【読書】DX実行戦略
仕事をしていると”DX”という言葉を聞かない日はないんじゃないかというくらい、今多くの組織でテーマになっている。
読んだ感想としては、改めてこの本に書かれているのは経営戦略論の話ではないかという印象。
本質的に、企業は競争優位性を持たなければならない。
競争優位性は、どうやってつくるのか。
ポーターによると、戦略とはコストリーダーシップ戦略と差別化戦略、集中戦略の3通りであり、このいずれかを戦略としてとらないと企業は生き残れないと教えてくれている。
それはなぜか。
この3つの戦略でないと顧客価値が生まれないからだ。
では、顧客に提供される価値にはどのようなパターンがあるか。
この本ではそれを3つに分類していて、
1.コストバリュー
2.エクスペレイエンスバリュー
3.プラットフォームバリュー
であるとしている。
1は、価格が安いということによるメリット
2は、高いクオリティや、利便性など、顧客体験が優れていること
3は、そのサービスを利用する人が増えることで、その利便性が増す価値のこと
それで、この3つの価値のいずれか、あるいは組み合わせを顧客に届けることが企業の使命であるとして、それをどうやって実現するかというときに、今はほぼ欠かせない手段がデジタル技術であるという関係性で整理される。
顧客価値が先。デジタルはその目的のための手段ということを
忘れないようにするということは大切なことであると思う。
つまり、ビジネスモデルを改めて見直してみましょう。
その上で、そのビジネスモデルが実現する顧客価値は何かをこの3つの中で
改めて考えてみましょう。自社はどんな価値を提供するのか。そして、それにはデジタルをどう生かしていくのかが問われるということが述べられていると現時点で理解しました。
ところで、その事業戦略を実現するために、どんな組織戦略が求められる
のか、そこで働く人はどんなスキル、知識が必要になるのかということが
私が主に関心のある領域となる。
まず、テクノロジーファーストの会社というのは、文化が違う。今の時代の価値観をもって垂直に立ち上がった組織では引き継がれてきた旧態依然とした社風はなく変化の軋轢がない。それに対して長い歴史を持つエスタブリッシュメント企業にとっては、組織の暗黙のルール、上司部下間の関係性、意思決定のあり方など変革にはずいぶんと超えるべき障壁がある。
これまでのやり方をアンラーンするのはとても大変。この組織カルチャーの変革というのがなかなか難しくて視界不良な感じである。
次にスキルセットの転移。(自分も含め)中高年の方が最新のテクノロジーを学べるのか?仮に学んだとしても、若い人が学ぶことと比べてそれこそ価値を生めるほど習熟できるのかというのもかなり困難な問題。
両利きの経営のオライリー教授は、組織文化を変えるヒントは意識からではなく行動を変えること。行動が変われば文化が変わっていくと言っている。
であれば、まず始められるのは逆説的であるが、デジタルツールをとにかく
業務に入れてしまうことなのだろうか。楽天が英語を公用語にすると決めたり、パソナが淡路島に移転したりというのも、文化の変革にアプローチし、価値観の変化を促したように。
DXによって会社の文化はどう変えるべきか。この問いについてアンテナが立つ良書でした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?