マガジンのカバー画像

評論

685
運営しているクリエイター

#MLB

大谷翔平選手の「50本塁打50盗塁」が象徴する野球の新たな段階

現地時間の9月19日(木)にローンデポ・パークで行われたマイアミ・マーリンズ対ロサンゼルス・ドジャースの試合において、大谷翔平選手が3本の本塁打と2つの盗塁を記録し、大リーグ史上初の年間50本塁打と50盗塁を達成しました。

大リーグにおいて真の長距離打者として認められるのは50本塁打です。

一方、年間に50個以上盗塁できる選手は、多くの場合において敏捷ではあっても、長打力に欠けると考えられてい

もっとみる

村上雅則氏の大リーグ昇格60周年を祝す

9月1日(日)、村上雅則さんが1964年9月1日(火)にシェイ・スタジアムで行われたサンフランシスコ・ジャイアンツ対ニューヨーク・メッツの試合にジャイアンツの一員として登板し、東洋人として初の大リーグ選手となってから60年を迎えました。

村上さんが日米の野球界の発展と相互交流に果たした役割については、今年1月1日(月)の朝日新聞朝刊の新年特集第4部6面に掲載された私の談話に基づく記事「「大谷時代

もっとみる

大学生選手への給与は大リーグにとってマイナス

去る6月4日(火)、日刊ゲンダイの2024年6月5日号23面に連載「メジャーリーグ通信」の第164回「大学生選手への給与は大リーグにとってマイナス」が掲載されました[1]。

今回は、先日全米大学体育協会や有力カンファレンスが決定した、大学が学生選手に給与を支払うことを認める方針が球界に与える長期的な影響について検討しています。

本文を一部加筆、修正した内容をご紹介しますので、ぜひご覧ください。

もっとみる

ピッチクロックは労使交渉の新たな争点になる

去る7月2日(火)、日刊ゲンダイの2024年7月3日号23面に連載「メジャーリーグ通信」の第166回「ピッチクロックは労使交渉の新たな争点になる」が掲載されました[1]。

今回は、大リーグにおいて昨年導入されたピッチクロックが投手に与える影響と今後の労使問題への波及について検討しています。

本文を一部加筆、修正した内容をご紹介しますので、ぜひご覧ください。

ピッチクロックは労使交渉の新たな争

もっとみる

大リーグのオールスター戦は野球そのものに対して大きな意義を持つ

現地時間の7月16日(火)、大リーグのオールスター戦が行われました。会場はテキサス・レンジャースの本拠地であるグローブライフ・フィールドでした。

今回の試合はナショナル・リーグ代表の大谷翔平選手(ロサンゼルス・ドジャース)が第2打席でオールスター戦としては自身初となる本塁打を放ち、史上初めてオールスター戦で勝利と本塁打をいずれも記録した選手となりました。

また、大谷選手の3点本塁打に対してアメ

もっとみる

今後の労使交渉を左右する大リーグ選手会副委員長の解任問題

去る4月23日(火)、日刊ゲンダイの2024年4月24日号23面に連載「メジャーリーグ通信」の第161回「今後の労使交渉を左右する大リーグ選手会副委員長の解任問題」が掲載されました[1]。

今回は、今年3月に起きた大リーグ選手会副委員長のブルース・マイヤー氏の解任問題が今後の労使交渉に与える影響を検討しています。

本文を一部加筆、修正した内容をご紹介しますので、ぜひご覧ください。

今後の労使

もっとみる

水原一平被告が罪を認めたことはいかなる意味を持つか

現地時間の6月4日(火)、大谷翔平選手の前通訳であった水原一平被告が米国カリフォルニア州サンタアナの連邦地方裁判所に出廷し、大谷選手の銀行口座から預金を盗んで不正に送金したとする銀行詐欺と取得した金銭の申告を行っていなかった脱税の2つの罪状について有罪を認めました[1]。

