【習作小説】目標にされる人【カニロク】
平成の始まる頃だったか、私は付き合っていた男に捨てられて、当時流行っていたディスコで毎日のように踊り狂っていた。
胸にぽっかりと開いてしまった穴を一人ではどうやっても埋めることができず、少しでも寂しさを感じると家を飛び出さずにはいられなかった。
激しく煌めくライトとリズミックな音楽が作り上げる華やかで熱に浮かされた空気だけが、麻薬のように心の痛みをまぎらわせてくれていた。
週2あるフレックスの日と週末には、深夜をすぎてもろくに家にも帰らず、昼と夜が逆転したようなそんな荒れた暮