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巨大地すべり×ダム=大惨事?!:仙台市泉区七北田ダム周辺地域part1【御当地ハザードマップvol.1】

とある地域ハザードマップを掘り下げていこう!というシリーズの第1弾です!!

始めにお断りしておきます

災害は様々な条件が重なって起こります。
ハザードマップはこれまでの知見や地形・地質の調査結果などにもとづいて作成されています。
そしてこのシリーズでは、そのハザードマップから読み取れる事項に、既存の地形・地質情報を加え、筆者が最悪の事態を想定したものです。

ですので、ここで取り上げた地域が、特別危険な地域ということではありません。そもそも日本はどこでも災害が起こり得るような国土なのですから。


ここで取り上げる地域は?

前回もチラッとお話しした、宮城県仙台市泉区の某所。
七北田ダム周辺の地域になります。

仙台市ハザードマップ_泉区①北
仙台市ハザードマップ:泉区①より抜粋

これが、もしかしたら巨大地すべりでは??と、疑惑が生じたのが、この記事の発端です。


スーパー地形で確認してみる

ではスーパー地形で地形図を見てみましょう。なんか久しぶりな感じ(笑)

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スーパー地形(カシミール3D)より抜粋。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。

もう少しアップにしてみましょう。

画像3

この時点でも地すべり地形が見えます。真ん中あたりです
さらに近づきます。

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画像5

北東にある大きな水溜まりが七北田(ななきた)ダムです。
地すべりはその南岸に接しています。かなりハッキリした地すべり地形ですが、見えるでしょうか?

図示してみましょう。

地すべり図示

大きいです。長さは2km超、幅1.5km超とかなり巨大です。
頭部の滑落崖(かつらくがい)(※地すべりの上部にできる崖)も非常に明瞭に見られます(南西側に見えます)。
陥没地形もハッキリしていて、水溜まりも見えます。
分離小丘(地すべりが動いてできる離れ山)もいくつも見えます。

地すべり図示_陥没など

こんな感じです。
青点線が陥没地形で、赤点線が分離小丘。
陥没地形の幅などから、過去に200~500mくらいは動いたかもしれません。

地すべり地形分布図
防災科学技術研究所 J・SHIS Mapより

ハザードマップに描いてあるのですから当然と言えば当然ですが、地すべり地形分布図にも図示されていました。


どんな地すべりか?

問題は、今動いているのかどうか?そして今後動く可能性はあるのか
ですよね。
少なくとも「七北田ダム 地すべり」で検索しても何も出て来ませんでしたので、今は動いていないと考えられます。

ちなみに地形図を見た感じでは、岩手宮城内陸地震で動いた荒砥沢地すべりに似ているような気がします。

荒砥沢地すべりは直下型地震が原因で動いた地震地すべりで、過去に何回も動いた形跡があります。
特徴的なのはすべり面(地すべりの底面)が「ほぼ水平」ということです。
この場合は一般的な地すべりのように、大雨や雪解け水が原因では動くことはなく、大地震の揺れでしか動きません。(一部が大雨などで崩れることはあります)

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これが荒砥沢地すべりです。
これだと地すべりの向きが違うので左に90度回転してみましょう。

荒砥沢_左90度回転_図示

どうでしょう?見比べてみますか。

地すべり図示

分離小丘の尾根の向きこそ違いますが、似ていますね。


タイトルでも言っているように、ダム沿いの地すべり大惨事につながるおそれがあります。それが地震地すべりならなおさらです。
いや被害そのものは同じなのですが、豪雨などが原因の場合はあらかじめ避難できますが、地震は突然起こるので逃げようがないからです。

次回以降では、この地すべりが地震地すべりかどうか?
またダム沿いで地すべりが起こるとどんな被害が発生するのか?などお話ししていきます。

お読みいただき、ありがとうございました。

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