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エッセイ

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学術書に疲れたとき、エモいエッセイを書きたくなります、書きます。
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#眠れない夜に

「高校入ったら告っていい?」今言えよ

「高校入ったら告っていい?」今言えよ

大人なら絶対にありえないような不可思議でヘンテコな、それでいて大真面目なことが、子どもになら容易に起こりうる。

子どもの醍醐味は、人生経験の乏しさから生じる、目の前のことに対する一所懸命さにあると思う。

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大学生の頃、小学生向けの模試の試験監督をやっていた。

教室で小学生に試験用紙を配って、「それでは始めてください」「時間です。ペンを置いてください」と書き終えた試験用紙を集める仕

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コント「アンジャッシュ」

コント「アンジャッシュ」

30年間生きてきて僕が最もすれ違ってしまっていた日の話をしよう。

すれ違いは恐ろしい。恋人を引き裂くこともあれば、つなぎとめることもできるからだ。

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まだ二十歳そこそこの頃、韓国人と付き合っていた。

韓国人といっても、日本で育ったので日本語はペラペラで、意志疎通は一切滞ることなくできた。

あるとき、僕が何度もLINEを返していなかったことがきっかけで、喧嘩をしてしまい、「もう私、韓

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そして誰も見えなくなった

そして誰も見えなくなった

確かにそこに存在しているはずなのに、自分以外、誰にも見えていないということがある。

最近、そんなホラーのような場面を二度、目撃した。

一つ目は、家の近所にある池でだ。

その小さな池では、鯉(コイ)にエサをあげてもいいことになっていて、

とても蒸し暑い夏のある日、5歳くらいの女の子とお母さんがエサをやりにきた。

ホラーはすぐにそこで起きた。

子どもが言った。

「あ!金魚さんがいる!!」

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100点のマンションの名は。

100点のマンションの名は。

子どもの頃、勉強がとても苦手だったからか、今でも100点を探し歩き、見つけたら「おめでとう、100点」と思わず言いたくなってしまう。

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高校生の時、友達が自転車に乗ったまま頭から田んぼにダイブしたことがあった。

友達が走っている道の先だけが田んぼに続いていて、それに気が付かなかったのだ。

僕と会話しながら田んぼにダイブしていく様はあまりに自然で、夕日に照らされたその姿は、ま

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