ヤラカシタ・エンターテインメント

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サイバーパンクニンジャ活劇『ニンジャスレイヤー』の二次創作小説同人誌を企画・制作する、非営利の編集ごっこ集団です。

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コロナ渦不染日記 目次

ここはぼく、うさぎ小天狗の日記『コロナ渦不染日記』の目次です。 [前略]タイトルは『コロナ渦不染日記』とする。「ころなか・ふせんにっき」と読む。もちろん山田風太郎『戦中派不戦日記』にならっての命名である。 「コロナ渦」は「コロナ禍」の誤字でないことは明記しておこう。この日記で取り上げるのは、「新型コロナウィルスの流行」そのもの(「コロナ禍」)ではなく、「それを中心として渦を巻くごとき世の動き」(「コロナ渦」)である。したがって、「不染」も、「新型コロナウィルスに感染して

    • コロナ渦不染日記 #119

      ←前回/目次/    四月七日(水) ○本日の体温、三六・一度。  ○仕事では、おとといに引き続き、カエルさんのサポートをする。  ○夜。夕食の片づけをすませ、ケーブルテレビで時代劇も見て、あとは風呂に入って寝るだけとなった午後十時すぎ、ぼくたちは巣穴を出た。近所のコンビニでコーヒーを買ってから、公園へとむかう。四月の夜はまだ寒い。立てた耳の先に、ひんやりとした静寂を感じる。  静寂。あたりはしんとしている。公園は、盆地のへりにむかう坂道の途中にあって、あたりは住宅地だ

      • コロナ渦不染日記 #118

        ←前回/目次/次回→ 四月五日(月) ○今朝の体温は、三六・一度。  ○ぼくが、いまの仕事に就いてから、ちょうど一年が経ったところである。そういう意味でも、この一年間は暗中模索であった。しかし、その第一次大戦の塹壕戦めいた日々のうちに、多少なりとも現場慣れして、なにより脱落せずにここまでやってきたからには、ぼくもいっぱしの古参兵となりおおせたものと思われたか、ここからしばらくは新人のサポートを行うことになり、きょうはその一日目、新人のカエルさんの現場に同行した。  ○カ

        • コロナ渦不染日記 #117

          ←前回/目次/次回→ 四月三日(土) ○休日なので、のんびりと過ごすことにする。洗濯をし、相棒の下品ラビットが作ってくれた昼食を食べて、本を読んだ。  ○平田弘史『平田弘史のお父さん物語』を読む。  平田弘史氏の作品を読めば、氏が真面目な方であることはすぐに理解できる。あれだけリアルで精緻な絵を描ける人が、真面目でないはずはない。そうした氏の真面目さが、氏がじしんと家族の生活を、そして「人の生き方」を見つめたときに、必然的に生まれるのが哲学である。  これこそが本作のキ

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          コロナ渦不染日記 #116

          ←前回/目次/次回→ 四月一日(月) ○今日から四月である。と同時に、久々の出社でもある。体温計を脇に挟むのも久しぶりである。  今朝の体温は、三六・一度。  ○午後からはミーティングであった。去年のおなじ時期とくらべると、倍ちかい数の同僚がいるのは、これからはじまる新年度の忙しさを思わせた。ぼくも、ある意味では、今年度のために雇用されたようなものであるから、ここが正念場ともいえるが、では、ぼくの内部のことがらを棚に上げて、それ以外の部分――会社の体制、現場の体制、制度じ

          コロナ渦不染日記 #115

          ←前回/目次/次回→ 三月二十九日(月) ○有休消化二日目、連休四日目である。だが、朝いちばんで、現場に連絡をした。連絡するまでは、「休みの日なのに仕事に関することをする」ことに、心底不満を覚えたものであるが、連絡してみれば、思いのほかすんなりとことがはこんで、来年度にむけて懸案事項であった詰まりがとれたものである。  ○いい気分になったのも手伝って、父うさぎ、叔母うさぎとともに、車で出かけることにした。ぼくたちの一族が、代々棲んでいる巣穴は、群馬県の県庁所在地である前橋

          コロナ渦不染日記 #114

          ←前回/目次/次回→ 三月二十六日(金) ○今日から、有休消化のための休暇に入る。仕事など、すすんでしたいものではないが、会社の都合で休まされるのは、業腹ではある。しかし、休めるなら、それはそれでありがたい。もちろん、そのための準備、根回しはしっかりとおこなって、年度が改まるまでの残り五日は、なにもしなくていいように努力した……つもりであったが、結局は週明けに現場と連絡をとらねばならなくなった。  しかも、今日も今日で、現場を引き継ぎした後輩から、くだんの現場に関する連絡が

          コロナ渦不染日記 #113

          ←前回/目次/次回→ 三月二十三日(火)  ○今朝の体温は、三六・一度。  ○今日から三日間、在宅勤務である。といって、特にやることがあるわけではない。他の仕事の例に漏れず、ぼくの仕事も、年度末は次年度への以降に追われて、いろいろなことがまとまらず、並列処理を続け、時間がかかり、結果、ぼくたちのような現場レベルにまで、決定がなかなか降りてこないからである。足踏みを余儀なくされているのだ。  こういうときに焦ってもしょうがないので、報告書を片付けたり、資料を読んだりして時間

