わたしとすれ違う、すべての君たちへ


 君は男でも女でもいい。男が好きでも女が好きでもいい。君の話を聞こう。
 わたしを性的な対象として見てもいいし、見なくてもいい。最後の最後で手を出してもいいし、出さなくてもいい。どちらにせよ同じことだ。君の弱さをわたしは許そう。
 わたしを思い出さなくてもいいし、思い出してもいい。ネトストしてもいいし、ブロックしてもいい。忘れてもいい。できれば忘れてくれた方が気楽だし、連絡されると疲れるけど、別にいい。好きな時にわたしを勝手に思い出していい。
 君は幸福な人生を歩んでいい。結婚を選択してもいいし、事実婚でもいいだろうし、独身も悪くない。君は自由で、わたしとまったく異なる人生を歩んでも、わたしは君をちゃんと覚えてる。
 君は大企業でなりあがってもいいし、学生をしてもいいし、好きなことを仕事にしてもいいし、社畜になってもいいし、それも君の自由だ。社会的ステータスなんて結局何の意味もない。そんなものがなくてもわたしは君と話せる。
 わたしは、一歩ずつ人生を歩いていって、働いているし、結婚もしている。だから、少しずつ少しずつ君たちと離れてゆく。君たちと分かり合えないことが増えてくし、関係性によってはもう会うことはできない。でも君たちのことは、風の匂いとか、ふと読んだ言葉で思い出すし、それは別に無理して忘れることじゃないと思っている。
 君たちは孤独だろう。わたしと関係性をシェアするような人はみんな孤独だと思う。でも、君たちが人間として、感情を持ち、食欲や睡眠欲や性欲を持ち、尊重されることを祈っている。君たちはだれかの性対象だけの存在でもないし、だれかに働かされるだけの存在でもない。君たちは君たちだ。
 何が言いたいかというと、君たちがいろいろ抱えながらなんだかんだで生きてゆくことをわたしは願っているということ。無理して幸福になる必要もない。わたしはもう君たちにしてあげられることはとても少ないからこそ、こうして文を書いた。
 わたしとすれ違う、すべての君たちへ、君たちの未来は明るい。そして、いつかどこかでまた会える日を楽しみにしているよ。

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