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バレンタインにお届けします【地質番外編vol.12】

この日にソワソワしなくなってから、いったい何10年経ったのか?などと思っていたら、twitterで何ともドキリとする画像を見かけました!
おじさんですが、皆さんへバレンタインのプレゼントをお届けします♬

モキモキ?

ふと何気なくtwitterを見ると、何ともまぁ美味しそうな、でもなぜか地質魂を掻き立てられる画像を発見!

美味しそうと思ったのは一瞬だけで、すぐに「これって岩石じゃないのかな?」と感じました。モキマーブルという名前らしい。

検索してみると、やはり岩石でした。
鉄コンクリ-ションと呼ばれる現象でつくられたのだとか。
「地質の専門家」と言っておきながら、初耳でした(;^_^A

ちなみにトップ画像は名古屋市科学館のホームページより引用させていただきました。


コンクリ-ションって?

そもそも鉄コンクリ-ションは地球上でも限られた場所にしかなく、どうやってできるのか?も謎だったようです。

でもですね、単なるコンクリ-ションなら分かるんです。日本でも頻繁に見られるものです。
地層中の成分と海水や地下水の成分が反応して方解石(炭酸カルシウム:CaCO3)という鉱物ができて、硬くて球状の物体がつくられます。これが地質学で一般的に言われるコンクリ-ションです。

ちなみに貝殻などにも炭酸カルシウムが入っていたりするので、その成分が周囲に溶けだしたりして、できる場合もあります。

コンクリ-ション01

海底に沈む貝殻。

コンクリ-ション02

いつしか泥に埋もれて・・・

コンクリ-ション03

長い年月の間に周囲の泥は泥岩(でいがん)となり、貝殻は化石になり、周囲は球状の硬い泥岩になります。

日本でも、たまに泥岩の中に硬い球状の泥岩がポコポコと埋まっているように見える場合があります。
そしてその球体を割ると、中に化石が入っていることがあるんです。

大学生の頃に行った北海道のとある渓流には、あちこちに直径1~2mほどの球体がポコポコしていて、とても幻想的な光景でした。
「割ると中にアンモナイトが入ってるぞ」と先生に言われ、張り切ってハンマーでぶっ叩きましたが、硬すぎて歯が立ちませんでした(;^_^A
写真あるハズなので、今度、探してみますね。


日本人が解明!

そして何と、鉄コンクリ-ションの成因を解明したのは日本人でした!

①:炭酸カルシウム由来のコンクリ-ションができた後、いったん地下水がなくなり、その後に酸性の地下水が流れてくる。
②:その酸性の水にはが溶けこんでいる。
③:酸性の水とコンクリ-ション表面の炭酸カルシウムとが化学反応を起こして、鉄が結晶化して、鉄の薄い皮ができる。
④:長い年月の間に酸性の水と炭酸カルシウムの化学反応が続いて鉄の皮が分厚くなり、鉄コンクリ-ションができる。

鉄コンクリ-ションメカニズム

名古屋大学プレスリリースより


お隣の惑星にも??

そして話はここでは終わりません。これを見てください。

鉄コンクリ-ション01

名古屋大学プレスリリースより

何と!火星にも鉄コンクリ-ションが見つかったのです!!
上の写真の左が地球(アメリカのユタ州)、右が火星です。

と言うことは、やはり太古の火星には水があったということになりそうです。残念ながらコンクリ-ションは生物がなくてもできるので、火星の生命を証明することにはなりません。
でもコンクリ-ションを割ってみたら、もしかしたら化石が入っているかも?という望みはあるかも知れませんね。

今後の研究の進展が期待されます!
お読みいただき、ありがとうございました。


参考文献

吉田 英一、長谷川 精、勝田 長貴、丸山 一平、城野 信一、南 雅代、淺原 良浩、山口 靖、西本昌司、ニーデン・イチノロフ、リチャード・メトカルフェ(2018)Fe-oxide concretions formed by interacting carbonate and acidic waters on Earth and Mars. Science Advances 2018;4:eaau0872.

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