写真の話、イルミネーションと子供
昨年は何度か"ひろしまドリミネーション"と呼ばれる、平和大通りで行われているイルミネーションでの撮影機会があった。
しかし実はイルミネーションと人、どちらも綺麗に撮るのはなかなか難しい。
写真を撮らない人は「目ではこれだけ見えているんだから、撮るのもできるのでは?」と考えるようだけれども、そんなことは全くない。人間の目は超高性能!高機能!機械であるカメラとは比べものにならないくらいにハイスペックだということを知って欲しい。「見たままに撮る」というのは、実はわりと難しいことなのだ。
まずイルミネーションをバックにすると、普通は逆光状態になって人の顔は暗くつぶれてしまう。付近の電飾が明るくとも、それは人の顔に届く程ではない。
また「動いている子供を」となるとさらに難しい。暗い場所で動き回られるとピント合わせもシビアな上に。シャッタースピードの適正値も、動く子供に対するものとイルミネーションを美しく写すものでは差があるし。そもそも夜の野外のような暗い場所では、動き回る子供をブレずに撮るだけのシャッタースピードを稼ぐのが大変だ。
解決策は光源を柔らかくした外部ストロボで、子供を照らしながら撮ることなのだろうけれど…
「自然光でのナチュラルな空気感での撮影を」がコンセプトな上に、腕力がなく機動性を確保したいのでストロボなどの機材は導入していない。それどころかメインカメラは5Dを使用しているので内蔵フラッシュさえ付いていない状態だ。
この装備で!ちょろちょろと!動き回る!子供を撮るのか!!!
しかも失敗の出来ない、仕事として…
と考えたら、なんだか逆にちょっとワクワクしてきた。
もちろん、できると思っているからワクワクする余裕があるのだ。条件としては万全ではないけれど、要は顔にも光が当たる場所を探せば良いだけだからだ。さらに自分の場合はrawで撮っているので、現像時の補正も多少はアテにできる。
それをふまえてロケハンしておいた場所で撮った写真の一部が、こちら。
顔の明るさも確保つつイルミネーションらしい背景になる位置を探したので、ノーストロボでもそれなりに見られる写真になっていると思う。
また「暗いけど、ここでどうしても!」という場合は、今の時代はスマホの懐中電灯という強い味方がある。これを手持ちのストロボ代わりに使えば良い。(大の乗り物好きだそうで「市電が見たい!」と、彼は灯りのほとんど無いここでしばらく踏ん張ったのだ。かわいい。)
ちなみに、この写真から撮る側の必死さは伝わらないだろうけれど…
これは背景が入るギリギリまで近づき、左手でスマホレンズ・右手で2kgオーバーのカメラを構え、さらにはブレないようにそれを膝で何とか支えている。男性なら楽々なのかもしれないが、筋肉には縁がない腕はプルプルしていた。
体勢も子供よりも低い位置でキープしているから、本当にわりと必死だ。
* * *
こんな風に重量級のカメラを振り回しつつも。ちびっ子とお喋りしながら手を繋いで歩いたり、おねだりされるままに遊んだり、隙あらば走り出すのを追いかけたり。そうしながらの撮影は、帰り道にはすでに太腿が筋肉痛の気配がするくらいには動き回っている。
子供相手の撮影というのは、結構な体力勝負だ。それにこちらの指示通り、思い通りになんて動いてくれない。
だけれども、なんでこんなに楽しいんだろう?
一緒に遊びまわったお兄ちゃんに、撮影が終わってさようならの挨拶をしたら…一気にテンションの下がったしょんもり顔でフリーズされた。この時ばかりは、楽しいよりも胸の痛みが勝る。
さようなら、つかの間の小さなお友達。またいつか、どこかで。
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今回は仕事で写真を撮る時の話をしてみました。日常ではこんなちびっ子と遊ぶこともないので、ニコニコと甘えられるとなんだか嬉しくなりますね。
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