わたしとカメラ 2
思い出話、「わたしとカメラ 1」の続きになります。
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当時カメラのことはさっぱりだったので、そのカフェに全てを持ち込んで。趣味でやりこんでいるという男性に、どれを使うのが良いのか選んでもらったのだけれど。一通り手に取った後、彼が選び取ったのはオリンパスのPEN-FTだった。
「これは良いカメラだよ」
その瞬間から、祖父のカメラはわたしの愛機になった。
軽く説明を加えるならば、PEN-FTというのは少し変わったカメラだ。世界初のハーフ判一眼レフPEN-Fの後継機で、通常は横長でフィルムに記録されていく写真を縦型にすることによって倍の量の撮影が出来る…という特徴を持つ。
さらにファインダーも縦型なので、そこから覗いて見える世界は独特だった。
このカメラに出会ってから、世界の見方がどこか変わったように思う。己の目だけではなく、ファインダーを通して見える世界というものに触れたのは大きな刺激だった。また絞りとシャッタースピードというもので、自分の手で世界を再構築できるという点に魅了された。
わたしの選んだ世界、わたしの心に映る世界、わたしの気持ちを乗せた世界。
言葉以外でそれが表現できる、というのは新しいドアを開けて知らない世界に踏み出すようで。ワクワクした、楽しかった、全てが新鮮だった。
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