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自然の川の流れは楽しさいっぱい♬【ジオ散歩vol.2:鎌倉市No.1-4】

「市街地を実際に散歩しながら地形・地質を楽しむ」シリーズ、ジオ散歩。
前回は鎌倉市の「朝夷奈切通」を目指し、バスに乗って太刀洗川までやってきました。

砂利道にさしかかる

十二所神社でバスを降り、住宅地を東へ進むと途中から砂利道になります。

十二所神社ー朝夷奈切通ルート:スーパー地形の図に筆者加筆

上図の一番右側の矢印のあたりから道が砂利道になります。

鎌倉市の風景:筆者撮影

ちなみに、この写真の左は個人宅へ向かう道路なのですが・・・

鎌倉市の風景:筆者撮影

左方向を見てみると、なんと高さ10mはありそうな大きな崖が!
(※上図の赤線で囲った範囲)

鎌倉市の風景:筆者撮影

おそらく私道だろうと思ったので立ち入らずにズームで撮影しました。
平行な葉理や層理が発達しており、おそらくタービダイトでしょう。
※タービダイトについては以下記事を参照。


自然の河川は面白い

これまでも滑川(なめりがわ)や太刀洗川(たちあらいがわ)の写真をお見せしてきましたが、護岸で覆われたりと人工的でした。
しかし砂利道にさしかかったあたりから、自然な河川で岩盤むき出しで、私にとって俄然、楽しい感じになってきました!

太刀洗川上流部①:筆者撮影

これ、面白いと思いませんか?
主要部分だけ切り取って拡大してみます。

太刀洗川上流部①拡大:筆者撮影

水は右から流れ込み、小段になっている平坦な面を流れ下って、ちょっとした滝になっています。小段の平坦面では水が回り込んで奥の方へも少し流れています。平坦な面に沿って侵食が進み、奥が凹んでいるのが見えるでしょうか?

太刀洗川上流部①拡大:筆者撮影写真に一部加筆

赤点線で囲った範囲が小段の平坦面です。上流から小さな滝になって水が流れ込み(右の青矢印)、小段から出るところでまた小さい滝になって、下の段へ流れ下っています。
この小段は薄黄色で囲った陰になっている部分を見ると、侵食されて凹んでいるのが分かります。
そういう目で見ると、下の段も陰になって奥が凹んでおり、同じように侵食されたのだろうと考えられますよね。

この小段は層理面を起源とする面で、軟らかく侵食されやすい泥岩の面で凹みができ、雨で増水するたびに侵食が進んだのでしょう。

右手の上流部の方へ回り込んでみます。

太刀洗川上流部②:筆者撮影

ここから見ると、小段には滝壺のような丸い穴ができており、その穴に葉っぱ付きの枝がはまり込んでいます。
でも不思議じゃないですか?
滝と言うにはあまりにも小さな段差の割に、大きな穴ですよね。

これはおそらくポットホール(日本語では甌穴:おうけつ)ではないか?と思います。
ポットホールとは河床にできた凹みに石が入り込み、水の作用で石が凹みの中で動くことで、凹みが削られて拡大し、丸い穴になったもののことです。

なぜそう思うかと言いますと・・最初の写真に戻ってみましょう。

太刀洗川上流部①拡大:筆者撮影写真に一部加筆

黄色点線で囲った箇所に、丸い石があるんですよね。
おそらく、雨で増水したときにでも、穴からはじき出されたのではないでしょうか?全くの推測ですが、この丸い石はコンクリ-ション(またはノジュール)なのかもしれません。
コンクリ-ションとは生物のカルシウム分等が周囲の地層に染み出し、硬くなったもののことです(※詳細は以下過去記事をどうぞ)。

ここの地層は海の地層ですので貝などの化石が入っていても不思議ではないですし、であればコンクリ-ションもあって不思議ではない。
これが滝壺の凹みを削り、ポットホールをつくったのかな?と思います。
もちろん断定はできませんが。

そしてもう1度、ポットホールらしき穴の写真を見ていただきたいのですが

太刀洗川上流部②:筆者撮影写真に一部加筆

写真右の赤点線に注目です。
小段に流れ込む水、実は狭い範囲に集中して流れているんです。
これこそが、滝壺の凹みをつくり、ポットホールをつくった主原因だと思います。なぜこうなったのか?これにも地質的なヒミツがありました。

それについては、また次回に!
お読みいただき、ありがとうございました。


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