恋の終わる音⑥
またも振られた私は前のように遊ぶ気力もなくなっていた。
忘れるため、思い出さないため、傷つかないため、
目の前のことを頑張るしかなかった。
しかし、別れたことを周りに報告するのはなんて気まずいのだろう。
付き合いたての浮かれポンチな自分を殴ってやりたいほどだ。
もちろん周りからは、
「恋人とはどうなのよ。」
「どこまでシたの?」
とかをよく聞かれる。
まったく、デリカシーというものがないのかね君たちは。
とは言いつつも、
つい最近までは自分もまんざらでもなく答えていたではないか。
なんて自分の中でツッコミをいれながら、ひと呼吸。
『振られたので、別れました!』
と、こちらも明るく返すことで応戦する。
この時に毎回思うことがある。
心と身体が一致してないな。と
表情や声色では明るくても、心はまだ落ち込んだまま。
このギャップには毎度悩まされる。
無理してこのように周りに振舞ってきたせいで、
チャラいとレッテルが貼られることにもなった。
『こっちとしては、笑いたくて笑ってるわけじゃないのに。』
こんな経験を恋愛だけに限らず、したことが皆あるだろう。
心と身体のギャップを感じたことが。
その時の自分は本当に笑えているのか、心配になるときはないか?
心に嘘をついている自分に嫌気がさしてくるだろうか。
でも、私はそれでいいのだと思っている。
心理学でも、笑いながら悲しいことを考えることはできないとよく言う。
心に身体が嘘をつき続ければ、悲しいと思わせなければ、
味わった悲しみは、心と身体を繋ぐ糸になってくれるはずだと信じてる。
そうやって、人間は少しづつ大人になっていくのだろう。
自分がいい見本であるのさ。
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