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医療現場から"7つの島の聞き書きすと"へ。長谷川さんが目指す、理想のライフスタイルとは?

株式会社TABIPPOが主催しているオンラインスクール「POOLO JOB」。

そんなPOOLO JOBの第1期生である長谷川晶規(はせがわ あきのり)さんに、これまでの経歴や理想のライフスタイル、POOLO JOBに加入した理由などについてインタビューを実施しました。

【経歴】
大阪で生まれ育ち、医療系の大学に進学。その後訪問看護の仕事や3Dプリンターの営業を経験し、2022年6月から佐賀県の離島で地域起こし協力隊に着任。7つの島の"聞き書きすと"として活躍している。


Dr.コト−診療所の影響で、医療の道へ

ーまずはじめに、簡単に自己紹介をお願いします。
はじめまして。現在は佐賀県の離島に住んでいる、長谷川晶規(あきのり)と申します。皆さんからはよく、あっきーと呼ばれています。

生まれも育ちもずっと大阪で、最初の職場も大阪でした。その後、東京や江ノ島での生活を経て広島に渡り、今は佐賀県で地域おこし協力隊として働いています。

ー最初のお仕事は何をされていたんですか?
最初は、ドコモショップの販売員を3年ほどしていましたね。その後、一旦仕事を辞めて医療系の専門学校を卒業したのち、病院で働いていました!

ー病院で働きたいと思ったキッカケは何だったのでしょうか?

キッカケとしては、小学生のときに見たドラマの影響ですね(笑)。

『Dr.コトー診療所』というドラマを見て、病院で働いてみたいなあって思うようになったんですよ。看護師になるために専門学校へ進み、卒業後は大阪府内の病院で働きはじめました。昔からやりたい仕事だったので、充実感ややりがいを持って毎日一生懸命働いていましたね。


医療現場で感じた、ヒトの無力さ

ー病院では具体的にどんな業務をされていたんですか?
集中治療室という場所で救急車で運ばれてきた人の対応をしたり、診療室で病人を看護したりするのが主な業務でした。


看護の仕事をしているときに、人って、結局ちっぽけでなにもできないんだなあって感じる瞬間がありました。

ー人の無力さを感じるキッカケは、何だったんですか?
ある勤務中に、1晩で5人の死の瞬間に立ち会ったんですよね。5人のなかには、90代の人もいれば赤ちゃんもいました。勤務をしていると、人が亡くなる瞬間に立ち会うことはたくさんありますが、1晩で5人看取ったときに、人生で初めてなんともいえない喪失感に見舞われたんです。

なんというか、無力感のような感じですね。

あとは、自分の母親と同じくらいの年齢の女性が亡くなったときにも、同じく無力感に襲われました。その女性にも、自分と同い年くらいの娘さんがいたんですよ。

その女性は、仕事から帰宅してお風呂に入るとお湯が熱湯だったらしく、全身やけどを負って緊急搬送されてきました。人工呼吸器を付けたり、適切な薬を処方したりしてなんとか一時は容態がよくなったんです。

ときおり、娘さんの声にも反応したりしていたので安心していたのですが、翌日に容態が急変して亡くなってしまいました。

たまたま娘さんとそのお母様の年齢が、自分と自分の母親と近かったせいもあり、まるで自分ごとのように感じてしまって。昨日まで元気だった人が、あまりにも突然亡くなってしまう。人はいつ亡くなるか本当にわからないなあって、改めて認識させられた瞬間でしたね。


病院を辞めて、訪問看護の道へ

ー看護師は、どうして辞められたんですか?
病院っていうひとつの場所でずっと働くよりも、生きている間にもっといろいろな世界を見たいと思ったんですよね。たくさんの人を看取ってきて、自分もいつ死ぬか分からない。だったら、もっといろいろなことを経験したいし、もっといろんな世界を知りたいと思ったんです。

だから、病院を辞めてずっと住みたかった江ノ島の江ノ電エリアに引っ越して、そこから仕事も探し始めて。新しく、3Dプリンターの営業の仕事を経験したのち、ご縁をいただき広島県の大崎下島っていう場所で、訪問看護の仕事に就きました。

ーなるほど!いろいろな経験を経て、再び看護のお仕事に戻ったのですね。
そうですね。東京で働いているときに、「看護のない世界」というビジョンを掲げる一般社団法人の求人を見つけて。その団体が、ちょうど新しく訪問看護の部署を立ち上げるということで、責任者のポジションが空いていたんですよ。

訪問看護の仕事はもちろん、責任者のポジションとして裁量権を持って働けることに魅力を感じ、そこを選びました。加えて、病院で働いていた経験を活かせるかなと思ったのも理由のひとつです。

