食レポ｜伯爵邸
無数の酒瓶。洋風の装飾物。夜の気配が立ち込める店内。そこには外界から一筋の光が差し込み、静かな活気が空気を震わせる。
大宮駅から歩いて五分の場所に「伯爵邸」は軒を構える。テレビのドキュメンタリーで眼にした世界がそこにある。迷宮。隠れ家。秘密基地。そんな言葉を連想させる。雑多ではあるが、着飾らない雰囲気は懐かしさと落ち着きを僕に与えてくれる。
「伯爵邸」の「元祖大宮ナポリタン」は唯一無二だ。一般的なナポリタンは「浅瀬」であり、「伯爵邸」のそれは「深海」のようだ。深みのある味わいが口に広がる。山のように盛られたパスタを一心不乱にフォークに絡めた。甘さとコクのバランス。奇妙な舞台で食べる、絶妙なナポリタン。印象深い一品だ。
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