だ?
おれの手には銃。六連発の回転弾倉に空薬莢が一発分、あとは空。つまり、こういうことか。
おれが、おれを殺した……?
おれが倒れているのは――ややこしいな、死んでいる方のおれが倒れているのは小便器の前。つまり
虹の空と銀の怪物と向こうの旅
――人生は旅だというやつがいる。
その旅には道がある。けれど、進む先を見通すことは出来ない。
その旅には夜がある。けれど、暗闇の世界にもやがて朝は来る。
朝の光を拝めず、夜の間に野垂れ死ぬ奴も居る。旅の全てが幸せとは限らない。歩いた道の結末は様々だが、その過程は全て旅だ。
クー・ラフィックにとっての人生は――どうだろう。クーにはまだ解らない。人生について語る人間など、世俗の労苦を見下ろ
安全ピン、ハンガー、その次は?
〈1〉
地球の海が牡蠣で埋まった、というニューズを聞いたとき、その意味するところを本当に理解していたのは、おれたちのような三等級以下の市民の中にはほとんどいなかったように思う。
大昔の人類がそこで暮らしていたという地球は、現在の人類が暮らしている殖民衛星に、資源――主に食糧だ。家畜や植物はともかく、水産、それも海産物となると、殖民衛星で生産するのは難しい――を供給するためのプラントになっていて、
マーク付きエンジェルネスト
眠りの渦中に沈み込む意識を何者かが引っ張り上げようとしている。おれはその手を払いのける。おれは眠りたい、まだ眠っていたい。断続的に体が揺すられる。ふかふかとした手の感触がおれを捉える。薄皮のようにおれを包んでいた眠気は一枚ずつ取り払われていく。体が再び揺すられた。おれはゆっくり目を開いた。
「お客さーん、終点ですよォー」
息が掛かるくらいの至近距離に浮かぶ【金の目】がぎょろりと俺を見た。おれは飛び
(果汁入り『本物』ドロップ一缶三千五百円)
(果汁入り『本物』ドロップ一缶三千五百円)
カラン、と歯に当たる音。携えるのは色とりどりのキャンディ。メロンだかレモンだかわからないこれを、俺は次々口へ放り込む。ケミカルと不自然に犯されたこの世界で、これだけが俺の救いだった。
俺は【シガードロップ】。薔薇色の未来を夢見る35歳の若者だ。ああ畜生! また外れやがった!
手の中にある端末をどうにか操作しながら、俺は舌打ちをする。宝くじはもうやめだ
金属泥を鼻から吸って
1
側溝に溜まった鈍色の金属泥が夜の雨に降られて蒸気をあげる。投光機のまぶしい明かりの中おれは鼻からそれを吸い込む。おれの脳は加速する。加速する。そしておれは放水路の中をどこまでも走って行く。きっと誰にも追いつけないだろう、おれはそう信じる。それこそが力だ。
「すごいね」
背中に背負った彼女がそう言う。
「すごいだろ」
おれもそう言う。
この街でおれたちは遊び、跳び、駆ける。きっと誰にも
【告知】第2回鯛巻めきめ記念杯開催のお知らせ ─ 優勝賞金2万円/特別賞1万円!!!
1.「鯛巻めきめ記念杯」とは? 無名のWeb小説家ズールーが開催する、架空の和製ビートニク作家鯛巻めきめ氏へ捧げるための小説コンテストです。最も優れた作品を書き上げたものには優勝賞金として2万円が、そして今回から設立された特別賞に該当する作品には1万円が授与されます。要するに勝てば2万円か1万円が貰える! 小説を書いてコンテストに勝って美味しいものを食べよう!
前回の参加作品及び優勝作品につい