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【乳がん闘病記】弱虫の強がり

※登場人物は全て仮名です。
※ノンフィクション


「あんたは強い子だね」

「ゆうみちゃんは強い子だから・・・」

強い子・・・ってなんだろう?

 

【 弱虫の強がり 】


◆エピローグ 弱虫の強がり◆


[2016年12月 当時29歳]


「ひまり?そろそろ行こー?」

朝食後家事とお着替えを済ませ、嬉しそうに走る娘を追いかけて公園に出かける。


私は ” ゆうみ “   当時29歳
パパと3歳の娘と暮らす普通の専業主婦
娘のひまりは入園前で、こうして一日一緒に入れる日もあと少しなんだと思うとその成長が寂しいような嬉しいような(笑)

入園と同時に私も仕事も始める予定で、入園準備と仕事探しに今は追われていた。

今日はこの時期にしては暖かいから公園Day

はしゃぎすぎて転んだ娘は案の定大泣きでその姿を見て苦笑いで抱き起す。

いつもとなにも変わらない平凡な一日だった。


そう、いつもと変わらない日だったはずなのに

そんな時間が一瞬で崩れるなんて誰も思ってもいなかった


そんな日の夜、いつも通りひまりと入浴していると私はある違和感に気付いた。


「ん?これなに?なんか出来てる・・・」
左胸の外側に2㎝程のしこりのようなものがあった。

一瞬にして浮かぶ “ 乳がん ” の文字。

その当時某芸能人の方が乳がんで闘病中だと度々ニュースで放送されていたのもあって一番に浮かんだ言葉が ” 乳がん ” だった

「いやいや、さすがに考えすぎ!」

と思いつついつまでも不安は消えなくて、安心材料を探すため私はネットで検索を始めた。

やっぱり胸にしこりがあると乳がんに関するページばかりで、それでも記事の最後に書いてある「大体の場合は陽性なものが多いです」というその一言をなんとか信じようと思った。

どっちにせよ病院に行かないといけないのはわかっていたけど「もし乳がんだったら」という不安が消えずに怖くてなかなか重い腰が上がらなかった。

そのまま年を越し、2017年

本格的に入園準備に追われた私はそのままズルズルと病院に行く日を後回しにしてしまっていた

気づけば時は3月。

全ての事が大体落ち着いてとりあえずゆっくり自分の事を考えてみた。

「私はいつまでうだうだしてるんだ。後回しにすればするだけ嫌な気持ちを引きずるのに・・・。

でも怖い。もし本当にがんだったら私はどうなるんだろう?

・・・末期だったら?

いや、悪性でも陽性でも病院に行って結果を聞いてすっきりしてこよう!
どれだけ後回しにしても行かなきゃいけない事に変わりはないんだから」

本当はこんな事後回しにするべきじゃないってわかってた。

ただ怖くて怖くて“このまましこりが消えてくれないかな”なんて甘いことを考えていたりした。

そんなことあるわけもないのに。

そんな弱虫な私は何とか自分を律していつもの ” 強がり ” を発揮した。

やっと病院に行く決心が固まった


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【第一章―1 私の事で泣かないで】


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