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冬の竹富島。なにもない日曜日の過ごし方

私たち家族は、沖縄の竹富島で暮らしている。

ある日曜日、不定休の夫がめずらしく休みだった。気づけば、家族がそろう何も予定のない休日は1ヶ月以上ぶりだ。

色々とやらなきゃならないことがありながら、その日はエネルギーが出なくて……午前中はぼーっとしたりウトウトしたりしていた。

すると、夫と子どもたちがお昼ご飯を作ってくれていた。チャーハン。とてもうれしい。んだけど、こういうときに罪悪感を抱くのはなぜだろう。素直に感謝したい。

午後になった。PCで遊べる小学生に人気のゲーム「マインクラフト」を友達とする約束をしていた長男と次男は家に残り、私と夫と末娘の3人で『カイジ浜』へ向かう。カイジ浜は竹富島の西側にある浜で、「星砂の浜」と呼ばれる場所。

自転車で向かい、緑のトンネルをくぐる。

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娘が大きな木にぶら下がるブランコに走っていく。「とっとー!強く押してーーー!!」 

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何度も夫に押すことを要求している。写真を見た人からは「南の島のハイジですね!」と言ってもらったけれど、このハイジは父使いが荒い……。

引いたところから見ると、大木の迫力に驚かされる。竹富島は、平たい土地で山も川もない。島の周りには防風林として木々がぐるっと植えられている。いつもなにげなく目にしているけれど、冬になると、南国といえど風が吹き荒れ、寒さを感じる日が増える。そんな風の強い日でも、木々の内側に入ると風がかなりやわらぐ。防風林の力を肌で感じることってなかなかない。

そんないつも守ってくれている木陰に腰をおろして、裸足になり、砂の上に脚を投げ出して本を開いた。ひんやりと砂の感覚が足に伝わって心地よく、足から悪いものが地面に吸い込まれていきそうに思える。

夫と娘は足を海につけて遊んでいる。


「かっかー!!見てー!!」


本から顔をあげると、、、、、

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海に浸かる我が子が……!!!

いくら南の島といえど、冬はそれなりに肌寒い。気温は25℃くらいあるものの、海風が強く島民たちは皆「肌寒いね」と長袖を着る時期だ。

そもそも着替えもタオルも持っていなく、自分の自転車でここまで来ていた娘。このまま帰宅するのは難しいだろうと判断し、私が一度家に着替えとタオルを取りに戻ることに。

往復15分ほどか。慌ててビーチに戻ると、上半身裸の夫と、夫のTシャツを着てぶるぶる身体を震わせている娘が浜辺にたたずんでいる。

周りに全く人がいない場所で身を寄せ合って座る2人は、まるで無人島に流れ着いた親子のようで、ツボにハマり笑いが止まらなくなる。いやいや、娘は本気で寒がっているんだった。まあ、自業自得なのだけど……。

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人口350人の島で暮らしはじめて3年目。今でも、島の中をのんびりとめぐると、空の色や海のグラデーションなど、自然の中にある色彩に目を見張る。

最終のフェリーは冬の間は17:50。この時間を過ぎると、島民と泊まっている人たちだけの静けさがおとずれる。

夕方に歩いていたら、人には会わないのに逃げている牛に会った。

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竹富島は、石垣島から高速フェリーで15分の場所にあって、離島のなかでは行きやすい場所だ。日帰りで来る人がほとんどなのだけど、ここの暮らしや最終フェリーが終わってからの景色を知ると、やっぱり泊まってみてほしいなと思う。

特に、冬の間の、夜の星空を見に来てほしい。

私も、つい日常の忙しさに流されてしまうことは多いけれど、いつまでいられるかわからないこの島での暮らしを、景色を、味わいたい。

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