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2023年7月の記事一覧

「大谷のトレード見送り」は大谷翔平選手とエンゼルスにどのような影響を与えるか

現地時間の7月26日(水)、大リーグのロサンゼルス・エンゼルスに所属する大谷翔平選手について、球団がトレードの候補から外したことが報じられました[1]。

エンゼルスは2014年にアメリカン・リーグ西地区1位になったのを最後にプレーオフに進出しておらず、今季も現時点で地区3位、ワイルド・カード争いでも6番目と劣勢に置かれています。

一方、大谷選手は打者としても投手としても現在の大リーグを代表する

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「ビッグモーター問題」はわれわれに何を教えるか

中古車販売大手のビッグモーターによる自動車保険金の不正請求問題は、創業者である兼重宏行社長の辞任や国土交通省による調査など、社会問題化しています。

「ワンマン社長」「オーナー経営者」による企業経営はしばしば迅速で大胆な意思決定を可能にする反面、しばしば所与の目的を達成するために法令よりも経営者の意向が優先されるという規範意識の低下を招きます。

今回の一件を経営の面から考えれば、「強すぎるリーダ

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吉村洋文氏の首相公選制への理解はいかなる意味を持つか

7月16日(日)、日本経済新聞に日本維新の会共同代表の吉村洋文氏の談話が掲載されました[1]。

国会議員の3割削減や大阪万博の推進など、党の主張を改めて訴えている点は、日本維新の会の共同代表として当然の姿と言えるでしょう。

また、日本維新の会がかねてから提唱している首相公選制にも言及し、もし首相公選制が導入されれば現在は目指していない首相の座に食指が動く可能性を示唆する点は、むしろ人柄の率直さ

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大リーグの第93回オールスター戦が持つ大きな意味

現地時間の7月11日(火)、大リーグの第93回オールスター戦が行われ、ナショナル・リーグが3対2でアメリカン・リーグに勝利しました。

MVPはコロラド・ロッキーズのエリアス・ディアス選手が受賞しました。また、日本人選手としては大谷翔平選手(ロサンゼルス・エンゼルス)が出場し、1打数無安打1四球でした。

今回のオールスター戦はシアトル・マリナーズの本拠地Tモバイルパークが会場となりました。

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安倍晋三氏の逝去から1年を経て考える「派閥の長としての安倍氏」の姿

去る7月8日(土)、安倍晋三元首相の逝去から1年が経ったことを受け、増上寺(東京都港区)において一周忌法要が営まれました[1]。

法要には安倍首相の夫人である安倍昭恵氏や岸田文雄首相、安倍派の国会議員などが参列したほか、一般献花にも多くの人たちが訪れました。

首相として日本の憲政史上最長の在任期間を記録し、退任後も現職の国会議員として活躍していた安倍氏が銃撃により逝去するとはだれにも予想できな

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安倍晋三元首相の没後1年に際して考える「目的と手段の関係」

明日、2022年7月8日(金)に安倍晋三元首相が銃撃され逝去してから1年が経ちます。

現職の国会議員が選挙期間中に殺害されるという出来事が、日本国内だけでなく国際社会に大きな影響を与えたことは周知の通りです。

一方、安倍元首相に対する凶行の背景に、安倍氏と旧統一教会との関係があったとされたことから、旧統一教会が選挙協力や資金提供といった点を通して日本の政界に一定の影響力を行使していることが明ら

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国会議員は政治家としての石橋湛山から何を学ぶべきか

今年6月、超党派の議員連盟「超党派石橋湛山研究会」が発足したとのことです[1]。

日本独自の外交を切り開こうとする国会議員らの模索の中で、今年3月に立憲民主党が発足させた「石橋湛山思想研究議員連盟」を発展的に解消し、超党派に衣替えしたのが「超党派石橋湛山研究会」です。

没後50年という節目を迎えた石橋を国会議員の皆さんが真剣に研究しようとするのは好ましい態度であり、今後の研究会の動向が注目され

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岸田政権による「首相経験者の国葬の実施への対応策」はいかなる意味を持つか

昨日、松野博一官房長官が記者会見を行い、首相経験者の国葬に関して実施の基準を明文化しない方針を示すとともに、この方針を閣議決定する予定がない旨を表明しました[1]。

確かに、就任時は傑出した首相と国民の評価を受けたものの汚職や醜聞によって早期の退陣を余儀なくされたり、政権を引きつだ際には鈍重と思われながら時が経つにつれて評価が高まる首相がいるなど、何らかの統一された基準を設けて首相経験者の功績を

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