見出し画像

ほろ酔い本屋部のススメ

お酒を飲み、酔うことで、世界の解像度が高くなり、景色のコントラストがはっきりして気持ちが晴れやかになり、全ての不安が雲散霧消することは周知の事実ですが、その「酔い」の状態でぜひ試していただきたいのが「本屋に行くこと」です。

本屋大賞という文字に弱い


不思議なもので、酔って少し気持ちが大きくなると、自然と財布の紐も緩くなり電子マネーのバーコードも無意識に表示してしまうもの。
ついつい、普段買わない本を買ってしまっていました。

そこで思ったのですが、ぜひ普段本を読む方も読まない方も、本屋に行ってみてもらいたいんです。ほろ酔いで。そして本を買ってみてください。

きっと思いがけない出会いがあるはずです。
私はこの、ほろ酔いで本屋に行くことを「ほろ酔い本屋部」と命名します。きっと流行ります。一大ムーブメントになります。



ほろ酔いで本屋、とは

私はよくほろ酔いで本屋に行きます。
仕事が終わり、退勤後に通勤途中のとある駅で下車。
夕食も含めサクッと一人で飲みに。定番は日高屋。大体1人席は空いてるので。
短時間で夕食に合わせてビールを2-3杯。インスタントほろ酔いシステムです。

日高屋のビール

食事をすませて、店の外に出れば、夜空は暗く、気分は明るく。
そんなほろ酔いの状態で、本屋に向かうのです。2次会本屋。
一応書いておきますが、泥酔はダメです。万が一にも本屋に迷惑をかけそうな酔いを感じたら、やめてくださいね。
あくまでほろ酔い。いい気分になったときに本屋へ。
するとどうでしょう。それぞれの本が光り輝いていて、どれも本当に魅力的に見えるのです。

著者サイン本って買っちゃいますよね

普段、本屋に行くときって、当然ながら素面です。酔っぱらっていません。
言い換えると、冷静な判断が出来るわけです。
冷静な判断が出来るということは、本を買うという行為に対して、「本当に自分に必要か? 読み切れるか? お金を払う価値があるか?」と考え、そしてその基準に満たなそうな本は、手には取ってもレジまで持ってはいかない、そんな別れとなってしまいます。

でも、そうじゃないんです。人間関係もそうだと思いますが、第一印象で合わないかもと思った人が、なんとなく付き合いを続けていく度にどんどん気が合うこともあります。一方で、出会いは良くてもその人を良く知っていくたび、徐々に距離を置く場合もあります。

本もこれと一緒だと思うんですよね。
どれだけ楽しみにしていた本、自分の好みに絶対合うと思っていても、結局最後まで読まなかったり、期待外れだったり。まるで人間関係……ですが、ただ、ここで人間関係と違うことがひとつ。

本を読むことというのは、人との出会いに比べて、偶発性がとても少ないと思うんです。
学校や職場において、偶然同じ環境になったからコミュニケーションを取る人、または取らざるを得ない人。これはもう、地域や職業など大きなくくりの中で、ランダムに選ばれた人たちです。自分1人の意思では選びようがないものです。

一方で、本はどうでしょうか。
ほとんどの場合、本って本屋やAmazonなんかで買わない限り、手元に来ないですよね。自分が選んで、自分が購入しないと、会うことが出来ない。偶然はほとんどないんです。自分自身の判断が全てなんです。
だからこそ、自分自身の興味や趣味嗜好から外れている本は、いつまで経っても自分の手元には来ません。すぐそこにあるのに、永遠に出会えないんです。

あと、お金持ちの人でも無ければ、興味がある本をバンバン買うなんてできないじゃないですか。文庫本ならまだしも、新作単行本、文芸書なんかは1,500-2,500円くらいしますよね。好きな作家だとか、絶対面白いことがわかっているならまだしも、「なんとなく興味がある」くらいの本が2,500円するとしたら、ちょっと「ウッ…」となるというか、購入のハードルが高くなるものです。

でも、そこで役に立つのが「酔い」の力。
酔って気が大きくなって、「嫌われちゃうかな」という気持ちを無視して普段話しかけにくい人に話しかけるように、「つまらないかもな」「お金の無駄になっちゃうかもな」という気持ちを無視して、普段手に取らない本を手に取る。リスク無視の行動が出来る。

