由梨

ドバイ在住Mama。ロンドン芸術大学のCSMにてアート・文化事業政策修士。上智大学国際…

由梨

ドバイ在住Mama。ロンドン芸術大学のCSMにてアート・文化事業政策修士。上智大学国際教養学部卒業。@yurilia51 (IG)

マガジン

  • 今までの旅の回想詩。

  • Family.

    詩を綴りはじめました。

記事一覧

7年前 私はこの街に来たばかりだった頃 この朝の同じ空気を吸って 同じお日様を浴びて 同じ身体で一日を始めようとしていた あの頃の私は二十代前半 毎日がむしゃらに生…

由梨
2年前
3

宇宙

乗り継ぎに遅れてしまうと 荷物を揺らしながらつるつるの床を蹴る そこはLAX国際空港 いかにもブラックな働き方を続け 新卒一年を終えようとしていた2月 暖かい気候を求め…

由梨
2年前
2

三十路

うつらうつら ひたすら自己欲求を満たそうと 生きていた二十代 誰かのために生きる幸せを 学べたのは三十ちかくになってから あなたが産まれてきてくれたから

由梨
2年前

快晴

親と喧嘩した時 泣きじゃくりながら行く先は いつもあなたの部屋だった もうこの家にいたくない そう何度叫んでも そんなこと言いなさんな、 となだめてくれるあなたは 私…

由梨
2年前

会話

私が母になって あなたにひ孫ができました 今は遠くにいるあなたは電話するたびに そのことを忘れているのだけれど わあ、可愛いわね とあなたが言うその褒め言葉が誰が言…

由梨
2年前

アイスコーヒー

静かな一人の昼過ぎ 朝の残ったコーヒーを口にしたら ふとあなたがよく淹れてくれた アイスコーヒーを思い出した 思い出の中でしか味わえないと思っていた ほろ苦い味は心…

由梨
2年前

出産。

世界が変わった日の前日、変化が訪れる実感が湧いてきて。 きっと今までの日常が新しいなにかと取り変わってしまうんだと分かったら、涙が止まらなくなった。 それだけ今…

由梨
2年前
3

マインドフルな消費:買ってよかった、と思えるお買い物

2020年3月に始まった世界中のロックダウンから、皆さんも生活について考える時間が増えたのではないでしょうか。 今年の4月に大学時代の親友とEコマースビジネスを始めよ…

由梨
3年前
5

已己巳己な足音

今となっては覚えていないことの方が多くなってしまった祖母。 アルツハイマーだ。 でも記憶のどこかに残っているだろうか、二人で行った長野の温泉旅行。 私が二十三、…

由梨
3年前
7

自由にはたらける社会とは

私は現在ドバイというコスモポリタンな街でフリーランスで仕事をしている。 リモートワークという言葉が今日本でそんなに注目されていることは知らなかったが、ライフワー…

由梨
4年前
11

ラクトフリー、自家製アーモンドミルク

ラクトース、というキーワードに気を使ったことがある方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。 ラクトースとは乳製品に入っている糖分のことを言います。私がLactose Into…

由梨
4年前
8

イスラムの国での犬との暮らし

私はアラブ首長国連邦のドバイという街に住んでいる。 ドバイは90%が外人で、ローカルの人々の人口はたったの10%にしか満たないという、湾岸諸国でも国際色の強い街…

由梨
4年前
5

Cultural Appropriation

Halloween先週末はハロウィンの催しで、東京は街中が仮装した人で溢れていたことだろう。元々は宗教的なお祭りが今や世界的なフェステブなイベントとなり、多くの人に世界…

由梨
4年前
8

オンライン・テクノロジーとの付き合い方

Imagined Community (想像されるコミュニティ)私が最近興味を持っているのは、オンラインのコミュニケーションと人との繋がりである。ベネディクト・アンダーソンという…

由梨
4年前
7

仕事を人生にしない生き方

「仕事、何してるの?」人に出会うと、必ず出てくるこの質問。これは会話の一部であり、悪いことを聞いているわけではない。しかしこの質問の回答が、私たちが人を判断する…

由梨
4年前
8

7年前 私はこの街に来たばかりだった頃 この朝の同じ空気を吸って 同じお日様を浴びて 同じ身体で一日を始めようとしていた あの頃の私は二十代前半 毎日がむしゃらに生きていたけど 三十目前にした今の私は あの時と同じはずのこの朝を 少し穏やかな気持ちで迎えている気がする

宇宙

乗り継ぎに遅れてしまうと 荷物を揺らしながらつるつるの床を蹴る そこはLAX国際空港 いかにもブラックな働き方を続け 新卒一年を終えようとしていた2月 暖かい気候を求めてメキシコに向かっていた時のこと なにをそんなに焦っているんだ、人生そんなに急いでもしょうがないよ。 そう私に語りかけたのは空港職員の男性だった 彼の目はあまりにも綺麗な水色をしていて 彼の言葉は空港を急ぎ足で駆け抜けようとする私よりも 日々仕事に追われる生活をする私を見透かし 届けられたように心に刺さっ

三十路

うつらうつら ひたすら自己欲求を満たそうと 生きていた二十代 誰かのために生きる幸せを 学べたのは三十ちかくになってから あなたが産まれてきてくれたから

快晴

親と喧嘩した時 泣きじゃくりながら行く先は いつもあなたの部屋だった もうこの家にいたくない そう何度叫んでも そんなこと言いなさんな、 となだめてくれるあなたは 私の太陽だった

