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切符にはイヤホンを

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毎日、誰かが何かを思って音楽を聞いている。そんな「何か」がイヤホンを切符にしてくれます。その切符で乗れる電車はいったいどこへ連れて行ってくれるのでしょうか。
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#二次創作小説

短篇小説「切符にはイヤホンを」

短篇小説「切符にはイヤホンを」

おそらく都会に住んでいる人からすると、この町は田舎なのだろう。つまり田舎に住んでいるのだから私は田舎者ということになる。そんな田舎者の私が都会に憧れるのは別に特別な話でもなんでもない。この町は海が見える。しかも内湾に位置してるから、海辺に行けば対岸の街も見える。あれが都会。高い建物が連なっていて、オレンジ色の光がふわっと灯っている。比べて私の町にあるものと言えば無駄なほどに煙を出す工場と寂れた漁港

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