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ポルトガル人サッカー監督ジョゼ・モウリーニョから学ぶ次世代リーダーシップ論

私とポルトガルの強い結び付き。すべての始まりはこの映像からでした。

ポルト監督時代の若きジョゼ・モウリーニョが、アレックス・ファーガソン率いるマンチェスター・ユナイテッドと戦った歴史的一戦。アウトサイダーであったポルトが勝ち越しゴールを決めた瞬間、ジョゼ・モウリーニョが我を忘れてタッチライン際を爆走したビクトリーラン。

このシーンをきっかけに、私は大学でポルトガル語を専攻し、彼が世界へ羽ばたく礎となったポルトという街に留学する人生を選択しました。

そして、そのような明確な意思を持っていたため、入学前から卒業論文のテーマは決めていました。それが本記事のタイトルでもある「激変の時代に求められるリーダーシップ -ポルトガル人サッカー監督ジョゼ・モウリーニョから学ぶ次世代リーダー論」です。

大学の卒業論文として書き上げたモウリーニョのリーダーシップ論。機会があればいつかは公開したいと密かに思い描いていました。そしてついに、卒業論文の執筆から数年の時を経て、然るべきタイミングが到来し、私に当時の卒業論文を公開する決意を固めさせたのです。

Amazon Primeがリリースした「All or Nothing Tottenham Hotspur」。このシリーズには、ジョゼ・モウリーニョが世界一の「フットボール監督」の枠を超えて、世界を代表する「リーダー」である所以が随所に垣間見えます。私が執筆した卒業論文の主旨は、世界のリーダーシップ学の権威が体系立てたリーダーシップ論と、ジョゼ・モウリーニョの言動や他者からの評価を照らし合わせ、彼がリーダーとしてなぜ優れているのかを解明し、誰もがリーダーになる第一歩を踏み出せるような示唆を導出したものです。本論文を見ていただければ、この「All or Nothing」も単なるヒューマンドラマではなく、読者の皆さんが日常生活や仕事においてリーダーシップを発揮する際の参考教材としても、役立てていただけるのではないかと考えています。

以下、本論文のあとがきを抜粋します。あとがきに記載した結論の背景や論展開、詳細説明などについて少しでも興味を持っていただけたのであれば、本記事の最下部に添付したPDFより論文全体をご覧いただければ幸いです。大学時代に執筆した当時の状態のままPDF化していますので(表紙を除く)、論展開や言葉遣い、細かなところだと図の表現や配色まで、あらゆる箇所に未熟さが散見されますが、当時の私の熱量が読者の皆様にそのまま伝わるようであれば大変喜ばしく思います。

「激変の時代に求められるリーダーシップ -ポルトガル人サッカー監督ジョゼ・モウリーニョから学ぶ次世代リーダー論」:あとがき

※なお、引用部分の出典はすべて添付PDFに記載しています​​。

ジョゼ・モウリーニョが、世界的なリーダーの象徴として称賛されるその実情を解剖すると、以上のような、激変の時代に求められる新世代のリーダーが持つべき共通行動特性が浮かび上がる。リーダーになろうと英断を下し、激変の海に飛び込んだ者にとって、リーダーシップ学の権威が唱えるコンピテンシーを念頭に置き、組織というリーダーシップの現場でそれらを実践していくことが、優れたリーダーへ通ずる唯一の航路である。

「モウリーニョになれ」ということではない。モウリーニョのリーダーシップ手法は、モウリーニョにしか実践できない。模倣したところで、それは二番煎じであり猿真似であり、凡庸なマネジャーである。ベニス教授はリーダーになる道のりを「自分を思う存分に表現する過程でリーダーになる」 と述べた。つまり、モウリーニョですら成り得ないその人物だけのリーダー像が必ず存在するということである。リーダーになる道のりは、言い換えれば、世界で唯一自分だけが発見できるリーダーシップ手法を見つける旅である。「〇〇リーダーシップ」――その空欄を埋める作業は、その人自身にあてがわれた特別な使命なのである。

モウリーニョはそれを理解している。だから彼は、世界でも有数なリーダーなのである。「バルサは美しいプレーをするが、私はマネをしない。なぜか?もちろん二番手にはなりたくないからだよ」 「私はスペシャルでありたいとは思わない。単にこれまでと同じジョゼ・モウリーニョという人間でありたいだけだ」 「よい指導者に師事することと、その人を真似ようとすることは違う。よい指導者のもとにつけば成長するための基礎ができる。しかしその人を真似たところで、手本よりもよくなることは絶対にない。常に自分自身のアイデンティティーをしっかり持っていることが必要だ」 。彼が残したこれらの名言には、リーダーになるための本質が表れている。モウリーニョになれということではない――。先ほどの言葉を補足するとすればこうだろう。モウリーニョになれということではない、自分自身になれということだ。
 
ベニス教授やコッター教授が断言したように、リーダーになるのに特別な才能は必要ない。掲げたビジョンに自信と誇りを持ち、数々の試練を乗り越え、自らの人生をその手で情熱的に開拓することができたとき、それはもうリーダーになったと言えよう。

リーダーの共通特性を獲得し、その基礎の上に独自のリーダーシップを築き、彩る。6つのメガトレンドが引き起こす、複雑性に富んだ激変の時代を生き抜くためには、全人類が「自分は宇宙にわずかでも影響を与えられる」と信じ抜き、自分だけに拓けたリーダーへの旅に勇気を持って踏み出すことが必要なのである。

「リーダーになることは、自分自身になることに等しい。リーダーになることは、それほどに単純で、それほどにやっかいだ」 ―ウォレン・ベニス

※本論文の解説はこちらより


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