あとは単純に、海や山もある自然豊かな場所が大好きなんですよね。それで、勤務場所が大崎下島っていう離島で、そこに住みながら働けるのも決め手の1つでした。離島といっても、本島とは橋で繋がっているので完全な離島ではないんですけどね(笑)。

ー島暮らし、想像しただけでワクワクしますね。実際に働いてみて、どうでしたか?
働いてみて、看護ってその人の人生をお手伝いする仕事なんだなあと改めて感じましたね。
病院での看護は「治す」のに対して、訪問看護は「今後どうしていくかを一緒に考える」こと。

訪問看護は病院のように最新の医療機器が揃っているわけでもないし、そもそも本人や家族が完全な治療を望んでいるとも限らない。患者さんのご家族や本人の希望を聞き、それをお手伝いする仕事なので、病院内での看護とは似ているようで、実は結構違います。

ー島暮らしの生活はどうでしたか?
島での暮らしはやっぱり最高でしたね。
落ち着いた雰囲気で、時間がゆったりと流れているような感覚。落ち着いてる性格なので、自分に合っているなって思いました。

面白いなあって思うのは、島ごとにまったく雰囲気や文化が異なっていて、まるで別の国に来ているかのような感覚になれること。ずっと旅をしている感じなんですよね。

島で暮らしているうちに、だんだんと島暮らしが好きになっていきました。


"聞き書きすと"として佐賀県の地域おこし協力隊に就任。7つの離島の伝聞役へ

ー広島での訪問看護の経験を経て、佐賀県の地域おこし協力隊に就任されましたね。
訪問看護の責任者として働いていて、1年くらいたったタイミングで経営が黒字になりました。そこからさらに1年たったくらいのときに、自分のやるべきことはやったかなと感じたんですよね。そろそろ次のステップに進みたいなあって思って。

自分は島がとっても好きなので、島に住みながら働きたいなと思っていろいろと探していたところ、たまたま佐賀県の地域おこし協力隊の求人を見つけたんですよ。

調べたら離島で暮らしながら働けるとわかったので、自分に合っていると思ってすぐに応募しました(笑)。

ー地域おこし協力隊ではどんな活動をされているんですか?
主な業務は、佐賀県の離島の "聞き書きすと" として7つの離島を回りながら、島の文化や成り立ち、歴史などを聞いて、記録して、本として残していくというもの。

自分の他にもう1人、地域おこし協力隊のメンバーがいるので、2人で協力して本を作っています。

地方って、本当に今どんどん過疎化しているんです。佐賀県の離島も例外ではなく、島のほとんどが高齢者なので、ゆくゆくは島には人がいなくなる可能性があります。

島の人口が減っていくこと自体は仕方ない。自然な流れなので、せめて離島の独特な文化やできごとを記録して後世に伝えたいという県や島の想いがありました。


異色のキャリアを歩んできた長谷川さんの理想のライフスタイルとは?

ー話は変わりますが、今回POOLO JOBに参加した理由を教えて下さい。
実は今、業務とは別で、個人の活動で本を作っているんです。もっと多くの人に島を身近に感じて欲しくて、島での暮らしや、島に住む人のことををまとめた『島と僕』という冊子です。

出版会社を通さず、企画や構成から取材、執筆、デザインまですべて自分で自費でやっていています。

POOLO JOBへは、本を作成するにあたって取材力や取材に活かせる写真撮影なども学べると思って、参加を決めました。

POOLO JOBの講義には、現在出版業界やWebメディアの第一線でご活躍されている豪華な講師陣がいて、書いた記事を添削してくれるんですよね。それだけじゃなくて、インタビューをする際のノウハウとかテクニックとか、SNSの使い方とかも学べるそうで。

本業の地域おこし協力隊の活動はもちろん、『島と僕』の制作にも活かせそうだなと思ってPOOLO JOBへの参加を決めました。

あと実は、出版業界にもちょっと興味があるんですよ。本作りの活動が、なにか今後につながればいいなあって思ったりもしてますね。

ーなるほど!最後に、長谷川さんの理想のライフスタイルについてお伺いしたいです。
自分の住みたい場所でずっと生活し続けたいですね。それが佐賀県なのか、他の場所なのかはまだ決めていないですが。

ただ、島が大好きなので、どこかの島には住んでいると思います(笑)。島に住みながら、その地域に暮らしている人と深く関わって生きていけたら、それだけで幸せかな、って思っています。結局、地域のコミュニティが大好きなんですよ。

あとは、将来はどこに住むのかまだ決まっていないからこそ、どこでも働ける、オンラインのスキルもPOOLO JOBで身に付けておきたいですね。

ー本日は取材ありがとうございました。

【長谷川晶規さん SNS】
Twitter:https://twitter.com/Shimatoboku
Instagram:https://www.instagram.com/shimatoboku/
note:https://note.com/shimatoboku

【島と僕】


取材・執筆:廣田悠介


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