古本詩人ゆよん堂

サーカスする古本屋。店名は中原中也の詩「サーカス」より。驚きと変化に富んだお店でありた…

古本詩人ゆよん堂

サーカスする古本屋。店名は中原中也の詩「サーカス」より。驚きと変化に富んだお店でありたいです。珈琲、チャイなど喫茶営業もしてます。新潟市西区内野町、内野駅の近くで線路沿いにあります。お店の裏手は川です。

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最近の記事

僕らは「海のオーケストラ!」

さあ、この船に乗って行こう 海や空をかけて行こう 巨大な亀の姿をしていて 背中にサーカステントを乗せた船 今日は君のいる町にやって来た 楽しい仲間たち、 たくさんの古本や楽器、 詩や物語、歌や音楽とともに 君も乗ってみるかい? 一緒に旅に出かけよう! 大丈夫、心配はいらないよ まあ、ちょっと大変かもだけどね… それでは、ご紹介! この船の名前は「空飛ぶサーカス!」 そして、僕らは「海のオーケストラ!」 この船はどんな大海原も行けるし、 ゆよ〜んと空だって飛べる! 色ん

    • よみ

      しを よみ しを よみ よみを おもいみる しを よみ しを よみ なみだ ながしつつ しを よみ しを よみ ふみを したためる しを よみ しを よみ ふかく いのりこめーーーーー ふみを また おくらん よみの あなたへ 詩・山田正史

      • 言葉を縫っていく

        言葉を 縫っていく ひと針、ひと針、 -----、-----、-----、 -----、-----、-----、-----、 黒や白、赤や青、黄や緑、紫、 様々な色の糸で、 ひと針、ひと針、  -----、-----、-----、 -----、-----、-----、-----、 たまに、 指を刺したりもするが 血を拭いて絆創膏して、また ひと針、ひと針、 -----、-----、-----、-----、 -----、-----、-----、 なかなか疲れるもんで コー

        • 桜の紅葉

          風が吹き、 紅葉した桜の葉が かさかさ、 かさかさ、 と、鳴っている。 そして、 ひらひら、 ひらひら、 宙を舞いながら 落ちていく。 ふと足元を見ると すでに地面に落ちた 葉がいっぱい重なっていた。 虫に食われ、 穴が開いているが、 なんだか満足そうに 横になっている。 過ぎ去った様々な時間を 懐かしむようにーーーーーー 詩・山田正史

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        • 46本
        • 文章
          15本
        • 歌詞
          38本

        記事

          赤いスピン

          赤いスピンは 本の白いページの中を 流れる血管 読書を一旦やめる時 わたしはその血管に触れる すると、指先から手、 手から腕、腕から肩、 肩から胸、そして、 身体中に血が送られる 心にも血が送られる 言葉は血である 詩は血である 「赤いスピン」 詩・山田正史

          白い船が来る

          見知らぬような どこか懐かしいような さびれた港に 白い船が来る 船はゆっくりと こちらに近づいて来る 僕の他にも何人かが それを眺めている 船が港に到着する ふと気づけば、いつの間にか 乗船のための行列ができている みんな様々な表情を浮かべている 何だか僕も乗らなきゃいけない気もするし 別に乗らなくて良い気もする 切符なんて持っていないし どこで買うかも分からないし んー、僕は乗らなくていいかな ひとまず、まだ乗らなくていいだろう あの白い船は見送ることにする 旅立

          白い花

          心療内科の待合室 大きなガラス戸の向こう 白い花が見える 花は鉢に植えられていて 古い木のベンチの上に置かれている さらに、その向こう 漆喰の壁はクリームイエロー 何だか僕の店の外壁の色とよく似ている 風が吹き、白い花が落ちる ポトリと、床に落ちる。 「白い花」 詩・山田正史

          マッチ

          マッチを擦って 火をつけては すぐに火を消す マッチを擦って 火をつけては またすぐに火を消す それをしばらく 繰り返し、 繰り返して、 終いには火をつけることもせず、 マッチを指でへし折っては 床に投げ捨てる。 そうしていたら、残りのマッチは たった数本になっていた。 さすがに全部は折ってはいけない そんな気がして、マッチを何本か残した。 眠れない夜、浅い眠りの中で、 こんな夢を見た。イヤな夢だった。 「マッチ」 詩・山田正史

          お盆前の読書会『不在と永遠、詩と物語』 レポート③

          さて、また前回に引き続き、8月11日・12日開催のお盆前の読書会『不在と永遠、詩と物語』のレポートです。前回のレポート②は、第1日目の11日に参加者の方々にご紹介頂いた本をご紹介させて頂きました。今回は、第2日目の12日にご紹介頂いた本をご紹介いたします。 今回の読書会は両日とも、喪失や詠別をテーマに開催。第2日目も様々な本をご紹介頂きました。重たいテーマながら、屋外で開催したのもあって、キャンプのようなゆったりした雰囲気で、とても和やかな良い時間でした。それでは、本をご紹