報道によれば、この2つの罪状は最長で懲役33年となります。

ただし、検察側は水原被告との司法取引に基づき減刑を要請すること

もっとみる

「黒人リーグと大リーグの記録の統合」はいかなる意味を持つか

去る5月29日(水)、大リーグ機構が黒人リーグの記録を反映した公式記録の改訂を行いました。

これにより、通算打率ではジョシュ・ギブソンが1位、オスカー・チャールストンが3位に、単年の防御率ではサッチェル・ペイジが歴代3位に、そして通算出塁率でバック・レナードが5位になるなど、投打の各部門で通算及び単年の記録が更新されました。

今回は大リーグ機構がアフリカ系アメリカ人を排除してきた過去の過ちを正

もっとみる

大谷翔平選手の「日本選手最多タイの通算175本塁打」の持つ意味は何か

現地時間の4月12日(金)、大リーグのロサンゼルス・ドジャースに在籍する大谷翔平選手が今季4号本塁打を放ち、大リーグでの通算本塁打数を175本として、松井秀喜さんが持つ日本選手の最多記録に並びました。

大谷翔平選手は、2021年7月4日に松井秀喜さんが2004年に記録した日本選手の年間最多本塁打31本に並びました。

その際に本欄が指摘したように、2005年から2020年までの16シーズンにわた

もっとみる

賭博をするのはダメでも対象になるのはOKの大リーグ

去る3月26日(火)、日刊ゲンダイの2024年3月27日号23面に連載「メジャーリーグ通信」の第159回「賭博をするのはダメでも対象になるのはOKの大リーグ」が掲載されました[1]。

今回は、大リーグにおける賭博との関わりを主に制度面から検討しています。

本文を一部加筆、修正した内容をご紹介しますので、ぜひご覧ください。

賭博をするのはダメでも対象になるのはOKの大リーグ
鈴村裕輔

大リー

もっとみる

「大リーグの韓国開幕戦」で考える大リーグの海外公式戦が持つ意味

明日から2日間、韓国の首都ソウルで大リーグのサンディエゴ・パドレス対ロサンゼルス・ドジャースが公式戦を行います。

韓国で大リーグの公式戦が行われるのは今回が初めてであり、アジアでは日本に次いで2番目の公式戦開催国となります。

今回の2試合は、パドレスにダルビッシュ有選手と松井裕樹選手が、ドジャースに大谷翔平選手と山本由伸選手が在籍しており、日本でも注目を集めています。

現在、大リーグ機構は大

もっとみる

オフシーズンも危険と隣り合わせの大リーガー

2023年11月28日(火)、日刊ゲンダイの2023年11月29日号27面に連載「メジャーリーグ通信」の第151回「オフシーズンも危険と隣り合わせの大リーガー」が掲載されました[1]。

今回は、大リーグにおけるフリーエージェント市場を中心とする年俸の高騰の背景を、球団の経営環境のあり方から分析しています。

本文を一部加筆、修正した内容をご紹介しますので、ぜひご覧ください。

オフシーズンも危険

もっとみる

年俸高騰の裏に経営環境の劇的な改善

去る11月14日(火)、日刊ゲンダイの2023年11月15日号23面に連載「メジャーリーグ通信」の第150回「年俸高騰の裏に経営環境の劇的な改善」が掲載されました[1]。

今回は、大リーグにおけるフリーエージェント市場を中心とする年俸の高騰の背景を、球団の経営環境のあり方から分析しています。

本文を一部加筆、修正した内容をご紹介しますので、ぜひご覧ください。

年俸高騰の裏に経営環境の劇的な改

もっとみる

米球界を悩ませるイスラエルとハマスの軍事衝突

去る10月31日(火)、日刊ゲンダイの2023年11月1日号27面に連載「メジャーリーグ通信」の第149回「米球界を悩ませるイスラエルとハマスの軍事衝突」が掲載されました[1]。

今回は、今年10月7日に起きた武装勢力ハマスによるイスラエルへの奇襲とその後の状況の推移が米球界に与える影響を検討しています。

本文を一部加筆、修正した内容をご紹介しますので、ぜひご覧ください。

米球界を悩ませるイ

もっとみる