そしてその結果、(たまに失敗はあっても)新たな出会い、それこそかけがえのない出会いに繋がる。
ほろ酔いじゃないと出来ないこともあると思うんです。

おそらく博多駅付近の海鮮居酒屋のビール
おそらく三田製麵所のビール

大げさじゃなく、本1冊で人生が変わること、あります。私もそうでした。
自己紹介記事で書いた通り、私は新卒で医療/福祉系の仕事に就いています。高校生の頃に読んだ、乃南アサ先生の『ドラマチック・チルドレン』を読んだことが、強く影響しています。
それこそ、たまたま高校1年生のとき、読書感想文のために読んだ、デイヴィッド・ベニオフ著『25時』を読んでいなければ、小説を好きになることもなかったかもしれません。
結構人生変わってます。


大人になると忙しくて、本を読む暇や気持ちの余裕がなくなるかもしれません。お金や家族や将来といった現実的なことで、頭かいっぱいになることも多いです。

でも、だからこそ、酔いの力を借りてでも、本屋に行って、普段は買わない本を買う。最悪、ちょっと合わなくて読まないかもしれません。でもそれでもいいんです。そこには、「自分にはこの本は合わなかった」という経験ができるからです。

そして、何より酔いという力で「偶然」手に取って購入した本が、その後の人生を変えるような本だったら、こんなに幸せなことは無いと思うんです。

ぜひ一度ほろ酔いで本屋に行ってみてください。
きっとその虜になると思いますし、きっと素面では出会えなかった本に出会えると思います。

東京赤坂 やぶそばのビール



おまけ:ほろ酔いルーティン

私の日高屋ルーティンとしては、ビール+定食かラーメン(+おつまみ)を注文するのが定番です。

料理より先にビールが来るので喉を潤します。おつまみを頼んでおくのもいいですね。私は明太ポテサラ(180円)や餃子3個(150円)を頼むことが多いです。財布に優しい。
ラーメンや定食は好みのもので良いと思いますが、辛味があるとお酒が進むのでベターです。
私の理想的には、食前1杯+食事が届いてから2杯の合計3杯飲むとかなりいい気分です。でもまあ2杯が多いですね。
そして1人なので飲むペースが早いです。なんだかんだお店の滞在時間は30分くらい、その中で2-3杯を飲むとやはり酔ってきます。
で、お会計。例えば770円の定食にビール340円×1杯なので、2杯飲んでも1,500円未満。この物価高の時代に本当にありがたい。私はグラス(ジョッキ)派なのですが、さらにコスパを求めるなら中瓶でもいいかもしれませんね。
ちなみになぜ日高屋が多いかというと、仕事終わりに行くとビールを出されるときにたまに「お疲れさまでした~」と言ってくれるからです。これが嬉しい。

その他、鳥貴族でもインスタントほろ酔いを行うことも。
やはりメガシリーズのコスパは凄いですね。いつもメガ金麦にはお世話になっています。
メガ金麦+軟骨の唐揚げ+タコわさが開幕ルーティン。その後は適当ですがとりあえずもう1杯メガ系のお酒を頼みます。もうそれで十分、ほろ酔いになれます。

チェーン店以外も開拓したいところですが、コスパの面を考えるとどうしてもこういうお店に行きがち。ビール1杯600円とかしちゃうと、本を買うお金が無くなってしまうので……。

あとは、家から本屋が近い人は自宅で飲んでから本屋に行くのもいいですね。私が住んでいる場所の近くには本屋が無いため仕事終わりに買いに行っていますが、より安くするためにはベストです。

とにかく、酔える人は自分のお酒の強さに応じてほろ酔いになる、ベストなルーティンで行きましょう。そして何より、主役は本屋。迷惑をかけないよう、楽しんで本と出会いましょう。
お酒が苦手な方はぜひ、何か自分の気持ちが明るくなるご褒美ルーティンのあとに本屋に行くと、似た気分になれるのかなと思います。

さあ、酒、飲みましょう!
そして、本、買いましょう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?