Yutaro Kawashima
*デザインに関しては、フリーランスとして携わった仕事を主に掲載しております
Graphic Design|Typography|Member: Yutaro Kawashima・Kotaro Kawashima
小詩集としてまとめる予定の詩篇
何回かにわたり訪れ、 以前もこの街に来て 道がわからなくなり、 迷うのをふせぐ目印であるかのように斎場は立っていたと、あなたに話したことを、思い出したとしても、そんな街ではとにかく飯が食えるところを探せばいいと、あなたは言った。それをすればいいと、あなたは勧めた。 早緑は、どの季節にあってもさみどりと読むらしく、あなたはまた寒そうな恰好をして、わたしの前に現れる。 明日もこの場所に、 わたしは来れると思う。 わたしは長い手紙をもらったことがありません。 手紙なので、その
今がいくつになって、 叱られた手のひらは 恋慕の余りをくぐり抜け 相性の その全てと少しの間 休めたら 一日中 子供だった 子供の 中一日は おとこの太腿の、そのうえではひとづてに いちから寝過ごして 稚気の水溜まり いくじなし 恋人は泣いている
一度ならず日に結わえつけられてあるものは ひとえに思いつく 一子の姿がくすねられては夜と共にさわるとしたたかな 鏡の向きを 直したあと片膝の 傍らには読みさしの ひとみしりの似顔絵の栞がわたしがなおも くらすところの部屋がここにはあった
靴のさきにあたり転がりだした 梅の実といっしょに下っていく坂道の 十字路も過ぎて 星々よりも小さく なるまでと高く放り上げる そこ、そこ といって見失う 落書きのよわさ眼に映る 梅の実また落ちてくる 拾うこの手 梅の実つぶれている 兄のわたし 兄のような実 潰れて アスファルトに黒く染みだしている わたしの声で明日はなく 今にもこの場所に集うようにと 遅れてやってくる者が呼びかけている *個人詩誌「翌翌」(一号)より 発行日:2019年11月1日
立札を見つけ その樹木の名前を初めて知った 薄いみどり色の花をつけていた 御衣黄という、これも桜の一種だと そう書き記されていた 二人、一緒に知った けれどもどこか この樹木を介した廻り道 わたしのいくところ あなたのいくところ 何もわからない ふさがれた 両腕はしかし幹を包みこみ その日限りの道順を抱く
うつりこむ 空までは おそらくは かなしみは 少なく わたしに風の 癖は 水溜まりは明日 明日という日に 全く さし障り キングサリ 背後にあって 見に行っていた
思えばおしなべて あのひとを 模したわたしの物腰に 花も買われてわたしに花は いつしかそれは あまりに明るすぎ 跡形もなく 幸福に見合う