          お盆前の読書会『不在と永遠、詩と物語』 レポート③

          お盆前の読書会『不在と永遠、詩と物語』 レポート②

          さて、前回に引き続き、8月11日・12日に開催した、お盆前の読書会『不在と永遠、詩と物語』のレポートです。前回の記事では、私が紹介した本をご紹介させて頂きました。本記事では第1日目、8月11日に参加者の方々にご紹介頂いた本を紹介させて頂きます。 今回の読書会は、喪失や詠別をテーマとし、様々な本をお持ち頂きました。そして、本を紹介して頂き、参加者はできる限り、その場で読んでいくというスタイルの読書会としました。読んだ上で感想を交わす楽しみもあるので。それでは、本のご紹介。

          お盆前の読書会『不在と永遠、詩と物語』 レポート②

          お盆前の読書会『不在と永遠、詩と物語』 レポート①

          この夏、8月11日と12日の2日にわたって、お盆前の読書会『不在と永遠、詩と物語』を開催しました。東京・神保町から移動新刊書店ハリ書房さんがご出店に来て頂いたので、それに合わせて、店の前の駐車スペースにテーブル、椅子を設置して屋外で読書会を開催しました。 今回、お盆前とあって、喪失、詠別を読書会のテーマにしました。重たいテーマでしたが、参加者の皆様のおかげで、2日とも穏やかで楽しい雰囲気となりました。ご参加頂いた皆様には、本当に感謝しています。 読書会は18時スタート、暗

          お盆前の読書会『不在と永遠、詩と物語』 レポート①

          『ゆよん音頭』

          中原中也の詩集は読んだかい? 読んでいないなら、読んだらいいぜ! 悲しい時には、胸に響くのさ 月夜に拾ったボタンのように イエイ! ゆよ〜ん ゆやゆよん 幾時代かがありまして ゆよ〜ん ゆやゆよん 茶色い戦争ありました ゆよ〜ん ゆやゆよん 冬は疾風吹きました ah ゆよ〜ん ゆやゆよん でも、今夜は夏の風が吹く サア、みんなで踊ろよ ゆよん音頭 ホラ、みんなで踊ろよ ゆよん音頭 オー、ベイベー! 中原中也の詩集を一冊 鞄の中に いつも入れとくといいぜ! 辛い時には、

          『ゆよん音頭』

          読書は、盆踊りだ!

          「読書は、盆踊りだ!」 突然何なんだ?と思われたかもしれないが、読書と盆踊りはどこか似ていると、私は最近思っている。 我々は読書によって、今は亡き人々の考えや気持ちを知ることができる。作品を通して、生きていた時の作者の心の動き、身体の感覚を追体験もできる。 一方、盆踊りは、お盆に迎えたご先祖や故人の霊を元の世界に送り出す儀式の意味合いもある。生者は死者とともに踊り、ひと時を楽しんで過ごす。《お迎えして共に過ごし、また送り出す》これは本もそうではないか。 だから、読書と

          読書は、盆踊りだ!

          君がいた海へ よしもとばなな『海のふた』

          『海のふた』は、ふるさと西伊豆の小さな町の海辺で、かき氷のお店を始めたばかりのまりちゃんと、まりちゃんの家にホームステイしながら、ひと夏を過ごすはじめちゃんの物語。物語の最初でふたりは出会い、一緒に過ごす夏の日々が始まる。はじめちゃんは、大好きなおばあちゃんを亡くしたばかりで深い悲しみの中にいる。 はじめちゃんは初めて来た町で、まりちゃんのかき氷屋さんのお手伝いをしたり、ふたりで色々なことを話したり、海に入って泳いだりしながら、日々を過ごしていく。その中で心身に負った傷や痛

          君がいた海へ よしもとばなな『海のふた』

          船よ、時の川を進め

          詩や物語の中の言葉は時間的な射程が長く、時間経過による風化に抗う耐久性があるものだと思っている。 対して、SNSに投稿される言葉は、その時ばかりのもので、今日明日のうちに消えていくような言葉だ。何かを長い期間残そうとして書かれているわけではない。時間的な射程があまりに短い。 詩や物語などの表現作品の言葉は、先の時間にも残そうとして書かれた言葉だと思う。だから、作者が亡くなった後もずっと残っていく可能性がある。表現作品の言葉は、受け取った他者の中に息づき、様々な形で継承され

          船よ、時の川を進め

          彼岸へ向かう言葉

          今はもういない人を偲び、彼ら彼女らが生きていた時の姿や表情をありありと思い出させる、そのための言葉。 それらは結局、詩の言葉であり、歌の言葉ではないか。表現としての言葉でなければ、もういない人のことは語れないのではないか。 「詩とは死のことなのだろうか」と、久世光彦の本(花筐(はながたみ)」に書いてあった。詩は「彼岸へ向かう言葉」なのではないかと私は最近思っている。 宮沢賢治の「心象スケッチ」は正直わからない。けれど、非常に感じるものがある。賢治の詩は、彼岸へ向かう言葉

          彼岸へ向かう言葉