          コロナ渦不染日記 #112

          ←前回/目次/次回→ 三月二十二日(月) ○今朝の体温は、三六・〇度。  ○誕生日、というものは、その日を境にむかえることになる、新たな年齢によって、その意味合いが変わるものだ。十代までは、「待ち遠しい、わくわくする日」だった。それが、十代に入ると、「自分が主役になれる、自分だけの日」になった。二十代になると、「なんとなく緊張する日」になった。三十代になると、「『ぢっと手を見る』日」になった。  そしていま、ぼくと、相棒の下品ラビットは四十代になっている。数年まえまでは、

          コロナ渦不染日記 #111

          ←前回/目次/次回→ 三月二〇日(土) ○明後日は、ぼくと、相棒の下品ラビットの誕生日なのだが、そのことを、イナバさんがお祝いをしてくれたのであった。  ○岬の洋風居酒屋「るみなすキッチン」は、ラーメン屋の二階にある小さなお店である。 「牛タンデミグラス」をはじめとする料理がおいしいのもさることながら、マスターこだわりのクラフトジンの品ぞろえがすばらしい。イナバさんに連れて行ってもらってから、ぼくも下品ラビットもすっかり気に入ってしまった。そこで、三匹でお祝いということ

          コロナ渦不染日記 #110

          ←前回/目次/次回→ 三月十五日(月) ○朝、明るくなるのが早くなって、巣穴を出るころには、空はすっかり青くなっている。  今朝の体温は三六・一度。  ○現場近くの、大好きな「こういうのがいいんだよラーメン」が、月曜日は定休日なのである。だから、今日の昼食は、別の町中華で取ることにした。ここも安くてうまい店で、台湾ラーメンに半チャーハンがついて七八〇円である。しかも、台湾ラーメンに乗っている肉味噌が、ラー油たっぷりで、辛くてうまい。なのだけど、今日はこれが気管にてきめんに

          コロナ渦不染日記 #109

          ←前回/目次/次回→ 三月十三日(土) ○気圧が下がっているせいか、朝から頭が重い。さいわい、特に出かける予定のない日である。一日中、巣穴でごろごろする日とした。  ○布団のなかでごろごろしながら、人気のテレビドラマ『ザ・ボーイズ』を二話まで見る。  いわゆる「アメコミヒーロー」を相対化する視点は、古くはアラン・ムーア『ウォッチメン』から持たされているもので、格別目新しいものではないが、その視点によってストーリーを語るにあたり、細部を徹底しているところに、このシリーズの

          コロナ渦不染日記 #108

          ←前回/目次/次回→ 三月八日(月) ○今朝の体温は三六・〇度。  ○同僚相集ってのミーティングであったが、年度末、そして新年度にむけての体制が、はなはだ疑問ののこる仕儀であったれば、なんとなく不信感のようなものが芽生えてならない。  そもそも、ぼくたちの現場は、取引先の情報開示がおそすぎて、身動きのとりづらいところがある。かててくわえて、チームリーダーの動きも拙速ときた。こちらに動きをうながして、こちらの知りたいことは雑に伝え、こちらが悩むところは丸投げし、頼りにならぬ

          コロナ渦不染日記 #107

          ←前回/目次/次回→ 三月六日(土) ○こんな夢を見た。  かつて縁のあった相手が、いまは結婚して、結婚相手と暮らしている、その家にあげられるのである。しかし、縁のあった相手は、昼寝をするからと引っ込んでしまい、こちらはひとり、居間に取り残される。そこで、ひとりうす暗い居間で本を読んでいると、『結婚相手が帰ってくるからそろそろ帰れ』と言われる。その家を出ようとしたところで、宅配便がやってきて、今度はその荷物を運び込む手伝いをさせられる。その荷物は、おもちゃとAVばかりが入っ

          コロナ渦不染日記 #106

          ←前回/目次/次回→ 三月一日(月) ○今朝の体温は三六・〇度。  ○今日から三月である。ということは、今の仕事に就いて、ちょうど一年が経ったことになる。一年前は、右も左もわからなかった。とはいえ、ぼくたちはいい歳なので、これまでの仕事の経験がある。それをアドバンテージに、どうにかこなしてきた。結果、なんとか右と左ぐらいはわかるようになってきたものである。ここから先はさらなる努力を要するだろうが、できるかぎりやってみるとしよう。できなくなったら辞めればいいだけのことである

          コロナ渦不染日記 #105

          ←前回/目次/次回→ 二月二十七日(土) ○こんな夢を見た。  高校時代の友人たちとならんでベンチに座り、思い出話に花を咲かせている。ぼくの両手はふさがっており、そのうち、左手にはアイスを持っている。そのアイスは、上がわは硬くてなかなか食べすすめられないのに、下がわは溶けはじめていて、どんどん手にしたたってくるのである。  ○昼すぎに起き出して、持ち帰り仕事をする。休日にこんなことをするのは業腹であるが、これをしなければ、今日の午後と明日を楽しめないと思いさだめ、強いて仕