見出し画像

教職に就くあなたへ

私が今回noteに綴る言葉は、私自身が紡いだ言葉ではありません。

教員採用試験に合格した時、小学校の時の恩師に向けて手紙を書きました。その返事として頂いた手紙に、綴られていた言葉です。

自分の胸の中に大切に置いておくことが一番なのかもしれませんが、その手紙を読んだ時、私一人の中に留めておくにはもったいないなぁと思ってしまいました。

どうしてこんなにも、心の隅々に染み渡るような言葉を贈ることができるのだろう

手紙を読んだ時の私の気持ちです。

言葉で誰かを救いたい

他の記事でもでも少し触れていますが、いつもいつも思っていることです。

私が受けた取った言葉を、そのまま綴ります。

これから教職に就く人、未来に向かって頑張っている人の、何か支えになれば幸いです。


前略

Y君、Y県公立学校教員採用試験合格おめでとう。がんばったね、なんて月並みな言葉では足りませんが、本当によくがんばったね。心からそう思います。そして、こんなに嬉しいお手紙をありがとう。

Y君の手紙を読んで、楽しかった二年間を再び思い出しました。私にとって、宝物のような時間でした。

〇〇小学校や、○○地区が大好きでした。そして、Y君やクラスのみんなと一緒に過ごした二年間は、一日一日が輝いていたと思います。教室に行くのが嬉しくて、授業はもちろん、行事も、休み時間も、みんなの日記やノートを読むのも、授業の準備をするのも楽しくてたまらなかったのを思い出します。

さて、4月からは同じ小学校教員になるY君。この場所に来てくれて、本当にありがとう。Y県の子どもたちを幸せにするために、どうか力をかしてください。私は今、△△小学校に勤めています。この職業について三十年以上たちました。好きで選んだ道です。けれども、楽しいこばかりではありませんんでした。苦しく、不安な日々を過ごしたこともありました。

でも、そんな時に支えになったのは、本を読むことでした。そして、友や同僚、家族と話すことでした。

教職に就くあなたに頼みがあるとすれば、どんなに忙しくても学ぶ心を持ち続けて欲しいということ、自分を満たす楽しみを手放さないで欲しいということ、それから、苦しい時は誰かに助けを求められる人になって欲しいということです。

何でも一人でできる人が強いのではありません。誰かに助けを求められる人が、本当に強いのだと私は思います。

学ぶことはいつでもどこでもできますが、私が主に学んだのは本からです。本を読むということは、時空を超えて別の人生を生きるということ。それは、ノンフィクションでもフィクションでも同じです。人はそれぞれ、自分の物語を生きています。辛いことがあっても、物語は逆境があるから面白いのだと、そう思って何とか切り抜けてきました。事実、辛いできごとは、後で考えてみると、自分を飛躍させるきっかけになるのです。凧も飛行機も、向かい風でこそ、高く飛ぶことができるのです。

あなたは、努力の大切さを知り、辛いことを乗り越える強さをすでに身につけています。しかし、これから出会うことの中には、どんなに頑張っても自分だけでは乗り越えられないことがあるかもしれません。自分は全く間違っていなくても、苦しい立場に立たされることがないとは限りません。

そんな時は、Y君の好きなことを追いかけてみてください。そして、誰かに助けを求めてください。私でよかったら、いつでも話をききますから。

同封したのは、おんの少しのお祝いの気持ちです。(図書カード)

あなたの好きに使ってください。どんな本でもあなたの栄養になるはずです。読書はとにかく楽しいもの、ぜひ、書店をうろうろして、今まで興味のなかったジャンルも手にとってみてください。思わぬ出会いがあるかもしれません。(蛇足ですが、お返しなんて、まったく考えなくていいですからね。)

では、残り少ない大学生活を十分楽しんで、来年の春、お会いしましょう。

その日を楽しみに、私も私の毎日を大切にして、がんばりたいとおもいます。

かしこ


晴れ渡る秋の高い空、遠く離れた場所にいる恩師の姿をひつじ雲に重ね、本屋へと車を走らせるのでした。

I先生ありがとう。いつか私も、先生のような人になりたいです。



最後まで読んで頂き、ありがとうございました。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?