会話

私が母になって あなたにひ孫ができました 今は遠くにいるあなたは電話するたびに そのことを忘れているのだけれど わあ、可愛いわね とあなたが言うその褒め言葉が誰が言うよりも嬉しくて 何度でも写真を送るし、何回でも同じ会話をする

アイスコーヒー

静かな一人の昼過ぎ 朝の残ったコーヒーを口にしたら ふとあなたがよく淹れてくれた アイスコーヒーを思い出した 思い出の中でしか味わえないと思っていた ほろ苦い味は心に沁みた

出産。

世界が変わった日の前日、変化が訪れる実感が湧いてきて。 きっと今までの日常が新しいなにかと取り変わってしまうんだと分かったら、涙が止まらなくなった。 それだけ今の生活において幸せであったことを実感して、もっと涙がでてきた。 世界が変わった当日、20時間ほどにもわたる病院での難産。 促進剤やら人工破水やら、いろんな種類の麻酔も試した。 結局疲れ果てた挙句、帝王切開で出てきた新しい家族は、最初は自分の子供、なんて感覚はなくて。 でもやっぱりなぜか、有り難くて涙がでてき

マインドフルな消費:買ってよかった、と思えるお買い物

2020年3月に始まった世界中のロックダウンから、皆さんも生活について考える時間が増えたのではないでしょうか。 今年の4月に大学時代の親友とEコマースビジネスを始めよう、と話し始めて半年程。今やっと形になってきたのがHEaRth.(ハース)。 もともとオーガニックや自然なものに惹かれていて、そんな共通の趣味があって仲良くなった私たち。サステイナブルでエシカルな海外の商品を集めてキュレーションした、オンラインショップを作ることになったのも、自然な流れでした。 興味があった

已己巳己な足音

今となっては覚えていないことの方が多くなってしまった祖母。 アルツハイマーだ。 でも記憶のどこかに残っているだろうか、二人で行った長野の温泉旅行。 私が二十三、四の頃だっただろう。祖母はまだ元気だった、と思いに耽る。 二人でお揃いの旅館の浴衣を着て、温泉街の細い通りを歩いた。 石畳の道の上でカラカラと下駄を鳴らしながら。 世代は違うが、私と祖母は考え方がよく似ている。だから話も合う。 今となっては何を話していたかなんて私でさえ覚えていないが、 お互い忘れること

自由にはたらける社会とは

私は現在ドバイというコスモポリタンな街でフリーランスで仕事をしている。 リモートワークという言葉が今日本でそんなに注目されていることは知らなかったが、ライフワークバランスを考える上で、日本社会でその思想が広まっているのはとてもいいことだと思う。私は過去5年ほどのキャリアの中で、リモートワークをする機会が多くあった。そのためか、一人リモートで働いている方が効率が良く、今も好んで家で仕事をしたりしている。 新卒で入った会社は、外資コンサル。コンサルタントというだけあって、働き方

ラクトフリー、自家製アーモンドミルク

ラクトース、というキーワードに気を使ったことがある方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。 ラクトースとは乳製品に入っている糖分のことを言います。私がLactose Intolerant、又は乳糖不耐症と自覚したのは大学生の頃。どうしても体調が慢性的に良くなくて、肌荒れも治らない。そんな時に乳製品を一切取らなくしてみたら、びっくりするほど身体の調子が良くなったんです。アレルギーではないので、なかなか自分の体が何にどう反応しているかというのは気づきにくいのですが、体に合わないも

イスラムの国での犬との暮らし

私はアラブ首長国連邦のドバイという街に住んでいる。 ドバイは90%が外人で、ローカルの人々の人口はたったの10%にしか満たないという、湾岸諸国でも国際色の強い街である。しかしイスラム教が文化のベースになっていることもあり、街中には多くのモスクが存在し、イスラム教の人口はやはり多い。 イスラム教の国であるということに問題もないし、不便もない。ただ一つ気になる点があるとしたら、犬を連れて行ける場所が少ないこと。イスラム教を信仰している人は、犬を汚い生き物だと考える人が多いため

Cultural Appropriation

Halloween先週末はハロウィンの催しで、東京は街中が仮装した人で溢れていたことだろう。元々は宗教的なお祭りが今や世界的なフェステブなイベントとなり、多くの人に世界中で楽しまれている。毎年みんながクリエイティビティをフルに使った仮装で楽しませてくれる東京のハロウィンは、私は特に好きだ。しかし、欧米のハロウィンでは毎年あるクリティシズムが浮き上がる。 Cultural Appropriationという言葉をご存知だろうか。1980年代にポスト・コロニアルの西洋化批評の一

オンライン・テクノロジーとの付き合い方

Imagined Community (想像されるコミュニティ)私が最近興味を持っているのは、オンラインのコミュニケーションと人との繋がりである。ベネディクト・アンダーソンという学者が1983年年に紹介した、Imagined Communityというコンセプトがある。当時はナショナリズムについて説明するために用いられていた。彼の解釈によるとナショナリズムは、お互いを知らずにも同じ考えを持つものたちで想像することによって作られたコミュニティである。印刷というテクノロジーが導入さ

仕事を人生にしない生き方

「仕事、何してるの?」人に出会うと、必ず出てくるこの質問。これは会話の一部であり、悪いことを聞いているわけではない。しかしこの質問の回答が、私たちが人を判断する1番の題材となることが多いのがこのご時世。友人との会話を振り返って見ても、「あのレストランのマネージャー、知ってるから行ってみよう」「証券会社で働いてるあの彼、誰だっけ?」「今日のランチ、モデルの子がくるんだ」等、人を職で表すことが多いのではないか。仕事はもちろん社会で生活していくために大切な人生のエレメントのひとつだ