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ドキュメンタリー映画『大統領の執事の涙』レビュー(ネタバレ)

奴隷として生まれたセシル・ゲインズは、一人で生きていくため、見習いからホテルのボーイとなり、遂には、大統領の執事にスカウトされる。それ以来約30年間、ホワイトハウスで過ごし、7人の大統領に仕えてきた。キューバ危機、ケネディ暗殺、ベトナム戦争・・・目前で時代が大きく揺れ動く中、セシルは忠実に働き続ける。黒人として、そして身に付けた執事としての誇りを胸に。だが、執事であると同時に"夫"であり"父"でもあった彼は、世界の中枢にいながらも家族と共に歴史に翻弄されていく。理解を示す妻とは別に、白人に仕える父の仕事を恥じ、反政府運動に身を投じる長男、兄とは逆に、国のために戦う事を選びベトナム戦争へ志願する次男・・・。激動の時代の中で、彼が世界の中心で見たものとは?そして人生の最後に流した、涙の理由とは。

引用元

アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソン、ニクソン、フォード、カーター、レーガン。
1950年代から80年代にかけてホワイトハウスで7人の大統領に仕えた黒人執事、ユージン・アレンをモデルとし実話をベースに制作された映画。
2008年、歴史を変えた大統領選挙。
バラク・オバマがアメリカ史上初の黒人大統領となった際、ワシントン・ポスト紙に掲載された記事がもとになっている。

黒人版『フォレスト・ガンプ』ともいわれる本作。
国に仕える父、国と戦う息子。
黒人としての誇りと、異なるアイデンティティを持つ2人。
黒人目線から見た壮絶なアメリカの歴史を、この親子の対照的な生きざまが物語っている。

時代が変われば常識も変わる。
それは時間が経てば自然と変わっていくものではなく、どんな逆境にも負けず、信念を貫き戦い続けた人達の存在があってこそ実現するものである事を深く感じた作品だった。

それぞれの道を歩み、辿り着いた先で分かり合う事ができた親子。
自らの為、愛する者の為、全ての人たちの為、世の中が良い方向に変わる事を願う気持ちは同じだったはず。

これからいくつも時代が変わり、また常識も変わっていくであろう世の中が、互いの違いを否定し争い合うのではなく、互いの違いを理解し認め合う世界であってほしいと思う。

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