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2020年5月の記事一覧

カント哲学で学んだ「批判」と「誹謗中傷」の違い

すでにご承知の方も少なくないと思うものの、私は大学の学部と大学院修士課程、そして研究生と合計7年にわたり、法政大学で哲学を学んできました。

自立した研究者になるための準備の段階で専門を哲学から政治学に変えて再び修士課程から学びなおしたのですから、哲学科と哲学専攻の学生としての私の出来栄えが心許ないということは推して知るべし、というところでしょう。

このような私ではあったものの、指導教員の牧野英

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「留学生と経済問題」で思い出されるいくつかのこと

私が大学で初めて留学生と交流したのは法政大学文学部1年生のときのことで、韓国から来た2人の男子学生と必修体育の時間が同じだったことがきっかけでした。

その後、法政大学大学院に進学し、2度目の修士課程の2年生であった2004年6月からは、当時法政大学国際交流センターが設けていた留学生向けのチューターとして、留学生の皆さんのレポートや課題、論文の添削や就職活動の相談などを行ったものです。

この間ご

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「7日間ブックカバーチャレンジ」を振り返る(3)

去る4月28日(火)から5月4日(月)まで、評論家の小林淳さんからのご指名で「7日間ブックカバーチャレンジ」に参加しました。

期間中、私は7日間で合計8冊を取り上げました。今回は、過去2回[1],[2]に続き、取り上げた本と寸評をご紹介します。

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(6)第6回目(2020年5月3日[日、祝])
「7日間ブックカバーチャレンジ」も第6日目を迎えました。

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『鬼滅の刃』の連載終了に際して思ったいくつかのこと

去る5月18日に発売された『週刊少年ジャンプ』の2020年第24号で、吾峠呼世晴さんの漫画『鬼滅の刃』の連載が終了しました。

大正時代という設定が作品の中で有効に活用されていないことや、物語が鬼殺隊と鬼との間の話に重心が置かれ、鬼と人間との関わりの描写が比較的単調であったことなどには、ある種の物足りなさを覚えたものです。

その一方で、2016年第11号に第1話が掲載された際に、日常の平穏な生活

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「7日間ブックカバーチャレンジ」を振り返る(2)

去る4月28日(火)から5月4日(月)まで、評論家の小林淳さんからのご指名で「7日間ブックカバーチャレンジ」に参加しました。

期間中、私は7日間で合計8冊を取り上げました。今回は、前回[1]に続き、取り上げた本と寸評をご紹介します。

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(4)第4回目(2020年5月1日[金])
「7日間ブックカバーチャレンジ」も第4日目となりました。

今回は中

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日本経済新聞の連載「疫病の文明論」が示した「文化と文明に対する理解の多様さ」

5月4日(月、祝)から5月13日(水)まで、日本経済新聞は7回にわたって「疫病の文明論」を掲載しました[1]-[7]。

7回の記事では、絵画、文学、建築、政治、演劇、歴史などの観点から疫病と人類の関わりが検討されており、いずれも興味深いものでした。

その一方で、「文明論」という表題にもかかわらず、各回の内容はむしろ「人類と疫病が文化にいかなる影響か」という側面が強いものでした。

こうした記事

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「7日間ブックカバーチャレンジ」を振り返る(1)

去る4月28日(火)から5月4日(月)まで、評論家の小林淳さんからのご指名で「7日間ブックカバーチャレンジ」に参加しました。

期間中、私は7日間で合計8冊を取り上げました。そこで、本欄では今回から3回に分けて、取り上げた本と寸評をご紹介します。

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(1)第1回目(2020年4月28日[火])
第1回目は、小林さんから「野球史研究家」としてご指名い

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「青山フィルハーモニー管弦楽団第35回定期演奏会」に寄せて

本日は、青山フィルハーモニー管弦楽団の第35回定期演奏会の開催予定日でした。

しかし、周知の通り、青フィルの第35回定期演奏会は新型コロナウイルス感染症の感染拡大による社会状況の悪化により、中止となりました[1]。

演奏会の中止に際しての私の所感は、すでに本欄でご紹介した通りです[2]。

ところで、今日は14時から第35回定期演奏会の曲を鑑賞しました。

曲目と音源は以下の通りでした。

(

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「メーデー100年」で思い出すいくつかのこと

今日5月1日はメーデーです。

日本では1920(大正9)年に大日本労働総同盟友愛会が上野公園の袴腰広場から神田に向かって行進したのが最初で、今年は「メーデー100年」に当たります。

この時の様子を報じる新聞には「暗雲風を捲く上野に振へる最初の #労働祭 」や「十五団体の絶叫」といった講談調の記事が掲載され[1]、当時の熱気が伝わって来るかのようです。

2001年以降、最大の労働組合である日本労

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