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【私的読書生活】週刊読書録vol.16(2022/4/16〜4/22)


季節の変わり目。
夏みたいに暑くなったり、時が止まったように寒くなったり、毎日の服もなかなか選びにくい今日この頃。
本なら迷わず選べるのに。

いや、嘘だ。

楽しい本だらけで、どれから読もうか迷ってしまう。だからこそ増える図書館の予約本に、自宅の積読。
はっきりと、ヤバい、笑。


そんな今週の読了本はこちら。

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失うことでしか救われないとしたら


最近、自分の中でヒット続きの葉真中顕さんの長編。
今回のテーマは介護。
叙述トリックにあっさり騙されながら、ほぼ一気読み。
自分自身の仕事がこの医療介護の分野であることや、家族の介護の経験もあったことから、前回読んだ『絶叫』以上に訴えかけられる内容だった。

感情という本来コントロール不能なはずのものを無理やりコントロールしなければならない感情労働としての側面が、介護には多分にある。
『ロスト・ケア』
金をもらわず、無欲無私で、他人の尻を拭ける人間がどれだけいると思っているのか?
恐るべき想像力の欠如。
『ロスト・ケア』


これらの文章は介護に携わる人間の実情を言い得て妙だ。

物語は介護に頼るもの、介護に頼らないもの、介護を提供するもの、そして介護を「ビジネス」として利用するもの、色々な立場の目線が絡まり合って進む。
そしてひとつの介護事業の破綻をきっかけに、不思議な縁がつながり、衝撃的な事件が顕となっていく。
事件が明るみに出てくるくだりは、統計ミステリーとしての読み応えもあり。

内容的にかなり苦しい話であったけれど、最後まで気持ちを切らすことなく読めた。
本当に響く言葉が多かったのだが、その中で救いにすら感じた言葉をひとつ。

たとえ行く先が地獄と分かっていても、人はつながることから逃れられない。
ならば、つなごう。せめて愛する人と。
『ロスト・ケア』


社会派小説として、叙述ミステリーとして、群像劇として、読み応えのある作品。

前回読んだこちらも、また改めて読むと感じ方が変わりそう。

今回検索してみたら、コミカライズもされてました。


2作続けて、撃ち抜かれ中の葉真中さん。
新作出てたので、読んでみよう!

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本気で考える歴史のif


今週のノンフィクションは好きな歴史学者の新書。

東大史料編纂所といえば、もうおしもおされぬ、いわゆるガチのガチみたいな日本史研究の権威(だと思う)。そこの教授の本郷和人さん、これがなかなかに面白い方。文章も考え方も。たくさん新書を出されているので、ちょこちょこと読んでます。
(その本郷さんをして、やっぱり室町時代の人物関係は把握しきれない…。あの時代、絶対面白いし、とても気になるんだけど、なぜか頭に入らない、泣。)
歴史には多かれ少なかれ、どこかに「失敗」だよなぁと、言えるような出来事がある。同時に歴史に「if」はないとも言われる。
膨大な知識と、歴史に対するはっきりとした視座を持つと、その分岐点をこうも論じることが出来るのだなと。

手元にある既読の本郷さんの著作、読み返してみたくなった。

蔵書の既読本(枕元故に写真暗くてすみません、笑)

そして意外と少ないことに驚く。
結構、図書館本で読んでたんだな。
検索してみたら、著作が多くて追いつけるか不安になった。

今放送中の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の時代こそ専門の本郷和人氏。
せっかくなのでこのあたり積極的に読みたい。

『鎌倉殿の13人』録画するばかりで、なかなか観れてないのだけど。
でもどの本で頼朝のことを読んでも、脳内では大泉洋さんで再生されるようになってしまった、笑。

「あー、、もう、、義経なーんもわかってない、あーもう、あーもう!」

みたいな。

楽しいです、笑。

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と、冊数は少ないけれど、個人的には満足度の高い1週間でした。

さて次週はなにを読もうかな。
(積読本はまだまだあるぞ)


最後までご覧下さり、ありがとうございました。
皆様にも素敵な本との出会いがありますように。

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