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文学の落下点┊ novel

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創作小説
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#人間

透明な魔物

透明な魔物

_____僕は、魔物だ。

「自己への違和感」自分だけには厳しく生きた。傲慢で我儘な人間になるのが怖くて、自分をぼろぼろにしながら耐えた。

繊細に丁寧に優しく脆いなにかにこそ寄り添えるように生きてきた。でも、得をするのも輝くのも幸せそうな人も「貪欲に挑める人」。 誰かに振り回されたり後始末をする大変さにため息をついてきたのに変われだなんて今更だ。自分で作り上げた闇を今更照らせない。「暖炉の家より

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詩┊ 『白昼夢のりんご』

詩┊ 『白昼夢のりんご』

せんせい、こども、はと、さよなら。
りんごのあかさをわすれてしまいたい。

わたしは生きようと云った
深夜2時半、やっと鉛に溺れていたからだを起こす
海はわたしを溶かしていたのにちくちくする何かが心の臓を貫いた

やさしくなるためにがまんします
あらそいをたやすためにすべてをゆるします
いたみもちもどごうもなきじゃくるこのこえも

わすれたい

りんごが青くてもいいのに
わたしは赤くなきゃいけない

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