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イギリスのコロナウイルス対策の現状【全文無料】全国規模のロックダウンの可能性&イギリスでもベーシックインカム論?

一時帰国して、秋刀魚やらうなぎやら巨峰やらをうまうまといただいているわたしですが、イギリスの状況はやっぱり気になる~~!!ということで、あいにく現地にはおりませんが、ニュースやイギリス在住者さんたち(イギリス人・日本人)からの情報をさっくりまとめておきます。

これ、今書いておこう…と思ったきっかけは、昨日(2020年10月12日)にジョンソン首相が行った「新しい3つのロックダウンレベル」に関する発表です。これは、イギリス国内のうちイングランドのみに適用されるもの。ティア1、ティア2、ティア3の3つのランクに分かれています(tierは英語で段階という意味です)。

ティア1(人口10万人あたり感染者が100人以下)
これがベースで、現在イングランド全土に適用中
・飲食店は夜10時に閉店
・屋外・屋内ともに会えるのは6人まで

ティア2(人口10万人あたり感染者が100人以上)
地域ごとに対応できなくなった場合
・屋内で他の世帯の人と交流することは禁止
・屋外なら6人以内で会っても良い

ティア3(感染者が急増)
ティア2では対応しきれず、感染が爆発的に増えた場合
・パブやバーは閉店(ただし、食事を提供するお店は例外)
・屋外・屋内ともに他の世帯の人との交流は禁止
・ジム、レジャーセンター、カジノなどの賭博関係のお店は閉店

ティア2は、状況が悪化しているイングランド北部を中心に多くの地域にすでに適用されています。そして、今回はザ・ビートルズの出身地としてもおなじみで、こちらでも訪問記を書いたリヴァプールがティア3に突入することが決定…。ああ…。実際、在英日本人の方のブログやnoteを拝見していても、イングランド北部ではとくにご本人やご家族、同僚の方々などが次々とコロナに感染しています😱

ただ、市場調査会社のYouGovによると、今回のジョンソン首相による発表内容に対してイングランド国民の40%が「対策として不十分」と回答。19%が「ちょうど良いバランス」、15%が「行き過ぎ」と答えています。

まあ、屋内で誰と会っているかなんて現実的には調べようもないですもんね~。そして10月末にはハロウィンパーティ(アメリカほどではないけれど、毎年楽しんでいる家庭がそこそこあります)、そして12月にはもちろんクリスマス。その他にも大勢が集まる機会が日本よりも多いイングランドで、各自がどこまで責任ある行動を取れるかということなのかなと💦

ちなみに、イギリスと日本(具体的にはロンドンと東京)のコロナ対策でここが違うなと感じていることがけっこうあります。ただ、自主隔離の身で行ける場所がスーパーなどに限られているため、来週になって街に出られるようになったらあらためて観察して書きたいと思います♪

多民族の暮らすイギリスでは人種によって重症化の仕方が異なるという報告も出ています。具体的には、アフリカ系の人は白人よりも入院率(つまり重症化率)が高いが死亡率は白人と変わらない、そして、南アジア系の人が死亡率が高いという調査結果が出ていました。それが純粋に人種によるものなのか、持病の有無(南アジア系の人は糖尿病患者が多いという報告も)や生活スタイルによるものなのかまではまだわかっていません。

そのような事情もあり、現在各社が開発中のワクチンも人種によって異なる効果や副作用が出る可能性があると考えられています。だから、民族的マイノリティの人たちにもっと治験に参加してほしい!というのが上記の記事。医薬品の開発先進国かつこれほど人種的に多様なのはおそらくアメリカとイギリスだけだと思うので、その強みを生かしてこういった開発分野で世界に貢献してくれたらいいなぁと願っています✨

あとは、シビアだけれども避けて通れないトピックとして失業問題があります。イングランドでは来年春まではとりあえず社員も自営業者も補償があるのですが、条件付きになったり金額が少なくなったり。またロックダウンが強化されるとなると、冬ごろから失業者がどっと増える可能性があります。

日本でもベーシックインカム論が出ていますが、イギリスでもこれは数年前から活発な議論の的。先月にはイングランドの都市リーズでユニバーサルベーシックインカムのトライアルが行われることが決まりました。

イギリスにも失業手当、疾病手当、低所得者の収入補助など、「ベネフィット」と総称されるさまざまな手厚いサポートシステムがあります。ただ、この審査や定期的なチェックにかかる経費がかなり膨大。日本の生活保護などと同じで制度を悪用する人もいます。だったら、全員に一律で毎月〇万円を配った方が平等だし、実は国としての出費はそんなに大きくは変わらないという試算も出ていました。

イギリスはけっこう不思議な国で、社会階級や職業によって収入や保有資産の格差がものすごいというバリバリの資本主義社会である反面、国民全員が医療制度を一律で使える(収入ゼロの人でも高額な手術や治療を無料で受けられる)という社会主義的な側面ももっています。この2つの面が交互にと言ってもいいくらいに両方頻繁に顔を出します。

だから、現在の保守党の政権がユニバーサルベーシックインカムを導入することは今のところはちょっと考えづらいにしても…。今後、第一野党の労働党や、緑の党などが躍進してくるとまたガラっと異なる政策が取られる可能性もあります。わたし個人はコロナ禍ではベーシックインカムはけっこう良いと思うんですけどね~。

最後になりましたが、ジョンソン首相は全国的なロックダウンの可能性を排除せず、「今すぐは実施しない」という表現を使っています。そんな状況もあり、今回はちょっと切迫した内容になってしまいましたが、これもイギリスの雰囲気を反映していると思ってくださると😅次回のまとめではまた、ほっこりなニュースも探しておきます💓

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