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週報Vol. 44:スタートアップ・ベンチャーにおける社長の役員報酬額について

先週あたりちょっと話題になってた?のでメモがてら書いておきます。
結論としては、それぞれの社長が決めることなので周りがどうこう言うもんじゃないよね、って感じですが、一応関連することについてちょろちょろと。

前提

株式の第三者割当による資金調達を行っているスタートアップ企業と、それ以外の未上場企業のケースで分けて書きます。
なぜなら、スタートアップ企業とそれ以外の未上場企業ではそもそもの目的が異なるからです。

スタートアップ企業は株を第三者に割り当てて資金を調達しますが、それは上場ないし売却というExitを全力で目指す、という前提のもとに行われます。
しかし、例えば社長が100%の株を保有している場合、その法人の目的は社長個人の意思次第です。
そのため、ここでは明確に区別して書いていったほうがよいであろう、という考え。

未上場(オーナー)企業において

先にこちらについて書きますが、結論としては簡単で、社長の好きにすればいいよね、って感じです。
役員報酬を高くしようが低くしようが、それは社長次第であり自己責任。
ただ、税金の問題もあるので、あまりに高額な役員報酬にするのは控えた方がよいです。

スタートアップ企業において

こちらは、そもそも給与額が投資契約において決まる場合もあります。
それはさておきで僕が一番よいであろうと思う金額は、自分が必要だと思う金額よりも少し余裕を持たせた金額です。

そもそも、例えば実家ぐらしの学生社長と、複数人の家族を養う必要のある社長であれば、必要金額は大きく異なります。
もちろん、調達金額の規模によって給与相場みたいなものはありますが、必ずしもそれに準ずる必要はありません。

なぜ少し余裕を持たせた金額なのか、というのは2つ理由があって、1つ目は危機に備えたバッファを持ったほうがよいため、2つ目は自身のメンタルや身体を健全な状態に保つためです。

1つ目についてですが、スタートアップを経営していると色々しんどいことが起こります。
それは単純に身体におけるトラブルかもしれませんし、メンタルの不調かもしれません。
もしギリギリの金額のみしか受け取っていない場合、例えば美味しいごはんを食べるとか、気分転換のために旅行に行くとか、そういう対応ができなくなってしまいます。

また、役員報酬というのは基本的に期初にしか変更ができません。
会社のキャッシュが不足した場合社長個人から貸付を行うという手段も一応あります。

2つ目についてですが、極端な例だと食費を切り詰めることによって役員報酬を下げることは可能ですが、それは長続きしません。
あとは、家賃を下げすぎて通勤にめっちゃ時間がかかっちゃうし疲労も取れないとかは本末転倒。
基本的に、スタートアップ企業は短くても数年は腰を据えて取り組んでいくことになるので、事業拡大だけでなく、心身の健康を保つ努力をすることも必要です。

以上2つの理由から、役員報酬は自分が必要だと思う金額に少し上乗せした程度がよいと考えています。

余談:僕の場合

僕は新卒として企業に1年勤めたあとにスタートアップ企業を立ち上げ、創業1年目は役員報酬を15万円/月に設定しました。
まぁ貯金もあるしお金もたいして使わないから余裕でしょ、と思っていたら前年にそこそこお高い給料をいただいていたこともあり、税金や保険料で大変なことになりました。
その結果、その年は学生時代のようにチョコスティックパンをしょっちゅう食べていました。
ということで、特に前年の収入が高かった方はその年に払わなくてはいけない税金等についても考慮した方がよいです。

社長の役員報酬を上げるデメリット

単純に会社のキャッシュが減るというのはもちろんですが、他のメンバーに支払う給与水準も上がりがち、というものがあります。
それぞれの方に適正な報酬を支払うべきという前提ではもちろんありますが、例えば社長の年収が300万と1,000万では、同じ500万の報酬でも受け取り手の印象は異なります。

特に、メンバーの方が給与や待遇に不満を抱えているにも関わらず、社長がSNSで贅沢三昧している写真や動画を載せたりするのは決定的に印象が悪いです。
ちなみに僕はそういったものをスタートアップの社長がSNSに載せるのは百害あって一利なしだよなと思ってます。

まとめ

上でも書きましたが、スタートアップとして第三者割当を行い資金調達を受けるのは、社長が贅沢するためではありません。
ご出資いただいた資金は、事業をより大きく、より早く成長させるためのものです。

しかし、そのために、役員報酬を上げることが自身の生活・心身を安定させ、事業成長のために最善であると考えるのであれば、それはその社長の判断なのでおおいに行えばよいと思っています。
そして、それを特に関係のない他者がどうこう言うのも筋違いだよな、と思っています。
なんにせよ、他社云々よりも良いサービス・組織を作っていくことが大事。

がんばります。

ITベンチャーに新卒入社後2012年創業 複数回エクイティ・デッドでの資金調達を行い各種事業を行う 2015年に既存事業譲渡と訪日旅行者向けWebメディア立ち上げを並行しつつ、 2016年にフジメディアホールディングスグループに数億円でバイアウト 2019年から福岡で2度目の創業