沖縄ラム酒ツアー with E&A Scheer
300年以上の歴史を持ち、オランダ・アムステルダムに本社を構えるE&A Scheer社(イーアンドエーシアー)より機会を頂き、APAC担当マネジャーのRichard Koning氏を迎え沖縄のラム蒸留所ツアーのアテンドを実施させていただきました。
E&A Scheer社は、世界35か国以上の産地からラム酒をバルク調達し、クライアントの要求に応じて、独自のブレンディングを行い、世界55か国以上に届けます。それらのクライアントの多くはよく知られたブランドです。皆さんが飲んでいるラムはScheer社のアムステルダムの倉庫を経由している可能性が高いと思われます。
そのような絶大な影響力を持つE&A Scheer社が日本のラム酒に注目しています。
今回は、時間が限られている中で、沖縄の4社様の蒸留所や事務所訪問等をさせて頂き、各社の代表者の方にお会い頂き、見学やディスカッション、悪い相談、その他さまざまなアイデアを想起させる素晴らしい体験をさせていただきました。
日本のラム酒業界にとって大変有意義な内容でありましたので、詳細は別の場で共有させていただいた方がよいかもしれませんが、個人的に今後のジャパニーズラムのグローバル展開を考える上で、以下の3点は改めて重要だなと感じました。(ま、製造業共通ですけどね)
グローバルマーケットの数字・トレンドを見ること、情報を取りに行くこと
ローカル(日本・各地域)の価値を、ラム以外のものも利用しながら、グローバルでのセリングストーリーとしてざっくり構想すること(三行程度で)
とはいいながらも、グローバルマーケットに柔軟に対応すること(製品ポートフォリオ等)
1点目はごくごく当たり前の話なんですが、雰囲気やイメージではビジネスが出来ません。数字とその数字の背景に何が起きているのかといったトレンドを押さえましょう。可能であれば現地に赴いて実態調査まで出来るのがベストですが、なかなか難しいので現地の事情に詳しい人に話を聞くでもokです。こうしてとらえたファクトから作戦を立てるのがグローバルで勝負する第一歩です。
2点目は、要するに世界各国のラム酒があるなかで日本のラム酒を買う理由は何ですかという話です。E&A ScheerのRichardとの会話では、日本はウィスキーの国でありその国が作るラムなんだからうまいに決まってるじゃん。というようなことやら、さらにいうとウィスキーは原材料輸入に頼ってるのに、ラム酒だと自分たちの島で作ってますと。これはポテンシャルあるよね~。というのが、日本のラム酒を売るという場合の基本ストーリーなので、これが各ブランドになるともうちょい特徴を入れ込む必要が出てきます。その辺り、ローカルの魅力をふんだんに取り込みたいですね。真のグローバル化はローカルにあり、というのは良く言われますが、グローバルに俯瞰しないとその良さが見えないのも事実です。ですので、みなさん、もっと海外に気軽に行きましょう(笑)
3点目は、ある意味日本の生産者にとってはやるかやらないかがはっきり別れるかもしれません。極論を言えば、流行りにあわせて作るということにもなります。それをやるかやらないかは大規模にしていきたいかどうかとほぼイコールなのではないかと思いますが、個人的な考えとしては製品ポートフォリオをちゃんと揃えて、生産者のこだわりとマーケットに合わせこみに行くところを両方やっていただきたいなと思います。なぜなら、稼ぐベースがあってこそ、その土台の上にこだわりラインナップの存在が許されるはずである、というのがビジネスの世界の常識だからです。
最近で言うとこのニュースなんかめちゃくちゃ面白いですね。UKではラム酒の金額規模での売上がウィスキーに勝ったと。
内情聞いてみると、イギリスではどこのバーにもスパイスドラムがおいてあり、みんなスパイスドラムコーク飲むらしいです、特に若い子。ラム酒を飲む人の48%が18歳から34歳だそうです。でも、それってスゲー甘くないですか?ということもあるんですが、イギリスは海軍がラム酒飲むからそれがある意味大人の嗜みで、そういう文化も出来ているから、若い子はまずラムコークから入って、大人になったらBLACK TOT(ロイヤルネイビー御用達)飲むみたいなエデュケーションが国として成立していると。こういう話面白いですよね。
上の1-3、簡単に書いてますが、日々お忙しい生産者の方にとっては難しいことだと思いますので、こうしたことを我々としてもサポートできるように色々考えていきたいと思います。
また、これに絡めてですが、那覇のSG系列のBar「El Lequio」では実に様々な感動があったのですが、私、勢いで、ウン万円のパナマハットをその場で購入することになり、、、その時に思ったのが「世界を見ている人ほど、ローカル(地域・地域特性)に目を向け、これを自身の商売のコンセプトにうまく織り込むんだな」ということ。さすがは後閑さんです。パナマハット最高でした(笑) 瑞穂酒造の仲里さんと共同開発した黒糖リキュールもガンガン売りたいですね。沖縄黒糖余っているので!!
また、日本のグローバルビジネスの課題ということでいくと、ScheerのRichardが他日本で進めているビジネス状況などを話していても、日本は本当に言葉の壁が大きいとのこと。個人的には、それは言葉自体というよりも、相手に聞きたいことがない、伝えたいことがない、ビジネスの目的を完遂させるという執念の不足のほうがより深刻な問題だと思います。
そろそろラムブーム来るかも、という受け身な期待を良く耳にしますが、これはほぼ意味をなしません。だからこそ私たちは機会はどんどん作り出して行きたいと思います。
日本でウィスキーブームが来るまでには約100年かかっていますし、E&A Scheerと付き合いの長いカリブの国々では70年もビジネスの付き合いがあるとのこと。
ラム酒をビジネスとして成立させるって本当に大変なことです。が、やりがいありますよね?(笑)
まだまだお伝えしたいことあるのですが、このあたりにして、最後に今回の沖縄ツアーでお世話になった皆様に感謝申し上げます。
ヘリオス酒造:松田様、渡嘉敷様
伊江島蒸留所:宮里様、浅香様
瑞穂酒造:仲里様
グレイスラム:金城様、比嘉様
El Lequioの皆様
Ryukyu mixology bar Archemistの皆様
PINE MUSIC FACTOR:松本様
今回は(も)大変お世話になりました。
引き続きよろしくお願い致します!!
Rum Club Japan 三上雄三
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